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【日本郵便のオープンイノベーションプログラム、第2期が始動!】――担当者に聞く、『郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する』というテーマに込められた想いとは?

【日本郵便のオープンイノベーションプログラム、第2期が始動!】――担当者に聞く、『郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する』というテーマに込められた想いとは?

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2017年9月、日本郵便はスタートアップ支援を手がけるサムライインキュベートと共にオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」を始動。郵便・物流イノベーションを巻き起こす、共創による新規事業等創出プログラムとして大きな注目を浴びた。2018年2月、同プログラムのDemoDay終了後も、採択されたスタートアップ4社(オプティマインド/ecbo/MAMORIO/Drone Future Aviation)とは実証実験などを行い、共創は続いている。

そして先日、記者発表もされたように、2018年7月から第2期となる「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 2018」がスタートした。現在、専用サイトが開設され、募集が始まっており、8月19日の応募締切に向けて着々とエントリー企業が増えている状態だ。秋には採択企業が決定し、2019年2月にはDemoDayが行われる予定となっている。

第2期のプログラムでは、【郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する】というテーマを掲げている。このテーマに基づき、日本郵便はどのような共創を実現させていきたいのか。本プログラムを立ち上げ、牽引している日本郵便の福井氏および瀧本氏・椎根氏、さらにプログラムを支援しているサムライインキュベートの成瀬氏・富樫氏にも集まっていただき、話を伺った。

<写真右→左>

●日本郵便株式会社 事業開発推進室 主任 椎根有香

新卒入社後、郵便・物流営業部で営業パーソンに対する人材育成などを担当。2018年4月に事業開発推進室に着任。現在は、プログラムのコンセプト設計などを担当している。

●日本郵便株式会社 事業開発推進室 主任 福井崇博氏

新卒入社後、物販ビジネス部や株式会社ローソンへの出向などを経験。現在は、新規事業開発やオープンイノベーションの推進を担当。プログラム全体の企画・設計を担っている。

●日本郵便株式会社 事業開発推進室 主任 瀧本直哉氏

新卒入社後、2年間広島にある中国支社で集配部や郵便・物流営業部に所属。2017年11月から事業開発推進室に着任以来、各テーマ担当部門とのやりとりなど、プログラムのメインスタッフとして活躍している。

●株式会社サムライインキュベート Team Leader / Enterprise Group 富樫憲之氏

広告会社を経て、サムライインキュベート入社。日本におけるオープンイノベーション黎明期からアクセラレータプログラムやハッカソンといったオープンイノベーションプログラムを大企業向けに多数提供している。

●株式会社サムライインキュベート 執行役員 / Enterprise Group 成瀬功一氏

大手事業会社での新規メディア立ち上げや外資系コンサルティング会社でイノベーション関連プロジェクトなどを経験し、2018年にサムライインキュベートへ入社。

物流市場における強い危機感から、より広いテーマ設定に

――第2期プログラムのテーマは、【郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する】とお伺いしました。まずは、このテーマに至った背景、そして狙いをお聞かせください。

日本郵便・瀧本氏 : 第1期のテーマは、【郵便・物流のラストワンマイルをテクノロジーで変革する】というものでした。前回は、お客様へ郵便物やゆうパックを届ける物流の最後の区間=”ラストワンマイル”に特化していたんですよね。そのため採択企業は、配達ルートの最適化や、郵便物や荷物を届けるためにドローンを用いるといった技術をもったスタートアップがメインでした。今回は、ラストワンマイルだけではなく、郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革するというテーマを掲げました。ですので、配送の前段階である、地域間のトラックでの運送や、物流拠点内での作業効率化といった点にもフォーカスしています。

――第1期よりも、さらに広い「物流のバリューチェーン全体」というテーマ設定にしたのは、どのような理由があるのでしょうか?

日本郵便・瀧本氏 : 近年、物流業界全体のスケールそのものが大きくなってきています。それに伴い、配達以外にも課題・問題は山積している中、引受から配達までのバリューチェーン全体を変革していかないと将来的には安定したサービスの供給が難しくなってくるかもしれない。そう実感しているため、前回よりも広いテーマ設定にしました。

日本郵便・椎根氏 : メディアなどを通しても大きく取り上げられているように、物流業界はeコマース市場の拡大に伴い、物流量の増加や労働力不足など、多くの課題に直面しています。郵便・物流事業は想像以上に人手が掛かる事業で、現在の状況を打破しなければ安定したサービスを継続できないのではないかという強い危機意識を持っています。

私自身、昨年の秋までは郵便・物流営業部に在籍しており、営業の現場とコミュニケーションする機会も多かったため、その危機感は肌で感じています。日本郵便という物流などのインフラを担う企業として、誰でも安心して郵便物や荷物を送り、受け取れる世界をつくることは、私たちの使命です。そのため、今年の本プログラムは【誰でも誰にでも届けられる世界を、次の世代にも】というコンセプトをもとに設計しています。

日本郵便・福井氏 : 当社社員の多くが危機意識を持ち、志高く、サービスを提供できるよう努力を積み重ねています。当社の各担当部門は確かなビジョンと高度な技術を持ち、行動しています。彼らの抱えている課題を一緒になって解決してくれるパートナーと、このプログラムを進めていきたいですね。

トップから現場担当までがコミットし、意思決定も迅速

――第1期のDemoDayには、日本郵便の代表取締役社長である横山邦男氏も参加し、経営層もコミットしている点が特徴的でした。今回の第2期プログラムにおける強化ポイントがあれば、お聞かせください。

日本郵便・福井氏 : 第1期は、国内の郵便・物流部門のみでした。しかし、第2期からは、国際事業部門も本プログラムに参画することになり、テーマや事業範囲は前回よりも大きく広がりを見せています。なお、第2期では、4つの課題をもとにテーマ設定をしています。(5つ目のテーマとして、新サービスも設定。各テーマ担当への詳細インタビューは7月下旬にeiiconで掲載予定)

また、第1期のプログラムが注目を浴びたことで、当社の役員・部長クラスにもプログラムの認知が広がっています。「メンターとして協力したい」という声も挙がっていて、社内メンター数も前回に比べて増えています。

日本郵便・椎根氏 :第1期プログラム開催のときは、私は他部に在籍していましたが、同期からDemoDayを見に行ったと聞き、プログラムは知っていました。社内からの注目も高く、それだけにメンター陣も熱心に取り組んでくれていると思います。

サムライインキュベート・富樫氏 : 第1期プログラムのサポートをしながら感じたのは、日本郵便さんの役員の方々・ミドル層の方々の参画だけでなく、各テーマ担当の方々に至るまで、コミット力が強いということ。そして、意思決定も迅速です。さらに、実際の郵便局や郵便バイクなど、利用可能なアセットがとても広い点も魅力だと思います。

サムライインキュベート・成瀬氏 : こういった共創プログラムの場合、「アセットが使える」というものの、すぐに利活用できないケースも散見されます。しかし、本プログラムの場合は、スムーズにアセットを利活用することが可能です。その点でも、意思決定や対応スピードは非常にはやいと思います。

DemoDayがゴールではない

――スタートアップが本プログラムに参加することによって得られる“メリット”とは何でしょうか?

日本郵便・福井氏 : 私からは4点お話ししたいと思います。まず1点目。先ほどアセットの話が出ましたが、「14万台の車両」、「全国18万本の郵便ポスト」など、日本郵便の有する巨大な郵便・物流ネットワークの一部を利用した実証実験や、同ネットワーク上での早期実用化に向けた取組みが可能です。

――国内最大級の物流網を有する日本郵便のアセットを利活用できるということですね。2点目は?

日本郵便・福井氏 : 2点目は、私たちの熱量です。本気で取組みたい課題をテーマにしているので、当社の熱量は非常に高い。場合によっては、私たちがスタートアップの方々を煽ることも(笑)。逆に、スタートアップとしてはサービス・プロダクトの強化を図るいいチャンスになり得ると思います。

そして3点目は、DemoDayがゴールではないということです。第1期で採択したスタートアップ4社(オプティマインド/ecbo/MAMORIO/Drone Future Aviation)とは、実際に今も共創を行っており、実証実験やそのための準備などを進めています。その進捗に関しては順次ニュースリリースとして発信していく予定です。最後の4点目は、出資やマーケティング費用の拠出なども想定しているという点になります。

サムライインキュベート・成瀬氏 : 私たちサムライインキュベートとしても、優れたビジネスアイディアの企業には1社最大1000万円程度の出資を検討します。

日本の社会をより良くする、志高いスタートアップと組みたい

――それでは最後の質問です。どのようなスタートアップを共創パートナーとして迎えたいですか?

日本郵便・瀧本氏 : 繰り返しになりますが、第2期のテーマは、【郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する】です。そのコアテクノロジーとしては、「見える化」・「自動化」・「最適化」の3つに注目しています。技術面としては、これらに強みを持ったスタートアップとの共創に取組みたいと考えています。

――「見える化」・「自動化」・「最適化」というのは、具体的に言うとどのような技術ですか?

日本郵便・瀧本氏 : 「見える化」は、郵便物や荷物、またオペレーションのより細かなポイントを把握する技術。「自動化」は、現在人の手で行っている作業をロボットなどで補う技術。「最適化」は、これまで局員などの経験や知識に頼っていたオペレーションをAIなどにより最適にする技術。――ほんの一例に過ぎませんが、このような技術です。確かな技術力を有し、物流の課題を解決したいという志の高いスタートアップのみなさんにはぜひ、ご応募いただきたいですね。

サムライインキュベート・富樫氏 : 日本郵便さんは、国内最大級の物流網を持っている、いわば社会インフラを担う企業です。スタートアップの技術やアイデアが、日本郵便さんを通じて社会をより良い方向に変えることができる。そのくらいのスケールある共創を生み出すことも可能です。日本郵便さんと一緒に未来を創りたい。そういった気概を持ったスタートアップの方々にはぜひ来ていただきたいですね。

日本郵便・瀧本氏 : 私たちとの共創によって、日本の物流に新しい風を送る。そんなイノベーションを生み出していきましょう。

※「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 2018」の詳細はコチラから。

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:加藤武俊)

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