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養蚕文化が支える次世代ブルーフード Insect Technology×琉球大学の共同研究によりエリサン由来飼料で陸上養殖魚の成長・健康効果を実証

養蚕文化が支える次世代ブルーフード Insect Technology×琉球大学の共同研究によりエリサン由来飼料で陸上養殖魚の成長・健康効果を実証

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株式会社Insect Technologyは6月12日、野蚕(やさん)の一種である「エリサン」の蛹を活用した陸上養殖用飼料の研究成果を発表した。同社は琉球大学との共同研究により、エリサン由来タンパク質が魚粉の代替原料として有効であることを実証。あわせて、研究成果の社会実装を見据えた共創イベント「Local Blue Table 2026」を6月26日に開催する。

近年、養殖業界では主要原料である魚粉の価格上昇や供給不安が深刻化しており、代替タンパク源の開発が急務となっている。こうしたなかInsect Technologyは、日本各地に根付く養蚕文化と最先端の陸上養殖技術を組み合わせた新たな食料生産モデルの構築を目指し、エリサンを活用した研究開発を進めてきた。

ヤイトハタで検証 魚粉15%代替でも同等以上の成長性能

今回の共同研究では、エリサン蛹を粉末化した昆虫タンパク質を魚粉の15%代替として配合した飼料を開発。沖縄の高級魚として知られるヤイトハタ(ミーバイ)を対象に、従来の魚粉主体の飼料との比較試験を実施した。

試験は2025年10月から12月にかけて琉球大学研究共創機構で行われた。飼料設計では粗タンパク質量や脂質量を両区で同一とし、魚粉を60gから45gに削減する代わりにエリサン蛹粉末15gを配合した。

その結果、体重増加率はエリサン配合飼料が156.7%、魚粉飼料が153.9%とほぼ同等の成長性能を示した。また、生存率は両区とも100%を達成。飼料効率についても悪影響は確認されず、エリサン由来タンパク質が魚粉の代替原料として十分機能する可能性が示された。

ストレス低減にも期待 「シルクフェッドフィッシュ」の可能性

さらに注目されるのは、魚の健康状態に関する知見だ。エリサン配合飼料を摂取した魚では、酸化ストレスの指標であるTBARS(MDA値)やストレスホルモンであるコルチゾール値の低下が確認された。一方で血糖値はやや高い傾向を示し、活発な代謝状態を維持している可能性が示唆されたという。

こうした結果について同社は、エリサンに含まれる抗酸化性成分が魚のストレス軽減に寄与している可能性があると分析する。特に高密度飼育が一般的な閉鎖循環式陸上養殖において、魚の健康維持や品質向上につながる可能性があり、単なる代替タンパク源を超えた「機能性飼料原料」としての価値も期待されている。

琉球大学の福永耕大特命助教は「野蚕エリサン由来原料が魚粉の一部代替として機能し得ることが示された。持続可能な水産資源利用に向けた新たな飼料選択肢として意義がある」とコメント。また、成泰敬特命助教も「エリサン蛹に着目した養殖飼料研究はまだ少なく、地域未利用資源の活用という観点からも今後の展開が期待される」と評価している。

実食イベント「Local Blue Table 2026」で社会実装を加速

研究成果の社会実装に向けた取り組みとして、同社は6月26日に東京・渋谷で「Local Blue Table 2026」を開催する。同イベントでは、エリサン由来飼料で育てた「琉球シルクミーバイ」をはじめとする陸上養殖魚の試食に加え、研究者や養殖事業者、食品関連企業、デザイナー、学生らが参加し、持続可能なブルーフードの未来について議論する。

単なる試食会ではなく、陸上養殖が地域にもたらす価値や可能性を多様な立場の参加者が議論するマルチステークホルダー型の共創イベントとして位置づけられている点も特徴だ。

養蚕×フードテックで地域循環型産業モデルの構築へ

Insect Technologyが描くのは、養蚕と陸上養殖を結び付けた地域循環型産業の創出だ。食品残渣や農業未利用資源をエリサンの飼料として活用し、養蚕を通じた農福連携や地域雇用を創出する一方、繭は機能性繊維として利用。さらに蛹を養殖飼料へ転用することで資源を余すことなく活用する循環モデルを構築する。

現在は沖縄に加え、世界遺産・富岡製糸場のお膝元である富岡市でもエリサン養蚕を開始。今後は群馬、埼玉、長野、新潟など全国各地の養蚕地域と連携しながら、「シルクフェッドフィッシュ」として高付加価値な地域産ブルーフードの展開を目指す。

昆虫資源、養蚕文化、陸上養殖という異なる領域を横断しながら、日本発の持続可能な食料生産システムの実現に挑むInsect Technology。その取り組みは、地域資源を活かした新たな食と産業の循環モデルとして今後の展開が注目されそうだ。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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  • 川村祥人

    川村祥人

    • LushAura株式会社
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