Gaianixx、シリーズCで20億円調達 半導体製造における“格子不整合”解消技術を核に社会実装・量産フェーズへ
東京大学発スタートアップの株式会社Gaianixxは、シリーズC 1stラウンドにおいて総額20億円の資金調達を実施した。第三者割当増資によるもので、既存投資家に加え、新規投資家も参画。これにより累計調達額は約38.5億円に到達した。
同社は、化合物半導体における“格子不整合”という構造課題を解消する独自技術「多能性®中間膜」を核に、次世代半導体の製造プロセスに革新をもたらすことを目指している。今回の調達は、研究開発段階から社会実装・量産フェーズへの移行を明確に位置づけるものとなる。
「コストと性能のトレードオフ」を打破する独自技術
半導体製造において、異なる材料同士を組み合わせる際に生じる「格子不整合」は、結晶欠陥の原因となり、性能とコストの両立を難しくしてきた。
Gaianixxの「多能性®中間膜」は、この課題に対し、異種材料間でも高品質な単結晶膜を形成できる技術である。これにより従来不可避とされてきた“コストと性能の二律背反”の解消を可能にする。
シリーズB以降、同社技術は研究開発の域を超え、商用化に向けた具体的な進展を見せている。すでに2社でデザインウィン(設計採用)を獲得し、製品化に向けた開発が進行中だ。加えて、国内外約40社から共同開発や評価に関する引き合いが寄せられており、次世代センサー、通信デバイス、パワー半導体など幅広い領域で採用検討が進んでいる。
山梨拠点を軸に量産体制を構築 グローバル展開も加速
今回調達した資金は、主に量産体制の確立とグローバル展開に充てられる。
まず、開発拠点である「山梨テクニカルセンター」の本格稼働により、パイロットラインを活用した大規模サンプル供給および量産プロセス検証が可能となる。これにより、顧客の量産ラインへの導入を見据えた実装フェーズが一気に加速する見込みだ。
また、北米・欧州・アジア市場への進出を見据え、事業開発や量産プロセス、知財戦略を担う専門人材の採用を強化。加えて、既に12件の特許を取得し、さらに87件を出願中とする知財ポートフォリオの拡充により、グローバル競争における優位性を確立する。
半導体エコシステムの中核技術へ 投資家も高い期待
本ラウンドでは、JICベンチャー・グロース・インベストメンツがリード投資家を務めたほか、三井金属系ファンド、Vertex Ventures Japan、東レインターナショナルなどが新たに参画した。
投資家からは、同社が自社工場を構築しサプライチェーンまで踏み込んでいる点や、AI時代における半導体性能向上ニーズへの適合性が高く評価されている。また、レアアース使用量の削減と高性能化の両立という観点でも、産業的意義の大きさが指摘された。
代表取締役の中尾健人氏は、「多能性®中間膜は、次世代半導体産業のボトルネックを解消する不可欠なピースである」としたうえで、「競争ではなく共創によるエコシステム構築を通じ、世界中のデバイスメーカーに革新的な製造ソリューションを提供していく」とコメントしている。
半導体産業がAI・通信・エネルギー分野の基盤として重要性を増すなか、材料技術からボトルネックを解消するGaianixxの取り組みは、次世代デバイスの標準技術となる可能性を秘めている。今回の資金調達は、その実現に向けた重要な転換点といえる。
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(TOMORUBA編集部)