
境町×ACSL、全国で初となる「闇バイト」などの強盗・窃盗対策としてのドローン導入実証実験を実施
茨城県境町が、国産ドローンメーカーACSLと連携し、全国で初となる「闇バイト」などの強盗・窃盗対策としてのドローン導入に向けた実証実験を行った。自治体が本格的な防犯・見守り体制としてドローンを導入するのは全国初の試みであり、注目を集めている。
実証実験は2025年3月31日午後10時と4月1日午前1時の2回にわたり、夜間に実施された。境町と協力関係にある株式会社ACSLは、同町内に研究拠点を持つドローン関連の上場企業である。実験には境警察署も立ち会い、ドローンに搭載された赤外線カメラによって、人や車両の動きを検知できることが確認された。犯罪の抑止だけでなく、発生後の迅速な対応においてもドローンの有効性が実証された形だ。
使用機体は「PF2-AE」と「SOTEN」。安定飛行と検知性能を実証
実験に使用されたのは、ACSL製の産業用ドローン「PF2-AE」と「SOTEN」の2機種。「PF2-AE」は全長約1.1m、重量約9kgの大型機で、最大風速10m/sにも耐える高い安定性を持つ。一方、「SOTEN」は軽量・コンパクトでありながら、赤外線カメラによる映像取得を実現。最大飛行時間は25分と、巡回監視用途にも適している。いずれの機体も、映像伝送には2.4GHz帯を使用し、遠隔でのリアルタイム監視を可能としている。
テクノロジーで人手不足に挑む、町の持続性を支える取り組み
この取り組みの背景には、人手不足という現実的な課題がある。境町は、持続可能なまちづくりの一環として、新技術の積極導入を進めてきた。3月24日には、ACSLとの包括連携協定も締結。今後は、防犯に限らず、災害時の情報収集や高齢者の見守りといった分野への展開も視野に入れる。
国産ドローンが地域の安全インフラへ、全国展開の可能性も
ACSLは、画像処理やAIを活用したエッジコンピューティング技術を強みとする国産ドローンメーカーであり、これまでにもインフラ点検や物流、防災などの分野で実績を上げてきた。こうした技術が、いよいよ地域の安全・安心を守る最前線に導入される時代が到来したといえる。
境町の試みは、防犯体制の強化という喫緊の課題に対し、テクノロジーをもって挑む象徴的なモデルケースとなりうる。今後は実証結果をもとに、全国の自治体への横展開も視野に入れている。夜の闇に潜むリスクに対し、空からのまなざしが新たな抑止力となる日も遠くはなさそうだ。
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(TOMORUBA編集部)