【密着レポート(3)】郵便局×オープンイノベーション!日本郵便の社内横断チームが地方創生に挑む理由。
今、日本郵便が変わりつつある。民営化から約10年が過ぎ、徐々に変革の気運が起こり始めている。その根幹には、「今のままでは生き残れない」という危機意識と、オープンイノベーションの共創プレーヤーとして名乗りを上げたいという狙いがあった。 eiicon labは今まで2回にわたり、地方創生に取り組む社内横断チームの姿を追ってきた(※)。目標としてきた「地方創生まちづくりフォーラム まちてん」(12/9、12/10開催)への参加が目前に迫ってきた今、チームはどのような動きを行っているのか。プロジェクトチーム事務局リーダーの福井氏に話を聞いた。 ※密着レポート(1)…… https://lab.eiicon.net/20161013_machiten/ ※密着レポート(2)…… https://lab.eiicon.net/20161109_machiten/福井 崇博(ふくい たかひろ) 日本郵便株式会社 トータル生活サポート事業部 事業開発担当 主任 1987年、三重県鈴鹿市生まれ。日本郵便に入社後、物販ビジネス部や株式会社ローソンへの出向などを経験。2016年からは、郵便局リソースを活用した他社との共創による新規事業開発を担当。まちてん参加2年目となる今回は、社内公募による出展プロジェクトチームの事務局リーダーを務める。
■地方の郵便局長は、地方創生の第一人者たち
前回の中間報告会から約1ヶ月半。その間、チームは「まちてん」で発表するために、郵便局が地方創生に取り組んだ事例の収集や取材を行っていたという。例えば、四国の宇和島では地元の集落を盛り上げるため、郵便局長が水産加工品などを扱う企業組合の立ち上げに協力し、ふるさと小包として販売したという事例や、青森県の三戸では地元出身の作家による絵本のキャラクターをモチーフに、郵便局のサービスを用いた街の活性化に取り組んだ事例などがあったという。 「実際の事例に触れてみると、霞が関の本社にいるだけでは見えないことも沢山あるんだと改めて思いました。去年のまちてんでも、地方創生の事例は充分に調べたつもりだったんですが、探してみるとまだまだ沢山あった。地域のために何かをしたいと思っている人、そして実際に行動している人が郵便局には大勢いるんですね。最近でこそ地方創生なんていう言葉を使っていますが、郵便局長って、昔からそういうことを続けてきた方たちなんだと思います」(福井) ▲取材で全国各地を回る福井氏(写真左)と、宇和島の宇和海郵便局局長の清家氏(写真右)
■ハピキラFACTORYとのコラボレーションを発表
▲写真中央の女性2名が、”ハピキラFACTORY”。ミーティングでは活発な意見交換が行われた。 もうひとつ、今年の「まちてん」参加の目玉と言えるのが「女子×郵便局?!」のテーマを掲げた“ハピキラFACTORY”とのコラボレーション。“ハピキラFACTORY”は、「地方×女の子」という切り口で商品プロデュースを行う、女性2名によるベンチャー企業だ。今年のまちてんでは共創事例のひとつとして紹介されるほか、トークセッションも行う。また、出展ブースのコンセプトワークも共同で行うことになったらしい。 「日本郵便が変わりつつあることを伝えるには、やはりブースの見せ方は重要だと思っていて。ブースでも“ハピキラFACTORY”と協力したいという声はメンバー内から自然と起こってきたんです。尖ったベンチャー企業と一緒に考えるのは、私たちにとっても非常に刺激になりましたね。いろいろと率直な意見もいただきましたし(笑)。実際、どういったコラボレーションを行うのかは、まちてんの当日にお話したいと考えています」(福井) ▲”ハピキラFACTORY”と共にコンセプトを練り上げていった出展ブースのイメージ図。
■原点の地を訪れ、メンバーたちの気持ちをひとつに
そもそも福井氏と“ハピキラFACTORY”の2人が出会ったのは、昨年のまちてんの準備をする中で声がかかって参加をした、2015年に長野県で開催された「小布施若者会議2015」の場だった。2度目のまちてんを直前に控え、改めて自分たちの原点を確認するために、休みの日にプロジェクトメンバーの数名と“ハピキラFACTORY”の2名は再び小布施を訪れたという。 「こういう創発的な出会いがあるから、イベントに参加する価値があるのだと思います。また、地方創生に取り組むんだと言っても、やっぱり実際に地域に行かないと肌感覚は分かりませんよね。そこで、せっかくなら“ハピキラFACTORY”と出会った小布施に今年のメンバーたちと一緒に行きたかったんです。町長や農家の方々とお話しできる機会もあって、メンバーたちも“行って良かった”と言っていたので、行く意味はあったと思います」(福井)
■ベンチャー企業に共創パートナーとして認知されたい
本番直前の今、まちてんにかける思いを改めて福井氏に聞いてみた。 「やはり、日本郵便を共創プレーヤーとして認知してもらいたいというのが一番の目的です。個人的には、“日本郵便なんて相手にしていられない”と思っているようなベンチャー企業に注目してもらえると嬉しいですね(笑)。まちてんへの参加自体はゴールではありませんから、イベント後も私たちがベンチャー企業などのスポークスマンになれるように継続して取り組み続けていきたいと考えています」(福井) さて、12月9日(金)、10日(土)のまちてんでは、福井氏たちはどのような日本郵便の姿を見せてくれるのか。驚くような共創事例に出会えることを楽しみにしたい。 (構成:眞田幸剛、取材・文:玉田光史郎、撮影:佐藤淳一)
■「まちてん 地方創生まちづくりフォーラム」開催概要
【コンセプト】 まちてんは、企業、自治体、大学、社会起業家などが一堂に集まり、地域が抱える課題を共有し、様々な連携・協業によって新しいまちづくりのカタチを生み出す場です。 【日時・場所】 2016年12月9日(金)−10日(土) 渋谷ヒカリエ 9F ヒカリエホール 【コンテンツ】 カンファレンス、セッション、展示、レセプションパーティー 【出展者】※一部抜粋 日本郵便(株)、(株)伊藤園、(株)NTTドコモ、(株)ポニーキャニオン、(株)ヤマハミュージックジャパン、イオン(株)、日本ユニシス(株)、「Travel Mine Japan」運営事務局((株)リヴァンプ)、(株)ジェイティービーなど http://machiten.com/
カンファレンス「『○○ × 郵便局』~動き出す!郵便局とのイノベーション~」 (12月9日(金)11:00~12:20 Hall B) トークセッション「『女子 × 郵便局?!』~まちてん発の新たな可能性~」 (12月10日(土)11:00~12:00 Hall A)