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【TAP Key Person's Interviews】♯02 「コト消費」を創造するイノベーション | SHIBUYA109エンタテイメント

【TAP Key Person's Interviews】♯02 「コト消費」を創造するイノベーション | SHIBUYA109エンタテイメント

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2015年から東急電鉄が実施している事業共創プログラム「東急アクセラレートプログラム(TAP)」。幅広い16の領域で求められている技術・アイデアはどのようなものか?そしてオープンイノベーションを通してそれぞれの領域では何を実現したいのか?――それらを可視化するため、eiiconではTAPに参加する東急グループ各社にインタビューするシリーズ企画『TAP Key Person's Interviews』をスタート。

その第二弾として登場するのは、TAPの【エンタテイメント】領域を担う、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントだ。2019年に40周年を迎える若者の聖地「SHIBUYA109」ブランドを活用した商業施設運営を軸に、ネット通販事業、施設のイベントスペースや壁面を活用した広告・メディア事業などを展開している。

近年では、「109MEN’S」を「MAGNET by SHIBUYA109」にリブランディングし、若者の新たな情報発信基地として再構築したことが話題になった。新たな取り組みを次々と仕掛けるSHIBUYA109エンタテイメントは、TAPを通じてどのような世界観を実現したいのか?――代表取締役社長・木村氏に、お話を伺った。

▲株式会社SHIBUYA109エンタテイメント 代表取締役社長 木村知郎氏 

大学卒業後、1986年に東京急行電鉄株式会社に入社。様々なビジネスを経験後、2007年に株式会社東急グルメフロントの社長に就任。東急電鉄 鉄道事業本部を経て、2016年、株式会社東急モールズデベロップメント 専務取締役に就任。2017年4月から現職。

若者は時代と共に変化する。だからこそ、109も変化していく。

――まず、TAPを通じてオープンイノベーションに取り組む背景についてお聞かせください。

木村氏 : 私たちは、商業施設にとらわれずエンタテイメントという広い領域において、世界に発信できるコンテンツづくりを目指しています。ご承知の通り「SHIBUYA109(以下、109)」は、90年代から圧倒的な存在感で若者達の聖地として君臨していました。しかし、デジタル時代に突入したことで、若者の間でファッションだけでなく、SNSを通じた様々なカルチャーが生まれています。若者が好きなモノにお金をかけることは、今も昔も変わりませんが、それが細分化していったのです。私たち自身も、細分化した若者のニーズにアジャストしていかなければなりません。そこで、外部からの新しいアイデア・テクノロジーを取り入れるオープンイノベーションに取り組もうと考えました。

――2018年春には「109MEN’S」を「MAGNET by SHIBUYA109」(以下MAGNET)にリニューアルし、新しいテクノロジーの導入にも積極的に着手されていますね。

 木村氏 : そうですね。「MAGNET」はかなり手応えを感じています。例えば、「MAGNET」の屋上に設置した展望台スペースには、TAPの応募企業であるクイックピジョンさんとの共創により、渋谷スクランブル交差点を撮影できるCROSSING VIEWを提供しています。スマートフォン専用アプリケーションのCrossing Photoを使用すれば、通常では撮ることのできない画角で渋谷スクランブル交差点の全景を撮影することができる。――このように、アイデアとテクノロジーを積極的に取り入れつつ、109ならではのアセットを使って実験的なイベントやサービスを仕掛けています。

――新たなアイデア×テクノロジーで、109をさらに魅力的な場へと成長させているのですね。では、今回のTAPを通じた外部との共創でどのような世界観を実現したいとお考えでしょうか?

木村氏 : 私自身、今までの商業施設のビジネスモデルは、変革期にさしかかっていると考えています。モノを売って、そこから固定と歩合賃料等を受け取る「床」の売り方。そういったビジネスモデルからの脱却のため、今は沢山の仮説を立てている最中です。モノを売るのではなく、その場所でしか体験できない「コト」づくり、それをどのように作り上げていくかが重要になってくるでしょう。――企業理念である【“Making You SHINE!”、新しい世代の今を輝かせ、その夢や願いを叶える】という言葉の通り、若者が夢を持って渋谷を訪れ、彼らが刺激し合い、さらに大きく成長しながら、日本そして世界へと羽ばたく。そんな世界観を共創パートナーと一緒に作って行きたいと考えています。

モノからコトへ。若者の夢を実現する場所に進化する。

――今、お話しいただいた、「若者が世界へと羽ばたくための場づくり」に関して、具体的にどのようなことに取り組んでいますか。

木村氏 : 渋谷から世界に挑戦していける若い才能を見つけるプロジェクト「109路上LIVE」を2017年からスタートさせました。記念すべき第1回目は音楽をテーマに、予選を勝ち抜いた若手アーティストが今年4月に決勝を行い、KIMIKAという女性ボーカリストが優勝しました。なんと、彼女は109にあるショップの店員として働いた過去もありました。優勝後は、ニューヨークでの1カ月間にわたるボイストレーニングを我々がサポートし、2018年11月のメジャーデビューについての発表を「109路上LIVE」の場で行っています。

――メジャーデビューしたんですね!まさに若者の夢を実現させている取り組みですね。

木村氏 : はい。まだ始まったばかりの取り組みですが、私たちが一人の若者の夢を実現するお手伝いができた一つの事例になったと思います。「109路上LIVE」はこれからも継続し、第2回目はダンスをテーマに開催します。今後もジャンルにとらわれないものを計画中です。多くのチャンスを提供し、世界に羽ばたく若者を応援していきます。

――他にも、若者の夢を形にする取り組みがあればお聞かせください。

木村氏 : 「10代の夢応援プロジェクト」という取り組みがあります。これは、期間中、10代の方にどんな夢があるかを募集し、そこから集めた夢を実現しようとする試みです。1500通以上の応募の中から、「服飾大学に入って、たくさん勉強をして皆に喜ばれるような服を作れる様になる!」という夢を持つ、女子高校生のお手伝いをしました。

――なるほど。

木村氏 : 将来どんな仕事に就きたいのか、夢を叶えるために109ができるサポートは何か、会話を重ねながら、彼女の発案で彼女が通う高校の文化祭で着用するスタッフ用ジャケットのデザイン制作をサポートしました。制作にあたり、藤田ニコルさんがプロデューサーを務めるブランド「NiCORON」(ニコロン)がサポートに入り、藤田ニコルさん自身からもアドバイスを貰いながら、ジャケットを完成させました。さらに嬉しいことに、先日彼女は服飾の大学に無事合格。夢に向けて、着実に歩みを進めています。こういった身近な夢の実現に背中を押して差し上げる取り組みは、109だからこそ実現できることではないでしょうか。

――まさに、若者の夢を形にできる場へと、109が変わり始めていますね。

木村氏 : そうですね!非常にいい流れができていると思っています。今後は、109が若者の夢が集まる場となり、若者が夢を形にしていく。それを求める企業が集まって広がりながら、さらに大きな夢を実現できればと思っています。そのためにも、ただテクノロジーに頼るのではなく、アイデアと仕掛けを持ち寄りながら、試行錯誤を重ねていきます。

109のアセットが、次のカルチャーを生み出す起爆剤となる。

――藤田ニコルさんの例にもあるように、109には魅力的なアセット・リソースが多くあると感じています。オープンイノベーションを推進していくなかで、大きなアドバンテージとなりますね。

木村氏 : 109はファッションやカルチャーに敏感な若者が集まる場所。その数は、年間で約800万人にものぼります。彼らに直接アプローチができるのが、私たちの大きなアセットです。さらに、109で展開しているオムニチャネル販売が可能なインキュベーションプラットフォーム「IMADA MARKET」、エンタテイメントポップアップスペース「DISP!!!」など、さまざまな立体的なプロモーション、実験の場にも109はなっているのです。

しかし、109はピーク時よりも売り上げが落ちているのも真実です。そのため、マーケティングを学んでいる一部の人からは「これから少子高齢化だし、若い人だけでなく、109の卒業生もターゲットにすればマーケットが広がる」という声も聞かれます。――正しい意見ではありますが、今までお話ししてきた私たちの目指す道を考えると、109はR20(15~24歳)の世代に特化して、彼・彼女たちをいかに掘り下げていくかが重要なのです。若者たちが集まる日本最大級の場であることを、これからも突き詰めていく。それが、私達の魅力的なアセット・リソースの蓄積につながると信じています。

――「DISP!!!」では、大物アーティストとのコラボレーションも多くあります。印象に残っている事例をお聞かせください。

木村氏 : 「DISP!!!」は109の持つファッションやインキュベーション、エンタテイメントが融合する、新しいカタチのポップアップスペースとしてスタートしました。去年の夏には、韓流ガールズユニットとコラボしました。その後、彼女たちは一気に人気が爆発。その年の大晦日に放送された国民的な音楽番組にも出演しました。109が日本での彼女たちの認知度アップに貢献できましたし、これから大きく羽ばたく方々のお手伝いをDISP!!!のコラボで行うという、流れも生まれたかと思います。

実は、他のアーティストとのコラボも検討されていたのですが、当社の若手社員の猛プッシュで彼女たちとのコラボが決定したんです。私のような年代が知っている、すでに有名なアーティストではなく、これから人気が爆発するアーティストとのコラボこそ、発信力があると実感した事例になりました。すでに有名なアーティストでは、若い人たちのレスポンスは鈍い。その辺のアンテナは、やはり若手社員の得意領域ですね。

――その他にも、「SHIBUYA109 lab.」という若者のニーズをリサーチする部門があると伺っています。そこでは、どのようなことを行っていますか?

木村氏 : 109では、単に数値的なデータから何か予想を立てることはしません。若者が何を考えているか、リアルな情報を収集しながら、さまざまな仮説を立てていくのです。「SHIBUYA109 lab.」では、毎週研究員や所長が若者にインタビューを行っています。同じ目線で若者の言葉に耳を傾け、彼らが何を思っているかを考えます。そして、そこで集めたデータを109の新しい「床づくり」やイベントスペースづくりを含めたクロスメディアや新たな事業構想、イノベーションを起こすための貴重な検討材料にします。

新たな取り組みが、「床づくり」にイノベーションを起こす

――109の「床づくり」に関して、今後の計画など、お話しいただける部分はありますか?

木村氏 : 「床は商品の売り場である」という考えから、どんどん自由になっていく必要があると思います。私たちは単なる商業施設運営の会社ではなく、さまざまなコンテンツを生み出す会社に進化を遂げています。109を「モノを売る場から、コトを売る場」に変えていく。――つまり、床のエンタテイメント化です。先程からお伝えしている話が、まさにその事例になっていると思います。

さらに、各クライアントの商品やブランドの世界観を表現する場としても、109を活用していただきたいですね。世界観だけを強烈に見せながら、商品購入はネットで完結させる。そんな場を実験的に作りながら、来店したお客様のデータやアンケートを蓄積していきます。そして、その商品がどれだけ訴求できたか、発信力があったかをクライアントにフィードバックする。それをパッケージ化すれば、109の新しい事業へと成長する可能性だってあります。

――なるほど。

木村氏 : これだけネットが発達している中で「月に坪をいくらで貸して、月に坪いくらでモノが売れる」という、今までの商業施設のビジネスモデルだけでは成長が望めません。109の公式アプリSHIBUYA109アプリは、すでに7万ダウンロードを突破しています。それらを若者が求める情報とリンクさせながら、「床づくり」まで構想しています。そこはモノを買うだけでなく、体験して、情報を得て、若者が情報を発信する場になっていくでしょう。そういった今までと違った床がミックスされた商業施設こそ、109が目指している姿なんです。

日本にはたくさんの商業施設がありますが、今後さらに淘汰が進んでいくと予想されます。現在は109にしかできないことを考え、仮説を立てながら仕掛けを作り、検証している段階です。ぜひ、そこに一緒にチャレンジできるパートナーからの応募を期待しています。

――最後に改めて、TAP応募を検討している企業に向けてメッセージをお願いします。

 木村氏 : ある映画で「究極の芸術とは人を幸せにすること」というセリフがあって、エンタテイメントも一緒だと思っているんです。私たちと一緒に人を幸せにして、人を輝かせていく。そんな想いのある企業にお会いしたいと思っています。単なるお金儲けではなく、若者や渋谷・日本という場を、もっと輝かせたいという想いに共感できれば、それだけで一緒に進んでいく理由になります。想いが共有できていれば、例え失敗したとしても、さらに一歩前へ共に進んでいけますから。――今はまだ公表できませんが、これからも驚くような仕掛けをたくさん計画中です。みなさんのアイデア・テクノロジーを、私たちのプランにぜひ注ぎ込んでください。

取材後記

長年、若者の聖地として確固たるブランドを構築している「SHIBUYA109」。――取材の中で「私たちはそこに座り続けてしまった」という木村氏の言葉が印象的だった。変化の激しい今の日本の中でさえ、渋谷の象徴になるほど最盛を極めた成功事例である「SHIBUYA109」というビジネスモデルを変えることは、非常に難しいことだろう。――しかし、それを乗り越え、今まさに109が生まれ変わろうとしている。そこに共創パートナーの斬新なアイデアや技術が加われば、見たことのない大きなインパクトが生み出されるはずだ。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

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