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【IBM BlueHubのインキュベーション・プログラム第5期募集開始!】プログラムを終えた第4期採択企業2社が登場。事業をスケールさせた、IBMやVCによる独自メンタリングとは?

【IBM BlueHubのインキュベーション・プログラム第5期募集開始!】プログラムを終えた第4期採択企業2社が登場。事業をスケールさせた、IBMやVCによる独自メンタリングとは?

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日本IBM(以下、IBM)が展開する「IBM® BlueHub」では、スタートアップ向けのインキュベーション・プログラムを実施している。スタートアップに対して、IBMテクノロジーの活用支援やIBMのビジネスコンサルタント、VCによるメンタリングを提供することで、新しいビジネスを創出することが目的だ。参加した多くのスタートアップが大手企業との事業提携やVCからの資金調達を実現するなど、多くの関係者に注目されるプログラムへと進化を遂げている。

プログラムの第5期募集スタート直後となる今回は、第4期の採択企業である株式会社コードミーの太田氏、コネクテッドロボティクス株式会社の沢登氏に同プログラムに参加した動機や実際のメンタリング内容をお聞きするとともに、彼らをサポートしてきたIBM BlueHubの木村氏、椎葉氏にもお話を伺った。

【写真左→右】 

■日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス IBM イノベーション&インキュベーション ラボ(i3 Lab.) IBM BlueHub 椎葉圭吾氏

IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)に入社後、製造業の顧客に対して、AIやIoTなどの領域における新規事業立ち上げ、事業開発などの各種コンサルティングプロジェクトの提案から実行支援に従事。IBM BlueHubにインキュベーションプログラム第3期よりメンターとして参画後、現在、運営全般を担当。

■コネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役 沢登哲也氏

飲食業界に身を置いて過酷な労働環境を目の当たりにした後、ソフトウェア開発会社などを経て2014年にコネクテッドロボティクス株式会社を創業。「深刻な人材不足に悩まされている日本の飲食業界を助けたい」という思いでロボティクスとAIを活用した調理システムを開発。 

■株式会社コードミー 代表取締役CEO 太田賢司氏

国内大手の香料会社で香りの開発を約10年間担当。フレグランスのマーケティング、官能評価の専門研究職である「エバリュエーター」としてさまざまな香りの開発に携る。2017年4月「香りで世界を変える」というビジョンを掲げ、株式会社コードミーを創業。

■日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス IBM イノベーション&インキュベーション ラボ(i3 Lab.) IBM BlueHub Lead 木村幸太氏

新卒で旧・IBMビジネスコンサルティングサービスに入社。CRMやマーケティング、営業戦略等、フロント領域を中心にコンサルタントとしてさまざまなプロジェクトで活躍。同社と日本IBMの経営統合に伴う転籍後、同社のインタラクティブエクスペリエンス事業部を経て、2018年1月にIBM BlueHubなどを包括する新組織、IBM イノベーション&インキュベーション ラボ(i3 Lab)に着任

IBMが持つ最新のテクノロジーやビジネス面でのサポート実績に魅力を感じた

――約一年前の話になりますが、コードミー・太田さんとコネクテッドロボティクス・沢登さんはIBM BlueHubのインキュベーション・プログラムにどのような魅力を感じてエントリーされたのでしょうか? 当時の会社の状況、ビジネスにおける課題感などとあわせてお聞かせください。

コードミー・太田氏 : 私たちコードミーは「香りのパーソナライズ」というサービスを展開しています。創業当時からサービス展開のためにはシステム開発がコアになると考えていましたが、当時はスタートアップ1年目だったこともあり、自分たちだけでシステム開発を進めていくことの難しさも感じていました。

やはりITシステムの構築に強みを持つ企業からサポートを受ける必要があると考え、IBM BlueHubのインキュベーション・プログラムへのエントリーを決めたのです。プログラムの内容と「信頼できるシステムを構築しなければならない」という自分たちの課題が合致していることに加え、IBMが持つ最新のテクニカルツールを活用でき、テクニカルメンタリングを受けられることも魅力でした。

――沢登さんはいかがでしょうか?

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : 学生やフリーランスの人たちと一緒に「家庭でたこ焼きパーティーができるようなロボットやシステムを作ろう」ということでチームを作り、昨春開催されたスタートアップ体験イベントに出場しました。そこで優勝したことで一気に弾みがついたのですが、会社はあっても社員は私一人。

他のメンバーは「面白そうだから」という理由でついて来てくれていた感じでしたが、私自身は「このシステムをビジネスにしたい」という強い思いがあり、技術とビジネスの両面に強みを持つ企業とパートナーになりたいと考えていました。

――大手企業がテクノロジーを提供してくれるようなインキュベーション・プログラムは多数あったと思いますが、その中でも特にIBM BlueHubを選ばれる決め手となった理由はあったのでしょうか?

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : テクノロジーも大切なのですが、私は特にビジネス面でも本気で支援してくれる企業であることを重視していたので、ビジネス分野での豊富なサポート実績があるIBMこそ最適なパートナーではないかと考えました。何と言ってもIBMの正式名称は「International Business Machines」ですから(笑)。

また、「日本の産業をテクノロジーによって変革する」というプログラムのテーマにも魅力を感じましたね。私たちも「日本の飲食産業を変えよう」という志を持っていましたし、そうした高い志をチームのメンバーに浸透させるためにも、このプログラムに参加する意義は大きいのではないかと考えたのです。

――IBMのお二人にお伺いしますが、本日お越しいただいている2社を採択された理由について教えていただけますか?

IBM・椎葉氏 : まずは、IBMテクノロジーとの親和性です。IBMはテクノロジーの会社であり、主にコグニティブ/AIとクラウドという2つの大きな領域をカバーしているほか、ブロックチェーンや量子コンピュータ、気象データといった様々なAPIを提供しています。特にフィーチャーしているのがAIです。コネクテッドロボティクスのビジネスはAIとの親和性が非常に高いですし、コードミーのビジネスはビッグデータ解析という観点で親和性が高いと思います。

IBM・木村氏 : 加えて、「IBMテクノロジーの親和性」と同じレベルで重要なものが、スタートアップ経営者の方々の資質や魅力です。IBM BlueHub ではVCの方々と一緒にスタートアップの選考を行っていますが、今回来ていただいている2社についても多くのスタートアップ経営者を見続けているVCの方々の「目利き力」で判断いただいた上で採択しています。

スタートアップの課題に合わせて必要な専門性を持つ人材をアサイン

――スタートアップのお二人にお伺いします。IBM BlueHubのインキュベーション・プログラムにはIBMのテクノロジーメンタリング、VCなどの外部メンターによるメンタリングがありますが、実際はどのようなメンタリングを受けられたのでしょうか?

コードミー・太田氏 : 私たちはもともと香りに関するビッグデータを統計解析しようと考えていましたが、プログラムがスタートしてからは『IBM SPSS』(IBMの統計解析ソフトウェア)で統計解析をすることに決めました。この『IBM SPSS』を活用する際に、IBMの金融統計解析のプロフェッショナルである方にテクニカルメンターとして参加してもらったことにより、私たちが持っている処方箋のデータとの相関性を表していくときの変数の決め方や考え方について具体的なノウハウを提供いただくことができました。

――なるほど。

コードミー・太田氏 : もう一つは現在も引き続きご支援いただいている部分になりますが、私たちのサービスでは香りの診断をするため、Web上でユーザーにプロフィールを入れてもらいます。そこにAIを導入することを考えていたところ、IBMの方から『Personality Insights』というツールの活用を進めていただきました。このツールを統計解析と絡めて活用することで、当社独自のリコメンドエンジンを具体的な形にすべく検討しています。

――金融統計解析のプロフェッショナルの方がメンターとして参加されたということですが、IBMではどのようにテクニカルメンターを選び、アサインしているのでしょうか?

IBM・椎葉氏 : それぞれのスタートアップが抱えている課題を考慮して最適な人材をアサインするようにしています。もちろん、プログラムが進んでいくうちに課題も変わっていくので、その都度、必要な専門性を持っている社員を選んでいます。

――IBM社内で既存事業に携っている方に声をかけ、メンターとして参加してもらっているということでしょうか?

IBM・木村氏 : そうですね。どんな専門性を持った人間が、どの部署にいるのかということは把握するようにしています。

IBM・椎葉氏 : スタートアップとの取り組みであるIBM BlueHubは社内の多くの人たちに注目されていることもあって、積極的に力を貸してくれる社員がいます。

――太田さんにお伺いします。先ほどテクニカルメンタリングについてお話しいただきましたが、VCや外部メンターからのメンタリングについてはいかがでしたか?

コードミー・太田氏 : VCに関してですが、私たちはサムライインキュベートにご支援いただきました。マーケティングプランの立て方などを中心に、事業の進め方についてハンズオンでご支援いただけたことに加え、さまざまな人や企業とつないでもらえたので本当に助かりました。例えばホテル業界や電機メーカーなど、「こんな業界の人たちにアプローチしたい」とリクエストするだけで、VCのネットワークを活かしてさまざまな方々をご紹介いただけました。

――沢登さんはどのようなメンタリングが印象に残っていますか?

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : 私たちはVCであるDraper Nexus Venturesの倉林さん、IBMの椎葉さんにメンタリングを受けたのですが、メンタリングに関しては常に資金調達、事業開発、テクノロジー活用の三本柱を軸に相談し、アドバイスをいただけました。

特に資金調達に関してはDraperさんからも投資いただけるなど、かなり手厚くサポートいただいたと感じています。資金調達が最初の約2カ月で終わったことにより、その後は事業開発とテクノロジー活用に集中することもできました。また、私たちのビジネスは少し突飛なものなので、お客様を探すのに苦労すると思っていたのですが、思いのほかスムーズに最初のお客様と出会うことができました。これに関してはIBMのネームバリューも大きかったのではないかと考えています。

――テクノロジーメンタリングに関してはいかがでしたか?

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : 私たちの調理システムは「たこ焼き」からスタートしており、たこ焼きの焼き加減、形状、調理状態を把握するための画像認識技術が重要であるため、IBMが有するAI技術のAPIのひとつである『Visual Recognition』を活用させていただいたのですが、かなり早い段階でPoCを進めることができました。2、3週間でプログラムが完成し、ロボットとつないで動かすことができましたからね。

――沢登さんは調達した資金をどのように活用されたのでしょうか?

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : プログラムが始まってから約6300万円を調達することができたので、人件費などの他は主にロボット購入費に充てました。私たちはロボットのソフトウェアを開発する会社なので、どうしてもロボットが必要になるのですが1体で数百万円もするのです。また、以前は20平米程度のアパートをオフィスにしていたのですが、現在は200平米ほどもある大学のラボラトリーを借りることができています。

テクノロジーだけではない、IBMのブランドやリソースをフル活用してほしい

――3月14日に開催されたDemoDeyから3カ月以上が経ちますが、スタートアップ2社の現在の事業の状況はいかがでしょうか? また、現在も引き続きIBMと連携されている部分があれば教えてください。 

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : DemoDey後は開発もさらに進んでいますし、お客様からの引き合いも多くて対応しきれないほどです。IBMとの関係ですが、AIを使って次世代の飲食店を生み出すために、これからも引き続き協業していきたいと考えています。

コードミー・太田氏 : 私たちコードミーはBtoCの香りのパーソナライズ事業の他に、香りの空間演出事業や企業の香りマーケティング支援などのBtoB事業も進めているのですが、「IBM BlueHubに採択されました」「システム開発はIBMに入ってもらっています」と言うだけで、企業からの信頼度が上がり、ビジネスがスムーズに進むようになりました。また、プログラムは終了しましたがテクノロジーに関しては現在もIBMから支援を受けていますし、自社のシステムも引き続きブラッシュアップし続けています。

――これから第5期の募集がスタートしますが第4期の採択企業として、これからIBM BlueHubのインキュベーション・プログラムにエントリーされようと考えている方々へのメッセージをお願いします。

コネクテッドロボティクス・沢登氏 : IBM BlueHubのインキュベーション・プログラムに参加することで、私たちの会社とビジネスは大きく飛躍しました。これからエントリーされる方は、小さなことではなく「産業を変える」ぐらいの大胆な考え方を持ってチャレンジしてほしいですね。また、テクノロジーに関してもAIに限らずニュートラルな視点で支援してもらえるので、IBMという大きなリソースをフル活用するつもりで参加するといいのではないかと思います。

コードミー・太田氏 : 自分たちの考えているサービスがIBMのテクノロジーとの相乗効果などが期待できるのであれば絶対にエントリーするべきだと思います。IBMにはAIに限らず、私たちが利用させていただいている統計解析の『IBM SPSS』なども含めた幅広いAPIがあります。また、IBMはBtoBのビジネスに大きな強みを持っており、さまざまな企業とのネットワークを有しているので、BtoB領域で大きな可能性を持っているスタートアップがエントリーする価値は非常に高いと思います。

取材後記

5期目の企業募集がスタートする「IBM BlueHub」のインキュベーション・プログラム。IBMによるテクノロジー活用支援、VCによる資金調達や事業開発支援など、さまざまな魅力があるプログラムだが、コードミーの太田氏、コネクテッドロボティクスの沢登氏が「IBM BlueHubに採択された実績そのものが自社のビジネスの可能性を拡げてくれた」と語っているように、同プログラムの採択企業となることでIBMのブランド力を武器にできることもスタートアップにとっては大きなメリットとなりそうだ。

また取材中はスタートアップのお二方とIBM BlueHubの木村氏、椎葉氏が笑顔で冗談を言い合うなど終始和やかな雰囲気であり、プログラムが修了した後も素晴らしい関係が続いていることが伺えた。

IBMは巨大なグローバル企業だが、メンターなどプログラムに携わる社員一人ひとりは常にスタートアップと同じ目線に立って真摯な姿勢でビジネスを生み出そうとしている。高い志を持ち、自分たちと本気で共創をしてくれるパートナーを探しているスタートアップにとっては挑戦する価値の高いプログラムであると言えるだろう。

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(構成:眞田幸剛、取材・文:佐藤直己、撮影:加藤武俊)

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  • 平賀 良

    平賀 良

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