東洋製罐グループ、オランダTNO・Perovionと連携 ペロブスカイト太陽電池の社会実装を加速
東洋製罐グループホールディングスは、オランダの研究機関TNOおよび、TNO発のスピンアウト企業Perovion Technologiesと、ペロブスカイト型フレキシブル太陽光発電パネルのグローバル市場創出に向けた戦略的パートナーシップを構築することで合意した。三者は技術・製造・事業開発を横断的に連携し、次世代太陽電池の社会実装と量産体制の確立を目指す。
軽量・柔軟な「次世代太陽電池」への期待が高まる
近年、再生可能エネルギー市場では、従来のシリコン系太陽電池に加え、軽量かつ柔軟性を持つ「フレキシブル太陽電池」への注目が高まっている。特に、屋根の耐荷重制限や建築物形状の多様化、災害時の安全性などを背景に、“割れにくく軽い”太陽電池への需要が拡大している。
その中でも、ペロブスカイト太陽電池は次世代技術として世界的に期待を集めている。ペロブスカイト結晶構造を用いた材料により、高い発電効率と低コスト化の両立が期待されており、近年は技術進展によって実用化フェーズへ近づきつつある。
東洋製罐グループは、電子デバイス向け機能性材料ブランド「MiraNeo®」を軸に、次世代デバイス市場への展開を推進しており、ペロブスカイト太陽電池分野も重点領域の一つとして位置付けている。
TNOとの連携を深化 Perovion加え三者体制へ
同社は2025年より、TNOと連携し、欧州におけるフレキシブル太陽光発電パネルの量産化に向けた共同開発を進めてきた。具体的には、「MiraNeo®」製品群であるフロントシート、バックシート、端部封止材などを、TNOが開発したR to R(ロール・トゥ・ロール)型アッセンブリ製造ラインに最適化し、マスカスタマイゼーション対応を進めている。
今回新たに加わるPerovionは、2026年3月に設立されたTNO発のスピンアウト企業だ。TNOが研究開発してきたペロブスカイトセル製造技術を継承し、軽量・柔軟な太陽電池セルの商業化を目指している。
三者連携により、東洋製罐グループはモジュール統合と事業戦略、Perovionはセル製造・供給、TNOは研究開発支援を担う体制を構築する。研究機関、製造技術企業、素材・モジュール企業が一体となることで、量産化から供給網構築までを視野に入れた包括的な連携が進む。
「MiraNeo®」で実装性を強化 量産・供給体制構築へ
今回の戦略的パートナーシップでは、Perovionが保有するペロブスカイトセル製造技術と、東洋製罐グループの「MiraNeo®」製品群を組み合わせることで、フレキシブル太陽電池の実装性向上を図る。
特に、フレキシブル太陽電池では、水分や酸素からセルを保護する高性能バリア材が重要となる。同社は2025年4月に「超水分バリアフィルム」を開発しており、こうした素材技術を通じて耐久性や安定供給性を高めていく考えだ。
また、R to R生産方式を活用することで、連続生産による低コスト化と大量生産も可能になる。従来型の太陽電池製造に比べ、生産効率向上や用途拡大への期待も大きい。
実証実験を段階的に拡大 欧州・日本市場で展開へ
今後三者は、Perovion製セルを活用したペロブスカイト太陽電池の実証実験を段階的に拡大する。実証で得られた知見をもとに、量産化や安定供給体制の早期構築を進める方針だ。
日本市場では、東洋製罐グループが主導するデモンストレーションを通じて製品価値を訴求し、その成果を欧州市場を含むグローバル展開へつなげる。
再生可能エネルギー市場では、単なる発電効率競争だけでなく、「どこにでも設置できる柔軟性」や「軽量化による施工性向上」が新たな価値軸となりつつある。今回の三者連携は、素材・研究・製造を横断する国際的なエコシステム構築を通じて、次世代太陽電池の社会実装を加速させる取り組みとして注目されそうだ。
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(TOMORUBA編集部)