1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. JR東海×zeteoh、高速走行中の新幹線車内で高精度な位置測位に成功――空間AI活用で設備投資ゼロ・誤差3m以内を実現
JR東海×zeteoh、高速走行中の新幹線車内で高精度な位置測位に成功――空間AI活用で設備投資ゼロ・誤差3m以内を実現

JR東海×zeteoh、高速走行中の新幹線車内で高精度な位置測位に成功――空間AI活用で設備投資ゼロ・誤差3m以内を実現

0人がチェック!

東海旅客鉄道株式会社(JR東海)とzeteoh株式会社は、高速走行中の新幹線車内における精緻な位置データ取得の実証実験(PoC)を共同で実施し、最高時速285kmで走行する車内環境において誤差3メートル以内の高精度な位置測位に成功したと発表した。新たな設備投資を行うことなく、スマートフォンと空間AIを活用して実現した点が大きな特徴だ。

今回の成果は、2026年5月に名古屋市内で開催されたJR東海主催の「2026年度技術開発フォーラム」においても紹介され、鉄道業界におけるデジタル技術活用の新たな可能性として注目を集めた。

新幹線車内での位置把握という難題に挑戦

鉄道車両内で人やモノの位置情報を正確に把握することは、サービス向上や業務効率化、安全管理の観点から重要なテーマとなっている。しかし、従来の屋内測位技術の多くは、Bluetoothビーコンなどの固定設備を設置する必要があり、運行中の新幹線車両のような特殊な環境では導入コストや運用面で課題があった。

こうした課題に対し、zeteohは独自開発の空間AIプラットフォーム「TRAILS」を活用。スマートフォンに搭載されている加速度センサーやジャイロセンサーなどの情報を取得し、独自のAIアルゴリズムで解析することで、追加インフラなしで高精度な位置推定を可能にした。

今回のPoCでは、実際に走行する新幹線内で取得したセンサーデータを学習データとして活用。最高時速285kmという高速移動環境下でも安定した測位を実現し、誤差3メートル以内という実運用レベルの精度を達成した。

設備投資不要で導入障壁を大幅に低減

今回の技術的成果の大きなポイントは、専用設備や固定インフラを新たに設置する必要がないことだ。

従来型の屋内位置測位システムでは、測位精度を高めるためにビーコンやセンサー網の構築が必要となり、導入・保守コストが課題となっていた。一方、「TRAILS」は既存のスマートフォンのみで利用できるため、初期投資を抑えながら位置情報の取得が可能となる。

この仕組みは、新幹線のような移動空間だけでなく、工場や物流倉庫、建設現場など、広範囲かつ動的な環境での活用も期待される。設備導入のハードルを下げることで、これまで取得が難しかった現場データの可視化や分析を促進する可能性がある。

物理空間の知能化を支える空間AIへ

zeteohは2020年設立のディープテックスタートアップで、「産業の自律稼働」を実現するための空間AI技術の開発を進めている。

同社は、人の動きや業務プロセスといった物理空間の情報をデータ化することを重要なテーマに掲げており、その技術力は国際的にも評価されている。世界108カ国・4,800社以上が応募したディープテック分野の国際コンペティション「Hello Tomorrow」では、「Deep Tech Pioneer」に選出された実績を持つ。

また、JETROやフランスのスタートアップ拠点「STATION F」、カナダ発のアクセラレーションプログラム「Creative Destruction Lab Paris」、米国の「Industry 4.0 Accelerator」など、国内外の有力プログラムにも採択されている。

今後、zeteohは鉄道業界での活用にとどまらず、製造業や物流、建設業など、現場データの取得と最適化が求められる産業領域へ展開を進める方針だ。

設備投資を最小限に抑えながら、高精度な位置データを取得できる空間AI技術は、現場のDXを加速させる基盤技術として期待が高まる。今回の新幹線車内での実証成功は、その実用性を示す重要な一歩となりそうだ。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント0件