「待つをなくす」サービス提供のバカン、約8億円を調達
AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するスタートアップ、株式会社バカンは、複数社を引受先とした第三者割当増資ならびに融資により約8億円の資金調達を実施。これにより、これまでの累計調達額は、約28億円となった。
今回の新規投資家として、りそなキャピタル6号投資事業組合、四条、エッグフォワード、ユニゾンシステムズ、グローバルキャスト、ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社、TVQ九州放送、Hamagin DG Innovation Fund、戸田建設を引受先とした。今後、コロナ後の人出増加を見据え、これまで出資した事業会社との連携も含め、観光地や宿泊施設、商業施設、交通などの領域へのサービス展開を強化していくという。
資金調達の目的
新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いてきた中でも、インバウンド需要の回復や外出機会の増加などから混雑解消、抑制のニーズは依然として高く、創業以来提供してきた「待つをなくす」サービス群の導入が伸びているという。また2020年末に立ち上げた、個室内に広告を配信するトイレサイネージメディア「アンベール」も、閲覧者の属性や性別などでターゲティングできるOOHとして成長を続けており、累計設置数が一年で2倍超に伸びている。今回の資金調達を経て、さらなる導入の加速と顧客体験の向上を目指し、投資を強めていくという。また今回出資した事業会社と連携することで、様々な都市空間での混雑や待ちの課題を解決する「待つをなくす」プラットフォームの構築を目指し、事業の展開を加速させていくという。
事業ハイライト
1.「待つをなくす」サービス
現在、商業施設、オフィス、宿泊施設、自治体施設など、15,000以上の場所にサービスを提供。導入場所では、売上の増加、人件費の削減、利用客満足度の向上などの効果が確認されている。
世界的な感染症への対応の変化により人出が増加しており、国内観光地への来訪数がコロナ禍前の水準まで回復してきている地域も増えてきている。2022年には前年比15倍の383万人※1の訪日外国人が記録されている。このような人出の増加による、混雑の抑制や解消、管理に対する需要増加に伴い、サービスを提供することをより加速していく予定だ。
※1 出典:日本政府観光局
<導入による成果(一部抜粋)>
①百貨店:飲食店の混雑可視化、イベント時の待ち列管理を通じて混雑する飲食・イベントフロア以外への回遊を促し、売上増を実現。
②宿泊施設:大浴場の混雑状況の可視化を手作業から自動検知へ移行し、利用客満足度の向上と人件費の大幅削減を実現。フロントの問い合わせが70%減といった事例も。
③カフェ:スマホからの個室ブース席の「座席キープ」で、CS向上・運用コストの削減に加え、座席利用の収益化を実現。利用者アンケートでは、回答者の90%から「サービスの継続利用を希望する」といった声を得る。
④観光地:伊勢神宮を中心としたエリア全体の混雑可視化/予測で、安心して滞在できる環境をPRし、観光客を誘客。
⑤投票所:選挙期間中に10,000以上の閲覧があり、これまで混雑していた投票所の混雑が解消されるなど、分散投票の促進をサポート。
2. トイレサイネージメディア
トイレサイネージメディア「アンベール」は、2020年末から本格商用展開を開始し、この市場においては現在設置台数No.1※2となっている。都心部を中心としたオフィスや商業施設など約7,000箇所で展開し、トイレ個室内での認知を目的とした新たなサイネージメディアだ。
日本国内のデジタルサイネージ広告市場は、2022年に690億円(前年比119%)と推計され、2026年には2022年比194%増の1,338億円まで成長すると見込まれている※3。その中でも、トイレ内広告は、利用者の注視率の高さや性別といった利用者属性に応じた広告配信が可能な点から、新たなOOH市場として成長が期待できるという。
累計設置数は1年間で2倍超に増加しており、大手製薬メーカーや消費財メーカー、BtoBサービス企業など、多くのブランド広告主が活用している。また個室内での広告配信と、洗面台などでのサンプリングを組み合わせた、新しい訴求方法の提供も開始しているという。
▲トイレサイネージの累計設置箇所の変化
※2 株式会社バカン調べ(2022年12月時点)
※3 出典【 株式会社CARTA HOLDINGS「デジタルサイネージ広告市場調査」(2022年12月発表)】
今回の新規引受先
・りそなキャピタル6号投資事業組合
・株式会社四条
・エッグフォワード株式会社
・株式会社ユニゾンシステムズ
・株式会社グローバルキャスト
・ENEOSイノベーションパートナーズ合同会社
・株式会社TVQ九州放送
・Hamagin DG Innovation Fund
・戸田建設株式会社
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