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TOWING×大林組 | 宇宙農業の実現に向けて月の模擬砂を用いた植物栽培実験に成功

TOWING×大林組 | 宇宙農業の実現に向けて月の模擬砂を用いた植物栽培実験に成功

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株式会社大林組と、株式会社TOWINGは共同で、月の模擬砂と有機質肥料を用いた植物栽培を実証実験し、作物の栽培に成功した。

▲上写真:月の模擬砂から製造された多孔体

宇宙農業の実現に向けた栽培

近年、宇宙開発利用の拡大に向けた取り組みが活発化している。月面開発については、米国が提案した国際宇宙探査計画「アルテミス計画」に日本も参加表明しており、複数の省庁で宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)の一環として、月面開発に向けたさまざまな取り組みが行われている。

月面における有人活動には、水や食料などの物資が不可欠で、初期には地球から輸送するが、長期的に継続して活動を行うためには、月面の資源を利用することや物資循環を行うことが必要と考えられる。また、月面の人工光型植物工場のような施設で植物栽培を行うことで、地球からの輸送物資の大幅な削減と滞在期間中のQOL(生活の質)の向上を実現できる。しかし、植物栽培のためのシステムをすべて地球から輸送する場合、輸送コストが障壁となる。

そこで、大林組とTOWINGは共同で、月の砂を植物栽培が可能な土壌とするための技術を開発した。大林組は、月の砂をマイクロ波やレーザーを用いて建材化する技術開発をJAXAなどと実施しており、TOWINGは無機の多孔体(*1)を設計する技術を保有している。また、TOWINGは国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構が開発した人工的に土壌化(*2)を行う技術を活用し、有機質肥料を用いた人工土壌栽培を可能にするノウハウも保有。今回の植物栽培実験ではそれらの知見を組み合わせて、月の模擬砂から多孔体を設計・製造し、それを土壌化してコマツナを栽培した。

(*1)多孔体:活性炭やゼオライト、軽石などの内部に細孔(空隙)を有するものであり、主として触媒担体や吸着剤などに利用されている。

(*2)土壌化:砂の中に土壌微生物を固定化して、有機質肥料を植物の吸収しやすい無機養分に分解できるようにすること。


▲多孔体の電子顕微鏡写真


▲月の模擬砂から製造した多孔体を用いた植物(コマツナ)栽培

 

同技術の特長

■宇宙で発生する廃棄物を有機質肥料として利用できる人工土壌

宇宙での植物栽培に水耕栽培や養液栽培を用いると、化学肥料を地球から運ぶか、宇宙で製造する必要がある。今回開発した技術は、有機物を肥料として利用していることから、人間から排出される糞尿や食品残渣(ざんさ)などの有機性廃棄物を循環利用し、化学肥料の製造が不要になるため、高効率に植物生産し、持続可能な農業を実現できる。

■高い回収率で多孔体を製造

土壌とする多孔体は月の模擬砂を、マイクロ波で加熱焼成し、製造した。その際、温度状況に偏りが生じて、植物栽培に適した多孔体の割合(回収率)が下がることがある。宇宙ではエネルギーが貴重な資源であるため、回収率を上げることが必要。

今回開発した技術では、均質に加熱できるため、製造物のほとんどのものが植物栽培に適したものとなり、エネルギーを有効活用できる。

■さまざまな植物種の栽培と食味の再現

低重力で閉鎖された空間での生活で、人が人として生きるためには食生活は重要な要素になる。

今回開発した技術は、土壌由来の微生物を利用するなど土壌で育てる条件に近いため、根菜類や大きな作物などの栽培も可能。今後、葉の硬さなど人の身体的な感性に訴える多様な食味を再現する。

大林組とTOWINGは、月面での植物栽培技術を実用化することで、宇宙活動でのQOLの向上を実現し、未来の持続可能な宇宙開発に貢献していく。

関連リンク:プレスリリース 

TOMORUBA編集部) 

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