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JR東日本×NECら、没入型遠隔観光の実証実験を実施 駅から始まる“体験起点”の観光DX

JR東日本×NECら、没入型遠隔観光の実証実験を実施 駅から始まる“体験起点”の観光DX

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東日本旅客鉄道(JR東日本)は、日本電気通信システム、ジオテクノロジーズ、日本電気(NEC)と連携し、遠隔地の魅力をリアルに体感できる「没入型遠隔観光体験」の実証実験を開始する。映像・音響・香りを組み合わせた新たなバーチャル技術「没入システム」を活用し、観光体験のあり方を再定義する取り組みだ。

本実証は、JR東日本が推進する「WaaS(Well-being as a Service)」の思想のもと、移動と空間価値の高度化を目指す共創の一環として実施される。鉄道会社が“移動”そのものだけでなく、“体験”を提供する存在へと進化する中で、観光の入口を駅へと拡張する試みといえる。

映像・音・香りで再現する“現地の感覚

本実証の中核となる没入システムでは、単なる映像視聴にとどまらず、現地の気候や風土、空気感までを再現する体験を提供する。ブース内では、福島県内の観光地をテーマにしたコンテンツが展開され、視覚・聴覚・嗅覚を通じて現地の魅力を疑似体験できる。

体験できる主なスポットは以下の通りだ。

  • 郡山布引の風の高原:ひまわり畑と風車が織りなす壮大な景観

  • あづま果樹園:四季折々の果物と観光体験

  • 霧幻峡の渡し:幻想的な川霧に包まれる渡し舟

  • 塩屋岬:震災復興の象徴でもある断崖と灯台

これらの体験は、現地の「空気」を感じさせることに主眼が置かれており、従来のVRコンテンツとは一線を画す没入度を実現している。

「体験」から「訪問」へ——行動変容を検証

本実証の重要なポイントは、単なる体験提供にとどまらず、「行動変容」をどこまで引き起こせるかにある。参加者は約20分の体験後にアンケートへ回答し、その後も継続的に情報配信を受ける仕組みとなっている。

さらに、実際に現地を訪問したユーザーに対して追加調査を行うことで、没入体験が旅行意欲や購買行動にどの程度影響を与えるかを定量的に分析する。UX設計の最適化や社会実装に向けたデータ取得も並行して進められる予定だ。

品川駅と福島駅で実施、日常の中に観光体験を

実証実験は、品川駅および福島駅で実施される。品川駅では2026年5月30日・31日に開催されるほか、福島駅では「ふくしまデスティネーションキャンペーン」と連動し、4月26日までの週末に体験可能だ。

特徴的なのは、予約不要で気軽に参加できる点にある。通勤や移動の合間に立ち寄れる設計とすることで、「観光=非日常」という従来の枠組みを崩し、日常の延長線上に旅のきっかけを埋め込む狙いがある。

鉄道×デジタルで拓く新たな観光導線

今回の取り組みは、鉄道インフラとデジタル技術を掛け合わせた新たな観光導線の創出といえる。従来、駅は「通過点」として機能してきたが、没入体験を通じて「目的地の入口」へと変わる可能性が見えてきた。

また、ポイ活アプリ「トリマ」と連携することで、体験から実際の移動・訪問までを一体化させる仕組みも構築されている。移動そのものに価値を持たせる設計は、観光DXの文脈においても注目に値する。

Well-being視点での地域と来訪者の価値創出へ

本実証は、体験者だけでなく地域側の価値向上も視野に入れている。遠隔体験を通じて地域の魅力が再認識されることで、地元住民の誇りや愛着の醸成にもつながると期待されている。

観光のデジタル化が進む中で、「行かなくても満足する体験」ではなく、「行きたくなる体験」をいかに設計するか。本取り組みはその問いに対する一つの回答となる。

鉄道会社、通信技術、地理情報、そして観光資源が交差する今回の共創は、ポストコロナ時代の観光のあり方を示す重要な実証として注目される。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部)