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東急電鉄が第3期アクセレータプログラムを開催。対象領域を10に拡大し、「想定を超える」企業との出会いを望む。

東急電鉄が第3期アクセレータプログラムを開催。対象領域を10に拡大し、「想定を超える」企業との出会いを望む。

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東急電鉄株式会社は4月18日から、法人設立5年以内のベンチャー企業を対象に事業共創を目指す「東急アクセラレートプログラム2017」(TAP)を実施している。同プログラムは東急線沿線の生活利便性を高める新たなサービスの創出と、渋谷を中心としたベンチャー企業の持続的な成長を支えるエコシステムの構築を目的に行われる。

2015年から年に1回のペースで開かれ、これまでにのべ212社の応募があり、そのうち受賞企業を含めた7社と11件のテストマーケティングを実施し、3件の業務提携、出資を完了。3期目となる今回は扱う事業領域を拡大させ、さらに活発化させる。プログラムにかける意気込みや特徴を、事務局を務める山口ほたる氏にお伺いした。

対象領域を10に拡大。

――TAPは今回で3期目となりますね。対象の事業領域を拡大させるなど、東急グループ内におけるオープンイノベーションの盛り上がりを感じました。

はい。1期目は3つの事業領域でしたが、2期で3つ増え、今回の3期でさらに4つが加わり、合計で10の事業領域を扱うことになりました。具体的には「交通」、「不動産」、「生活サービス」、「IoT・スマートホーム」、「広告・プロモーション」、「インバウンド・トラベル」、「エンターテック・次世代エンタテイメント」、「スポーツテック・次世代スポーツ」、「ヘルステック・ヘルスケア」、「デジタル・マーケティング」です。領域が拡大した背景には、熱量の高いグループ会社が出てきたことにあります。プログラムの評判を聞いたり、オープンイノベーションに興味があったグループ会社が参加を伝えてきました。なお、TAPは東急電鉄が主催していますが、グループ全体で取り組むという位置づけです。

――なるほど。他のアクセラレータープログラムとの違いは、やはり複数の事業領域を対象にしていることでしょうか。

そうですね。東急グループがコングロマリットだからこそ実現できることです。多くの企業は単一の事業領域という場合がほとんどですし、これほど幅広い事業領域を設定しているところは他にないかもしれません。東急の場合は、幅広い事業を展開し、もちろん、それぞれの領域に専門家がいます。全国展開はしていませんが、領域や業界・業種を飛び越え、用途開発や仮設・検証ができるので、応募企業の要望には十分に応えられます。特に汎用性の高い技術は、一つの産業では収まりきらないでしょう。その点、東急に技術を預からせてもらえれば、不動産や百貨店、交通、映画、スポーツなど、複数の観点で可能性を探っていけます。

――前回との違いについて、他に何かありますか?

 結局共創が生み出せなかった…という事態を防ぐために、審査期間が少し長くなっています。ただ、誤解してほしくないのですが、ミーティング回数は以前と変わらず、東急側が検討に要する時間が伸びただけです。審査の間、応募企業が何ら制約を受けることはないので、ご安心ください。また、本プログラムは事業共創が狙いであって、要望に応じて出資をしても、売却益を得ようという考えは無く、長期安定株主として株式は保有し続けますし、フォローオン投資にも対応します。その点をこの場をお借りしてお伝えしたいと思います。

▲2016年に開催されたTAP第2期では、訪日外国人向けガイドマッチングサービスを展開する株式会社Huber.が「東急賞」を受賞した。

「本質的価値がわからない」企業と出会いたい。

――応募企業に期待することはありますか。

私たちの想定を超えるような企業に応募いただければと思っています。

――と言いますと?

これをどう使っていいかわからない、いったいどの顧客にフィットするのかわからない、と思わずうなってしまうぐらい斬新なものを見せてほしいと思います。一回聞いただけでは理解できないぐらい大きく、複雑なビジネスモデルと出会いたいです。ピッチでわかりやすく伝えていただくのは大事ですが、それよりむしろ、世界観が違いすぎて本質的な価値がわからないものの価値を見抜きたいですね。

――わからないものを評価するのは、非常に難しいのではないでしょうか。

こちら側の力量が問われるところです。ただ、わからないからダメだ、とはしません。これまでのことで言えば、IROYAさん(https://iroza.jp/)との出会いがそうでした。正直、3回プレゼンを聞いてもよくわかりませんでしたが、さらに話を聞いて理解出来た時の衝撃はとてつもないものがありました。あのような出会いをまたしたいと思っています。

――大きな驚きや衝撃を求めているということですね。

はい。それともう一つ、コスト削減、労働生産性の向上につながるものも求めます。事業開発という点では新しい価値が必要になりますし、現場側では売上を重視しますが、経営側としては利益を上げることを考えていますのでコスト削減や労働生産性の向上も必要になります。両方とも非常に重要ですので、そういった技術を持つ企業は、ぜひご応募いただきたいと思います。

取材後記

TAPの特徴は、何といっても扱う事業領域が多岐にわたることだ。生活に密着するあらゆる事業を展開する東急グループのプログラムならでは言えるだろう。同グループは加えて、新しく未知なものとの出会いを求めており、技術の本質的な価値を見抜こうとする姿勢がある。単にピッチがうまいだけでは通用しない面があると思うが、その分、真に技術力で勝負できるのではないか。自前の技術がどのような可能性を秘めているのかを探りたいのなら、TAPをおすすめしたい。思いがけない発見と出会いが待っているのではないだろうか。


■「東急アクセラレートプログラム2017」の応募受付は、5月31日まで。

詳細は右記サイトをご確認ください。 http://www.tokyu-ap.com/


(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士)

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