MiRESSOがシリーズAで総額42.3億円を調達、累計資金調達は66.8億円に 核融合材料供給の実装フェーズへ
株式会社MiRESSO(本社:青森県三沢市)は2月27日、Spiral CapitalおよびSBIインベストメントを共同リード投資家とするシリーズAラウンドを総額約42.3億円で完了したと発表した。これにより創業から約3年間の累計資金調達額は、エクイティ約44.8億円、補助金を含め約66.8億円に到達した。
本ラウンドは、2025年8月に公表された約18.3億円の1stクローズに続くファイナルクローズとして約24億円を追加調達したもの。新規投資家として慶應イノベーション・イニシアティブ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、NTTドコモ・ベンチャーズ、MPower Partners、三菱UFJキャピタル、三井物産など9社が参画し、スタートアップ・VC・事業会社が横断的に支援する体制が構築された。
低温精製技術でベリリウム供給 核融合材料のボトルネック解消へ
MiRESSOは、フュージョン(核融合)エネルギーに不可欠な材料であるベリリウムの製造販売を主軸事業として展開するスタートアップだ。独自の低温精製技術を用い、従来の高温処理に比べてコストや環境負荷を抑えた精製プロセスの実現を目指している。
ベリリウムは半導体や通信、航空宇宙、防衛など多様な用途を持つ一方で、供給は海外企業による寡占構造にあり、特に核融合炉においては中性子増倍材として不可欠な戦略材料と位置付けられる。こうした背景から、国内供給体制の構築はエネルギー安全保障の観点でも重要なテーマとなっている。
同社はベリリウム製造事業に加え、低温精製技術をプラットフォームとして他鉱物資源の精製・リサイクル領域への展開や技術ライセンス事業も推進しており、素材・資源領域における横断的な技術基盤の構築を狙う。
青森でパイロットプラント「BETA」整備 2027年度生産開始を目指す
調達資金は、青森県八戸市の大平洋金属製造所内で整備が進むベリリウム製造パイロットプラント「BETA(Beryllium Testing plant in Aomori)」の建設に充当される。MiRESSOは2024年10月、大平洋金属と包括的業務提携契約を締結しており、同社の製造インフラとMiRESSOの技術を組み合わせた共同体制で事業化を進めている。
BETAは量産に向けた技術検証および生産プロセス確立の中核拠点として位置付けられ、2027年度中の生産開始を目標とする。今回の大型資金調達により、研究開発段階から実装フェーズへの移行が本格化する格好だ。
投資家が期待する「材料起点」の核融合エコシステム
投資家各社は、核融合エネルギー実現において材料供給が重要な課題である点を強調する。SBIインベストメントは、理論や装置開発に加え材料供給の確立が不可欠であり、MiRESSOの低温精製技術は本質的なアプローチと評価。慶應イノベーション・イニシアティブも、従来技術の課題を解消し得る革新性に言及した。
またNTTドコモ・ベンチャーズは、データセンター電力需要の拡大を背景に次世代電源として核融合に注目しているとし、原料調達から製造・販売まで一貫したMiRESSOの体制を高く評価。伊藤忠テクノロジーベンチャーズは、需給逼迫が予想されるベリリウム分野における国内スタートアップの存在意義の大きさを指摘した。
代表のコメント
代表取締役CEOの中道勝氏は「ベリリウムの安定供給に向け、原料調達からパイロットプラント整備、製品品質の高度化まで一層取り組みを進める」とコメント。フュージョンエネルギーの社会実装への貢献と、日本における新たなベリリウムサプライチェーン構築を加速する考えを示した。
世界的に核融合開発競争が激化する中、材料供給という上流領域を担うMiRESSOの動向は、エネルギー・素材・スタートアップの交差点として注目度を高めている。今回のシリーズA完了は、同社が掲げる「材料から核融合社会を支える」という戦略が、資本面でも支持を得たことを示す節目となった。
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)