
NTT西日本×JIW×鹿島・太良広域連携SDGs協議会──ドローンで挑むカモ食害対策
佐賀県の鹿島市と太良町が取り組む「鹿島・太良広域連携SDGs推進協議会」において、新たな技術を活用した環境保全と地域産業の共存をめざす取り組みが始まる。西日本電信電話株式会社(NTT西日本)佐賀支店および株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)は、2025年3月より、ボート型ドローン「Waymark Boat」を活用したカモ食害対策の実証実験を支援する。この取り組みは、ICT技術とドローンを駆使し、農業被害の軽減と生態系の保全を両立させる新たな試みとして注目されている。
背景と課題
鹿島市と太良町は、佐賀県の西南端に位置し、有明海に面した地域である。この地は、海苔養殖や稲作・麦作が盛んな農業地域であるが、近年、淡水系のカモによる食害が深刻化している。カモは自由に海と畑を往来し、海苔や麦を食べるため、農家にとっては大きな課題となっている。
これまで、カモの食害対策としては、防鳥ネットの設置や音による威嚇などが行われてきたが、十分な効果が得られないことが多かった。そこで、より効率的で効果的な対策が求められる中、ICT技術とドローンを活用した新たな試みが始まることとなった。
実証実験の概要
今回の実証実験では、ボート型ドローン「Waymark Boat」を用いて、クリーク(河川や水路)を航行しながらカモを追い払う。Waymark BoatにはLEDライトが搭載されており、さらにドローンのプロペラ音を活用することで、カモにとっての警戒効果を高める狙いがある。
また、Waymark Boatによってクリークから飛び立ったカモに対しては、飛行ドローンを用いて追跡し、食害を未然に防ぐ仕組みも実験される予定だ。これにより、カモが特定の地域に定着しないようコントロールし、農作物への影響を最小限に抑えることを目指している。
このプロジェクトには、鹿島・太良広域連携SDGs推進協議会、NTT西日本、JIWの3者が協力して取り組む。
鹿島・太良広域連携SDGs推進協議会
実証実験の計画策定やフィールドの提供を担当。
株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)
Waymark Boatの運用や、実験の実施を担う。
NTT西日本
ICT技術を活用し、地域課題の解決を支援。プロジェクト全体の統括も担当。

この実証実験が成功すれば、鹿島市と太良町における農業被害の軽減に寄与するだけでなく、生態系の保全にも貢献できる。また、今回の取り組みをモデルケースとして、同様の問題を抱える他の地域にも応用できる可能性がある。
今回のWaymark Boatを活用したカモ食害対策は、単なる害獣対策にとどまらず、持続可能な地域産業の発展や環境保全の新たな形を示す重要な一歩となるだろう。これからの実証実験の成果に期待したい。
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(TOMORUBA編集部)