ショーケース、マイナンバーカード×ブロックチェーン活用のデジタルウォレットの実証実験を完了
企業と顧客をつなぐDXクラウドサービスを展開する株式会社ショーケースは、同社の本人確認ツール「ProTech ID Checker」において、マイナンバーカードとブロックチェーン技術を組み合わせた次世代デジタルウォレット「ProTech Wallet(仮称)」の実証実験を完了した。
本実証では、マイナンバーカードによる本人確認結果を、再利用可能なデジタル証明書「Verifiable Credentials(VC)」として発行・検証する仕組みの有効性を確認した。これにより、ユーザーは複数のオンラインサービスで本人確認を繰り返すことなく、安全かつ迅速に認証を行える可能性が示された。
繰り返される本人確認の負担を軽減へ
近年、金融、通信、行政サービスなどのオンライン化が進むなか、本人確認(KYC)の重要性は高まっている。一方で、現行の本人確認プロセスでは、サービスごとに本人確認書類の撮影やICチップの読み取りが必要となるケースが多く、ユーザーにとっては手間がかかる。また、事業者側にとっても、審査、保管、運用に関するコストや管理負荷が課題となっている。
「ProTech Wallet(仮称)」は、こうした“何度も繰り返されるKYC”の課題解消を目指して開発された。マイナンバーカードを用いた厳格な本人確認結果を、ユーザー自身が管理するデジタルウォレットにVCとして格納し、他サービスでも安全に再利用できる仕組みを提供する。
本人確認からブロックチェーン記録まで30秒以内で完結
今回の実証実験では、マイナンバーカードICチップの読み取りから本人確認情報の検証、Solanaブロックチェーンへの記録までを30秒以内で完結できることを確認した。
また、SHA-256ハッシュアルゴリズムを用いることで、記録データの改ざん検知および真正性の検証にも成功した。個人情報そのものをブロックチェーン上に記録するのではなく、ハッシュ値のみを記録する設計により、セキュリティとプライバシー保護の両立を図っている。
さらに、従来型KYCと比較して、バックオフィス業務における運用コストを削減できる可能性も確認された。2回目以降の本人確認では、VCを活用することでユーザー操作を「1タップ」まで簡略化でき、利便性向上や離脱率低減にもつながると見込まれる。
必要な情報だけを開示できる設計に
「ProTech Wallet(仮称)」の特徴の一つが、W3C準拠のVCを活用している点だ。世界標準規格に基づいたデジタル証明書を発行することで、特定のプラットフォームに依存せず、複数のオンラインサービス間で本人確認情報を安全に連携できる。
また、利用シーンに応じて必要な情報のみを開示できる「選択的情報開示」にも対応する。例えば、酒類購入時に氏名や住所を開示することなく、「18歳以上であること」のみを証明できる。これにより、本人確認に必要な信頼性を担保しながら、過剰な個人情報の開示を防ぐことが可能となる。
万が一、端末を紛失した場合でも、マイナンバーカードを活用した本人確認によりウォレットを復旧できる設計としている。
金融、エンタメ、自治体などへの展開を視野に
ショーケースは今回の実証成功を受け、今後、金融機関、エンターテインメント業界、地方自治体などとの連携を進め、ユースケースの拡大を図る方針だ。正式サービスの提供は2027年内を目指す。
同社が提供する「ProTech ID Checker」は、銀行・証券口座の開設、携帯電話契約、古物買取、各種会員登録など、対面・非対面を問わず活用可能なトータルKYCサービスである。マイナンバーカードのICチップを活用した公的個人認証(JPKI方式)に加え、運転免許証や在留カードなどのIC認証にも対応している。
2026年5月時点で累計400社以上に導入されており、法令準拠の安全性と導入しやすさを強みとしてきた。今回の実証は、本人確認を一度きりの手続きではなく、複数サービスで活用できる「信頼のインフラ」へと進化させる取り組みといえる。
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(TOMORUBA編集部)