1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. 再生可能エネルギー時代を支える新事業――三井不動産が「エネルギー・リソース・アグリゲーション事業」の実証実験を開始
再生可能エネルギー時代を支える新事業――三井不動産が「エネルギー・リソース・アグリゲーション事業」の実証実験を開始

再生可能エネルギー時代を支える新事業――三井不動産が「エネルギー・リソース・アグリゲーション事業」の実証実験を開始

  • 14098
1人がチェック!

脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの主力電源化が進む中、電力の需給バランスを維持することが大きな課題となっている。こうした背景のもと、三井不動産株式会社は、不動産アセットが持つ分散型エネルギーリソースを統合管理・制御し、調整力として市場に提供する「エネルギー・リソース・アグリゲーション事業」に乗り出した。2025年冬、柏の葉スマートシティを舞台に、業界初の実証実験が開始される。

エネルギー・リソース・アグリゲーション事業とは何か

本事業は、建物内の空調機器、給湯器、発電機、蓄電池、EV充電器などの分散型エネルギーリソースを統合し、一つの仮想的なエネルギー資源として管理・運用する仕組みである。これにより、電力の需給バランスの確保に貢献し、再生可能エネルギーの活用をより柔軟に行うことが可能となる。

電力の安定供給には、供給量と需要量のバランスを常に一致させることが不可欠である。バランスが崩れると、電力の周波数が乱れ、大規模停電につながる可能性がある。需給調整市場は、このバランスを取るために必要な「調整力」を調達する市場として2021年に創設され、2024年度から本格運用が開始された。

業界初の挑戦――不動産アセットの活用

三井不動産は、自社の保有・管理する不動産アセットが持つエネルギーリソースを統合管理し、需給調整市場に調整力を提供することで、電力の安定化に貢献する。これまで需給調整の手段としては蓄電池の活用が一般的だったが、建物内のあらゆるエネルギー機器を統合的に制御することで、より効率的な調整力の創出が可能となる。

本実証実験では、三井不動産を中心に、ダイキン工業、エクセルギー・パワー・システムズ、Yanekara、Shizen Connectといった企業が連携し、技術開発と市場運用の検証を進める。具体的には、以下の3ステップで実証実験を実施する。

  1. 制御実証:分散型エネルギーリソース機器の調整力を詳細に分析

  2. 市場投入実証:需給調整市場の模擬指示に応じた制御の達成度を評価

  3. 市場運用実証:実際の市場運用を想定し、事業の経済性を検証

オープンイノベーションによる新たなエネルギー産業の創造

今回の実証実験の特徴は、公民学連携によるオープンイノベーションを活用し、持続可能なエネルギー社会を実現する点にある。柏の葉スマートシティを舞台に、各社の先端技術を組み合わせ、エネルギーリソースの最適な活用方法を探る。

  • ダイキン工業:「DK-CONNECT」を活用し、業務用空調機器の制御による調整力を検証

  • エクセルギー・パワー・システムズ:「エクセルギー電池®」とEMS(エネルギー・マネジメント・システム)を活用した蓄電池と発電機の制御を検証

  • Yanekara:「YaneCube®」を活用し、EV充放電器の制御による調整力の創出を検証

  • Shizen Connect:分散型エネルギーリソースの統合システム構築に向けた環境整備を担当

本事業は、単なる電力調整の取り組みにとどまらず、新たなエネルギー産業の創造を視野に入れたものである。電力の安定供給と再生可能エネルギーの普及を両立させるこの挑戦は、日本のエネルギー政策にとっても重要な一歩となる。三井不動産は、今後もパートナー企業と共に事業を進化させ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化していく考えだ。

関連リンク:再生可能エネルギー主力電源時代を支える新事業領域 業界初 不動産アセットが有する分散型エネルギーリソースを活用した 「エネルギー・リソース・アグリゲーション事業」の実証実験を開始

(TOMORUBA編集部) 

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント1件

  • 後藤悟志

    後藤悟志

    • 株式会社太平エンジニアリング
    0いいね
    チェックしました