スターリンク×メッシュWi-Fiでルーラル通信を刷新 AiTraxがブラジルで実証実験を開始
株式会社AiTraxは、2026年1月28日から2月5日にかけて、ブラジル連邦共和国において先進的メッシュWi-Fiの実証実験を実施し、その成果を発表した。本実証は総務省の支援事業の一環として行われ、農業・物流インフラが集積するゴイアス州およびサンパウロ州の拠点にて検証が行われた。
対象となったのは、大豆加工や飼料製造を担うCOMIGOおよび、コンテナ・トラックヤードを運営するGRUPO CESARI。いずれも広大かつ通信環境の整備が難しい現場であり、ルーラル地域における通信課題の縮図ともいえるフィールドだ。
約22ヘクタールを1時間でカバー 現地スタッフのみで構築
本実証の大きな成果は、スターリンク衛星通信を起点としたネットワーク構築により、約22ヘクタールに及ぶ広域をわずか1時間でブロードバンドエリア化した点にある。
構築作業は、現地パートナーであるMicroset Tecnologiaのスタッフおよび現地エンジニアのみで実施。専門的な無線設計スキルに依存せず、短時間でのネットワーク展開を実現した。
通信品質の面でも、LAN速度、インターネット速度、電波強度(RSSI)、カバレッジ、端末接続のすべてにおいて良好な結果を記録。施設関係者や現地システムインテグレーターからも、想定を上回る評価を得たという。
ミリ秒単位で経路切替 過酷環境下でも安定通信を実現
技術的な中核を担うのは、AiTraxが独自開発したオンデマンド経路制御アルゴリズムである。
本実証では、スターリンク1台を親機とし、複数の子機で通信リソースを分散するメッシュネットワークを構築。コンテナや大型車両が密集し、電波の遮蔽・干渉が発生しやすい環境下においても、通信経路をリアルタイムで最適化し、ミリ秒単位での切り替えを実現した。
これにより、通信の途切れを最小限に抑えた安定運用を確認。農業・物流という異なる現場での検証を通じて、実装可能性と現場適合性の双方が示された。
もう一つの特徴が、電波可視化インジケーター機能である。
設置担当者は、電波状況をリアルタイムで視覚的に把握しながら機器配置を最適化できるため、専門知識がなくても高精度なネットワーク構築が可能となる。今回の実証でも、現地スタッフのみでの迅速な展開を実現しており、人的リソースが限られる地域や現場における実用性が確認された。
この「誰でも・短時間で構築できる」という特性は、通信インフラ整備が遅れるルーラル地域において特に大きな価値を持つ。
ブラジル展開を本格化 農業・物流DXへの波及に期待
AiTraxは今後、Microset Tecnologiaとの戦略的パートナーシップをさらに強化し、ブラジル国内での本格展開を推進する方針だ。
同国のルーラル地域では、安定したインターネット接続へのニーズが高まっており、本ソリューションの導入により、スマート農業の推進や物流効率化、さらには地域間の情報格差是正といった社会的インパクトが期待される。
加えて、ミリ秒単位の経路制御技術は、ドローンやロボティクス、エッジコンピューティングといった低遅延が求められる分野への応用可能性も高い。通信インフラを起点とした産業DXの基盤として、今後の展開が注目される。
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(TOMORUBA編集部)