世界初の最先端血管内治療を実現するGlobal Vascular、総額11.7億円の資金調達を実施
Global Vascularは、既存投資家であるDiamond Medino Capitalに加え、田中貴金属工業、ファストトラックイニシアティブ、東京理科大学イノベーション・キャピタル、三菱UFJキャピタル、東京理科大学インベストメント・マネジメント、他を引受先とした第三者割当増資より、2023年11月にシリーズAにて総額11.7億円の資金調達を実施した。
今回の資金調達により、「下肢動脈疾患用薬剤溶出性ステントデリバリーシステム」の薬事承認取得に向けた「米国GLP試験施設における動物試験」を中心に「ステントデリバリーシステムの非臨床試験」を加速していく見立てだという。グローバルでの薬事承認を見据えたデータ取得により、世界中の下肢閉塞性動脈硬化症の患者へいち早く開発中の技術を届ける。
Global Vascularは2022年12月の創業当初から2.8億円の資金調達を実施しており、今回の調達により累計調達額は総額14.5億円になった。
資金調達の背景
下肢閉塞性動脈硬化症に代表される末梢動脈疾患の患者数は世界で2億人以上と言われている。下肢閉塞性動脈硬化症は足の痺れや壊疽を誘引し、最悪の場合下肢切断を余儀なくされる疾患となっており、その治療が全世界で行われている。現在、動脈硬化症の治療には「ステント」という金属円筒状の医療機器を留置し、血管が詰まった部位を内側から広げて血流量を確保する治療が主流となっている。下肢においても、太ももなどの膝上領域ではステント留置術が一般的だが、下肢では末梢に向けて血管が細く血流が遅くなり、血栓の形成や細胞の過増殖が生じやすく、血管が再び詰まりやすいために膝下領域においてはステントの開発が遅れている。
Global Vascularは2000年代から医工連携共同研究チームHasebe Research Groupの長年の研究にて研究・開発されてきたバイオマテリアル「フッ素添加ダイヤモンドライクカーボンコーティング(F-DLC)」を下肢に用いられるニッケルチタンステント表面に実装可能な技術に昇華し、他社がアプローチできなかった「生体と人工物との異物反応」の極小化を実現した。研究からエンジニアリング、治療ガイドラインを熟知した専門医を含めたマーケティング、製品化、製造販売承認取得までを一気通貫におこない、世界に先駆けた次世代ステントを世界中の医療現場に届けることを目指している。
調達資金の使途
<米国GLP試験施設での動物試験、国内外での非臨床試験>
・米国最大の動物実験施設にて安全性試験、薬物動体試験を実施する。
・国内外の施設にてエンジニアリング、CMC試験などを実施する。
<治験開始に向けた準備>
・非臨床試験データ取得後速やかに治験に移行するための準備を行う。
・データの充足性や治験プロトコルの妥当性について規制当局と議論する。
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