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東三河の共創プレイヤーが集結!事例から読み解くエコシステムを成長させるポイントは?――『東三河スタートアップ・エコシステム共創カイギ』イベントレポート

東三河の共創プレイヤーが集結!事例から読み解くエコシステムを成長させるポイントは?――『東三河スタートアップ・エコシステム共創カイギ』イベントレポート

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愛知県はスタートアップ・エコシステムの形成・充実を図っている。2024年10月には名古屋市鶴舞公園南側に日本最大級のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」を開設予定で、県の取り組みもいよいよ活況となってきた。この動きと連動するように、豊橋市、豊川市、蒲郡市、新城市、田原市、設楽町、東栄町、豊根村の8つの市町村で構成される東三河地域は意欲的にスタートアップの支援を行い、2021年に「東三河スタートアップ推進協議会」を発足させた。

それから1年半が経ち、活動の成果の発表を兼ね『Higashi Mikawa Co-Creation Day~東三河スタートアップ・エコシステム共創カイギ~』を2月16日に開催。同地域が持続的に発展していくために、他地域やスタートアップ、地場企業、大学・研究機関との共創について活発に議論された。


冒頭、愛知県 経済産業局 革新事業創造部 部長 柴山 政明氏、STATION Ai株式会社 パートナー戦略部 部長 公門 徹氏、スタートアップ推進議員連盟事務局長 今枝 宗一郎氏(ビデオメッセージ)が挨拶。柴山氏は「東三河はものづくりをはじめ、農業などが盛んな地域。そうした特性を活かしながら、産業の枠を超えた連携を実現している。全国でもモデルケースとなる取り組みと言えるだろう。これからも多くの方と共創し前に進んでいきたい」と意気込みを見せた。


▲愛知県 経済産業局 革新事業創造部 部長 柴山 政明氏


▲STATION Ai株式会社 パートナー戦略部 部長 公門 徹氏

本記事では、

【1】スペシャルセッション 「アトツギ・伝統産業×スタートアップ」地域を盛り上げる共創の方程式

【2】プロジェクト発表 「東三河スタートアップ推進協議会 地域課題解決プロジェクトピッチ」

【3】パネルディスカッション 「スタートアップ+地域課題 東三河の可能性を考えるカイギ」

といった3つのコンテンツが実施されたイベントの様子をレポートしていく。

【1】「アトツギ・伝統産業×スタートアップ」地域を盛り上げる共創の方程式とは?

『Higashi Mikawa Co-Creation Day~東三河の未来を考える!東三河スタートアップ・エコシステム共創カイギ〜』の1つ目のコンテンツは、地域を巻き込んだ先進的な取り組みを実現した立役者の方々によるスペシャルセッションだ。様々な実績や成果を生み出している登壇者たちが、”地域を盛り上げる共創”について活発に議論を交わした。


<登壇者>

有限会社エニシング 代表取締役社長 西村 和弘氏

株式会社リトルパーク 代表 古里 圭史氏

三星グループ 代表 岩田 真吾氏


<モデレーター>

eiicon company 広域エコシステム形成統括マネージャー 増尾 仁美


■「勝手に動き出す」若者を応援すること

本セッションでは、地域と結び付き新しい仕掛けをした実績を持つ西村 和弘氏、古里 圭史氏、岩田 真吾氏によって、新しい取り組みを成功に導く秘訣などが話し合われた。岩田氏は100年企業の5代目として活動を広げる傍ら、近年は「毛織物」をキーワードにさまざまな人が結び付く「ひつじサミット尾州」を手がけている。古里氏は業界に先駆けて電子地域通貨「さるぼぼコイン」を普及させ、西村氏は東三河地域の「前掛け」を世界に広めた。

西村氏は前掛けが「売上ゼロ」の状態から、今や世界60カ国以上でキッチンウェアとして親しまれるまでになった過程を振り返りながら、スタートアップを育成するベースとして人材創出の考え方について説いた。西村氏は「起業家は言われなくても自ら動き出す人。情熱を持って勝手に動き出す若者を応援することが大事。そこから産業が生まれる」と強調した。


▲有限会社エニシング 代表取締役社長 西村 和弘氏(写真左)

岩田氏は「経験があると、ついつい『それは無理だ』と言ってしまいがち。しかし、経験者から見れば常識外れでも、型破りなことをしようとする姿勢をまずは賞賛しなければならない」と同意した。

さらに西村氏は「最初からみんなが良いねと言ってくれるようなものは失敗するケースが多い。100人中99人が絶対に無理だと言うもののほうが、大きな成功を収める」との見解を示し、自身がまったく理解できなくても、まずはやらせてみることが大事だと説明した。その上で、西村氏は起業を成功させるポイントとして、「人任せにしない」「魅力を外に発信する」「結果が出るまで10年続ける」ことと紹介。加えて、「前掛けそのものがヒットしたと見るのは短絡的で、10年以上語り続けてきたからヒットした。この点を勘違いしないようにしてほしい」と熱く語った。

古里氏も自身の体験を振り返った。バーコードやQRコードを読み取って使用する電子通貨は、今でこそ当たり前に行われているが、さるぼぼコインが世に出たのは2017年で、当時はQRコード決済もほとんどなかったという。古里氏は「今や全国に広がる電子通貨が、地方から生まれたのは誇らしく思う。こうしたアイデアが出せたのは、私が金融畑ではなかったから。Uターンで飛騨高山に戻り、フラットな目線で金融機関に求められていることを考えられた。また、当時は改革の機運が転職先の飛騨信用組合にあり、新しいことへの挑戦も後押しされた。その点は非常に運が良かったと思う」と、さるぼぼコイン成功の背景を伝えた。


▲株式会社リトルパーク 代表 古里 圭史氏

岩田氏からは「私の場合は跡継ぎということもあり、東京から地元に戻る必然もあったが、古里さんは学生時代を東京で過ごし、そのまま就職して第一線で活躍していた。そうした若者がUターンをしようと考えたのはなぜか。また、Uターンすることに躊躇はなかったか」と問いかけると、古里氏は「熱心に口説かれたので」とヘッドハンティングがあったことを明かした上で、地方が人材を呼び込むポイントとして、「受け入れがしっかりしていることが大切」と解説した。「以前の仕事から離れるのは戸惑いも迷いもあった。しかし、受け入れ先が私に何を求め、新たな環境でどんなことが出来るのか明確だったから、前向きな気持ちになり、楽しい未来が予感できた」と回答した。


■熱い思いがあれば、必ず賛同者は現れる

続いて、岩田氏は「ひつじサミット尾州」の背景や実際の取り組みを紹介した。発端は2020年のコロナ禍だ。スーツなど毛織物の需要が大幅に減って業界に危機感が募り、ライバル関係にある企業同士でも連携することが必要ではないかとの声が出始めたという。そこで岩田氏は、産業観光、地域創生、持続可能性、事業継承、担い手育成の5つについて、どれか1つにでも共感できたら参加条件は満たすとする「ゆるい」つながりの仲間を集め、ウールの魅力を伝える産業観光イベントを開催するに至った。


▲三星グループ 代表 岩田 真吾氏

ひつじサミット尾州は2日間の日程で2年連続開催され、いずれも1万5000人以上が来場し、1000万円以上の売上になった。全国メディアにも取り上げられ「尾州」の名が広く知られるようになったこと、参加者同士の結び付きで新たなブランドも創出されるなどの成果も上がったという。岩田氏は「何より嬉しかったのは、参加事業者が自ら楽しみながらひつじサミット尾州を運営したこと。東京から来た若手社長が好き勝手なことを言っているという批判にさらされる可能性もあったが、そうはならなかった。参加事業者はひつじサミット尾州を行うことに意義を感じてくれた。このまま続けたいという声も多かった。だからこそ、2年続けたし、3年目も実施する予定」と熱弁を振るった。

岩田氏によれば、ひつじサミット尾州は最初、すべて「手弁当」で行っている。西村氏は「そこに成功の鍵があったのではないか?」と分析。「最初から援助がある中で物事を始めると、情熱が半減する」と指摘した。岩田氏は「自らの持ち出しでひつじサミット尾州を続けているが、思った以上に賛同や応援を得られている。やることに意義がある、やることそのものが成果。そうした思いで続けているからこそ、多くの協力者を生み出しているのだと感じている」と述べた。3人の話は尽きない様子だったが、ここで一旦、セッションの幕が閉じられた。


【2】東三河スタートアップ推進協議会の6プロジェクトがピッチ

東三河スタートアップ推進協議会では、起業家や共創を継続的に生み出すために6つのプロジェクトを進めている。2つ目のコンテンツとして、各プロジェクトのピッチが実施された。


■Higashi Mikawa UPPERS プロジェクト

豊橋市 産業部 地域イノベーション推進室 室長補佐 小野 健太郎 氏


同プロジェクトは、起業や新規事業に気軽に挑戦できる場の醸成と、地域の応援者と共創しやすい環境作りを目的に進められている。起業や新規事業創出を目指す発起人、共感する応援者や課題提供者の出会いからチームを結成し、4カ月を1つのサイクルとして事業化を目指す。各チームの事業化の進捗フェーズは様々で活動内容も多様だが、現場に飛び込んで試行錯誤することは共通している。プロジェクトは現在3期目に入り、21チームの活動が展開されている。0期にアイデアの段階だったチームが、現在、具体的なサービスを世に出すところまで至っている例もあるとのことだ。


■東三河地域共創プロジェクト

豊橋市 産業部地域イノベーション推進室 主事 澤田 恭平氏

武蔵精密工業株式会社 MUSASHi Innovation Lab CLUE Innovation Designer 鈴木 隆文氏


同プロジェクトは、地域の事業会社と起業家・スタートアップとの出会いを創出すると共に、資金調達や専門知識などの獲得を支援して事業化を目指すことを目的に進められている。具体的な活動として、これまでにピッチイベント、エンジェル投資家を知るトークセッション、オープンイノベーションを進めるための勉強会などが実施されている。同プロジェクトは起業家・スタートアップはもちろんのこと、地域の事業会社が新たな取り組みを行う際の支援にもなっている。


■東三河共創促進に向けた仕組化・可視化プロジェクト

株式会社エムキャンパス 事業共創ラボ 袴田 有紀子氏


同プロジェクトは、各所に散らばる情報を集約するための仕組を構築し、一元化した情報を分かりやすく可視化することを目的に進められている。一例としては、「各プロジェクト活動報告情報集約シート」を作成し、プログラムの内容、対象者、時期、問い合わせ先を整理して一覧で確認できるようにした。また、プロジェクトの報告書を統一するなどしている。なお、同プロジェクトはより高い効果を出すために「東三河共創促進に向けた情報発信・PR プロジェクト」と連携している。


■東三河8市町村実証実験サポートプロジェクト

株式会社サイエンス・クリエイト 事業推進部 部長 夏目 崇匡氏


同プロジェクトは、東三河で地域の課題解決に向けた検証がスムーズにできる体制を構築することを目的に進められている。課題を抱え困っている人と、地域の内外に存在する課題解決のノウハウを持ったスタートアップなどを結びつけることが狙いだ。具体的な取り組みとして、スタートアップが東三河の市町村などに向けて、事業内容などを説明する場の設置などがある。中には、具体的な実証実験に向けた取り組みも出てきているとのこと。今後は、スタートアップなどの受入体制が整っていることを内外に向けてますます発信していくことなどを予定している。


■大学連携プロジェクト

豊橋市 産業部 地域イノベーション推進室 主任 室井 崇広氏


同プロジェクトは、地域や大学における研究シーズの社会実装、起業家育成の強化を目的に進められている。東三河地域では元来、大学や研究機関などとの連携が行われてきた。同プロジェクトでは、その動きをさらに発展・加速させるのが狙いだ。具体的な取り組みとして、「地域を知る」「地域で試す」「地域で共に創る」の3つのステップで事業化を目指しており、2022年には第一ステップとして東海地区で初めてとなる、「超異分野学会 豊橋フォーラム」が開催された。同会では40のプロジェクト案が生まれたとのことだ。


■東三河共創促進に向けた情報発信・PR プロジェクト

株式会社サイエンス・クリエイト Startup Garage コミュニティマネージャー 勝間 亮氏


同プロジェクトは、東三河の地域のスタートアップ・エコシステム全体の情報発信、さまざまな団体からもたらされる情報を、点ではなく面で地域で活動しようとする人のために必要な情報をわかりやすく可視化し、発信することが狙いだ。具体的な活動として、Facebook起業家コミュニティの立ち上げのほか、note、YouTube、ラジオの活用などがある。同プロジェクトでは、共創などの活動で導き出されたノウハウも随時、発信している。

※note URL:https://note.com/em_uppers/all

【3】パネルディスカッション スタートアップ+地域課題 東三河の可能性を考えるカイギ

イベント最後に行われたのは、自治体の担当者とスタートアップによるパネルディスカッションだ。東三河エリアにおいて、実際にどのような共創プロジェクトが推進されているのだろうか。そして、推進するためのポイントとは?――4人の登壇者がそれぞれの思いを語った。


<登壇者>

豊川市 産業環境部 商工観光課 課長補佐 柴田 進太郎氏

株式会社トイポ 執行役員 石橋 昴大氏

設楽町 企画ダム対策課 移住定住推進室 主事 小澤 智則氏

株式会社picks design 代表取締役 松浦 克彦氏


<モデレーター>

eiicon company 広域エコシステム形成統括マネージャー 増尾 仁美


■スタートアップの目線で見れば、東三河には豊富な魅力がある

本セッションでは、「地域課題をスタートアップがどう解決していけるのか」「東三河だからこそスタートアップに提供できる価値とは何か」をテーマにディスカッションが行われた。

トイポとpicks designはいずれも東三河スタートアップ推進協議会の支援を受けている。トイポは、飲食店など来客型店舗に対して、リピーター集客を支援するミニアプリのプラットフォームを開発。初期費用はかからず、既存顧客に向けて販促をすると共に、課題の可視化と分析も行えるのが特徴だ。picks designは地域の食材を届ける「そのとちぎふと」を展開。地域の食材を定期的に届けると共に、冊子を同封するなどして、興味関心を引き起こしながらユーザーに地域への訪問を促す。

まずは「地域×スタートアップの共創によるそれぞれの立場にもたらす価値とは」について話し合われた。松浦氏は「地域にどういうものがあるかはネットを調べればある程度のことわかる。しかし、得られる情報はいかにも表層的。実際に現地に足を運び、地域の方たちとコミュニケーションを取ることで、実際に何を思いどんな課題を抱えているかが見えてくる。また、よそ者だからこそ見えてくる課題や良さもある」と答えた。


▲株式会社picks design 代表取締役 松浦 克彦氏

小澤氏は「スタートアップと連携することで、地域の方から直接、課題を聞けたのは大きかった」と自らの体験を振り返りながら、「特に、外部から若い人材が来ることは地域にとっても刺激となり、普段は話さない話題が出ることもある」と手応えを語った。

さらに、「いきなり町に移住とならなくても、町と何らかの関係を持ったり、交流をしたりする人が増えるのも大きなこと。そうした人を増やすには、設楽町という”点”だけを見ていては限界がある。東三河という”面”で受け入れれば、いずれ設楽町にも興味を持ってくれる可能性は十分にあるし、反対に設楽町から他の市町村への興味関心を喚起することもできる。東三河という”面”でスタートアップを受け入れたい」と熱弁を振るった。


▲設楽町 企画ダム対策課 移住定住推進室 主事 小澤 智則氏

これに対し石橋氏は「一つの市町村に限定することなく、東三河という地域で様々なことを行っている。随時、東三河のスタートアップでなくとも、各地域の事業会社を紹介するなど、マッチングも行ってくれた。結果として理想的な出会いを果たすこともでき、良い意味で東三河地域に巻き込まれていった感覚がある」と述べ、広範囲な地域を舞台に活動することのメリットを伝えた。


▲株式会社トイポ 執行役員 石橋 昴大氏


■東三河という”面”でスタートアップを受け入れる

次に「共創を加速するために必要な要素と必要なアクションとは?」を議題にした。柴田氏は「自治体にどういうことを望むかが明確だと、アクションが取りやすい。また、事業や課題解決に向けて思いがあると応援しようという気持ちが強くなる」と回答した。

柴田氏は松浦氏と面談の場を持った時のことを例に挙げ「地域の良さをデザインの力で外部に伝えたいという思いがあった。その思いが強く、突き動かされるところがあった」と付け加えた。


▲豊川市 産業環境部 商工観光課 課長補佐 柴田 進太郎氏

石橋氏は「共創を試みる時は、双方にメリットを提供するようにしている。自分たちの利益だけを考えていては話が進まない。win-winの関係になるように設計する必要がある」と語った。これに対し、松浦氏から「共創では双方に歩み寄りが求められるが、その時に大切にしている心構えなどがあるか」との問いが出された。

石橋氏は「本音で話すこと。駆け引きをすると距離が生じてしまう。こちらからは弱点も包み隠さず明かすようにしている。歴史ある事業会社だと、スタートアップとの文化の違いがあるのは当然。その点を理解して、どのように共創を行えるか、相手の行動原理を考えて行動する必要がある」と答えた。モデレーターの増尾は「スタートアップと事業会社、双方がお互いを思って歩み寄り、スピード感を持ってアクションを起こすことが共創には欠かせないと考えられる」とまとめた。


最後に「東三河のスタートアップ・エコシステムって一言でいうとどうなると理想?」を議題に取り上げた。小澤氏は「一つの市町村でスタートアップを受け入れるにとどまらず、東三河という”面”で受け入れるのが理想。実際、松浦さんと共創はしているが、『そのとちぎふと』は設楽町のみでは完成しない。豊川市や豊橋市などとつながることで形になった。東三河のスタートアップ・エコシステムの良い事例になるのではないか」との見解を示した。

柴田氏は「愛知県だからというわけではないが、『愛』のあるエコシステムにしたい。愛といっても決して重苦しいものではない。もっとカジュアルに、『1回デートしてみませんか』という程度のことを気軽に言え、まずはやってみようの姿勢で共創を進められる体制を目指したい」と述べ、セッションを締めくくった。

「東三河らしい」エコシステム形成への思いを新たにする

クロージングとして、東三河スタートアップ推進協議会 会長の神野 吾郎氏が登壇。神野氏は「東三河全体で産学官が一致団結しており、これからの発展に大きな期待が持てる」と本イベントを振り返った。

その上で、「東三河は自然環境、大学、製造業、一次産業などが盛ん。本当に魅力ある地域。さまざまな可能性があるのだから、他の地域の真似とならず、『東三河らしさ』を存分に発揮したいと思う。そのために、どのようなスタートアップ・エコシステムの形成が適しているか、目指す姿はどんなものか、改めて思案する必要もあるだろう。私の思いとしては、少々大きなこと言うが、住んで良し、育てて良しの世界一住み良い街・地域にするのが夢。この先、1年後2年後どのような変化が起き、どのような景色が見えているか、とても楽しみにしている。理想のスタートアップ・エコシステムの実現のため、ビジョンを描き、時にハードワークで邁進してほしい」とエールを送った。


▲東三河スタートアップ推進協議会 会長 神野 吾郎氏

この後、交流会が開かれ、参加者同士で意見交換などを行った。会は非常な盛り上がりを見せ、新たな共創の萌芽を感じさせるものとなった。


編集後記

本イベントは“面”が一つのキーワードだった。どの登壇者も口々に「東三河という“面”で」と話していた。そこに東三河地域の一体感はもちろんのこと、地域全体でスタートアップを受け入れる、エコシステムを形成させるという強い意志も感じられた。既に複数のスタートアップが東三河という“面”を舞台に成長と飛躍を遂げている。一つの自治体では実現困難なことも、複数の自治体が“面”として活動することで、成し遂げられることは多くあるだろう。東三河地域の取り組みが愛知県全体をはじめ、日本全国に広がれば、オープンイノベーションもまた違った展開を見せるのではないか。東三河地域やSTATION Aiの今後の動きから、目が離せない。

(編集:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)

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