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志で未来をつくろうKEIKYU3.0 | 第2期「KEIKYUアクセラレータープログラム」が目指す世界観とは?<前編>

志で未来をつくろうKEIKYU3.0 | 第2期「KEIKYUアクセラレータープログラム」が目指す世界観とは?<前編>

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1898年に関東初の電気鉄道として創業し、今年120周年を迎えた京浜急行電鉄株式会社(以下、京急)。東京の玄関口である品川や羽田空港から神奈川県の三浦半島を結ぶ鉄道事業を軸に、不動産、レジャー・サービス、流通といった生活サービス事業も展開している点が特徴だ。

そんな同社は2017年10月、第1期「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」を始動させた。187件の応募の中から7社を採択。現在まで、4件の実証実験や事業連携を実現している。そして2018年11月、第2期となるプログラムの実施が告知された。

第2期プログラムでは、【モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出 〜テクノロジーとリアルの融合による地域連携型MaaSの実現〜】を京急電鉄が目指すべきビジョンとして掲げ、

①Mobility(移動)

②Living・Working(くらし・働き方)

③Retail(買い物)

④Entertainment(観光・レジャー)

⑤Connectivity(テクノロジーの活用)

といった5つのテーマにおける技術・アイデアを募っている。

――今回、「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」第2期の開催を受け、改めて京急がオープンイノベーションに取り組む背景や、第2期プログラムの特徴、そしてオープンイノベーションにかける思いなどを前後編の2回に渡って橋本氏に話を伺った。

▲京浜急行電鉄株式会社 新規事業企画室 主査 橋本雄太氏

大手新聞社、外資系コンサルティングファームを経て、2017年4月より現職。新規事業企画担当として、 オープンイノベーションプログラムである「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」を立ち上げ、運営するなど、特にスタートアップ企業との事業共創を推進している。神奈川県スタートアッププログラム、オープンイノベーション施設「SENQ」メンター。

さらに、第2期プログラムのイノベーションパートナーとして企画段階から関わっているサムライインキュベート・成瀬氏も取材に同席し、第三者視点からプログラムの魅力について語っていただいた。

▲株式会社サムライインキュベート 執行役員 Enterprise Group 成瀬功一氏

大手企業での新規メディア立ち上げ、外資系コンサルティング会社で大手企業に対する戦略策定、新規事業開発、クロスボーダーでのスタートアップ協業など、イノベーション関連プロジェクトを多数経験。また、国内スタートアップへのインキュベーションも6年の経験を持つ。サムライインキュベートでは大手企業とスタートアップによるオープンイノベーション事業の責任者を務める。

戦略的なイノベーションを通じて『KEIKYU3.0』を目指す

――「KEIKYUアクセラレータープログラム」の第2期が2018年11月からスタートとなりました。まずは、なぜ京急さんがオープンイノベーションに取り組むのか?その背景からお聞かせください。

京急・橋本氏 : オープンイノベーションに取り組む理由は大きく2点あります。まず1点目は人口減少・高齢化です。当社は鉄道事業をはじめとして、東京〜神奈川の湾岸エリアを中心とした地域密着型のビジネスを展開しており、グループの事業の多くが労働集約型のサービス業です。将来的には、当社の事業エリアも人口減少は免れず、経営面にも大きな影響が出てくるのは間違いありません。2点目はいま世界中で「第4次産業革命」が注目されていますが、事業環境の変化に自前主義だけでは追いつけなくなっている点です。

――オープンイノベーション活動の一環として、2017年から「KEIKYUアクセラレータープログラム」に取り組まれていますね。

京急・橋本氏 : はい。付加価値を生み、生産性を高めるため、当社もデジタルトランスフォーメーションを進めていく必要があります。しかしながら、そうしたIT・デジタル技術やビジネスモデルを自らが研究・開発し、イノベーションをおこしていくには多くの時間を要します。スタートアップとの共創によってスピード感を持って既存事業をアップデートし、提供価値の向上を目指したいと考えています。

――「KEIKYUアクセラレータープログラム」を通して、どのような世界観を作っていきたいのかをお聞かせください。

京急・橋本氏 : 目指しているのは当社のビジネスモデルのアップデート、『KEIKYU3.0』の構築です。1898年の創業当時から当社では、鉄道で人を運ぶという”モビリティー(移動)の提供”をしてきました。これが『KEIKYU1.0』です。次に、高度経済成長期に入り、人口増加を迎えたタイミングで”生活・インフラのサービスの拡充”をしてきました。これが『KEIKYU2.0』です。

そして、『KEIKYU3.0』では、移動インフラを中心とする事業を基盤として、テクノロジーを活用し、顧客体験を向上させていきます。

京急電鉄の「MaaS」は顧客体験の創出に重きを置いている

――近年、さまざまな業種・業界でアクセラレータープログラムが数多く開催されています。他のプログラムとの差別化ポイントはありますか? 

京急・橋本氏 : 京急電鉄はその成り立ちの経緯などから、同業他社と比較しても非常に多彩なエリアを抱えています。品川や羽田空港といった都心エリア、川崎・横浜の商業集積地、上大岡や金沢区エリアの住宅街、三浦半島の自然などです。そして、人口減少・高齢化、グローバル化や訪日外国人の急増といった日本全体の社会課題に通じるさまざまな要素が詰まっています。

日本全体の社会課題解決を目指す場として、京急沿線は最適な環境だと言っても過言ではありません。

その決意を込めて、当社がイノベーション戦略のゴールであるビジョンとして掲げたのが「”モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出” 〜テクノロジーとリアルの融合による地域連携型MaaSの実現〜」です。その達成のために、今回募集したいテーマは、以下の5つとなります。

①Mobility(移動)……駅を起点とする移動体験の向上

②Living・Working(くらし・働き方)……「暮らす」「働く」を豊かにする”まち”の創出

③Retail(買い物)……地域と繋がり、人に寄り添う買い物体験の提供

④Entertainment(観光・レジャー)……訪れる人の非日常を彩る体験価値の創出

⑤Connectivity(テクノロジーの活用)……各テーマおよび地域をつなげるテクノロジーの活用/新サービスの創出


サムライ・成瀬氏 : 多くの鉄道会社や自動車会社が”MaaS”を掲げていますが、京急電鉄はコンセプトの考え方が異なります。一言でいうと、「既存サービスの接続・デジタル化」と「新しい顧客体験自体の創出」の違いです。

一般的な“MaaS”は「モビリティ同士やモビリティと既存サービスとの接続」を指すことが多いです。一方、京急電鉄では、モビリティを軸としつつサービス自体(顧客体験)を自ら生み出して行くことに大きな方針の違いがあります。

その理由は、都心部が中心エリアである他の鉄道会社様では、そもそも色々な顧客体験が存在しています。一方で、京急沿線は横浜以南の三浦半島が大きな割合を占めており、高齢化や人口減少の課題がすでに顕在化しています。

つまり、京急沿線では、単に既存アセットの活用だけでは解決できないことも多く、現代に合った新しいライフスタイルの創出が急務なのです。

京急・橋本氏 : 多様な領域のテーマを掲げていますが、個別領域としての①〜④で新しい顧客体験を生み出すと共に、⑤において、京急電鉄の豊富なアセットと、顧客体験同士を繋いでいく。日本全体のライフスタイルを変革し得るイノベーションのモデルケースをつくっていけるのではないかと考えています。

オープンイノベーションを「やりきる」

――第2期プログラムに掛けるに想いについてお聞かせください。

京急・橋本氏 : オープンイノベーションを当社の中で持続的な取り組みとするため、現状に満足することなく、「やりきる」ことを目標に準備を進めました。オープンイノベーションに正解はなく、いかに自分の頭で考え抜き、自社や時代の状況に合わせた取り組みができるか。やりきったところだけが、生き残るのだと思っています。

企画にあたっては、プログラムの顧客に当たるスタートアップ数十社へヒアリングを実施し、オープンイノベーションの効果的な実行に向けたニーズを抽出しました。その中で特に心に残っているのは、あるスタートアップのCEOから聞いた「想いのある会社と一緒に共創していきたい」という言葉でした。それも踏まえて、今回の募集サイトでは、トップに京急のイノベーションに向けた志やビジョンを掲げ、このインタビューも含めて発信を強化します。

また、社内のすべての事業部門にヒアリングを実施し、改めて京急電鉄としての事業課題を整理しました。その成果を踏まえ、プログラムビジョンやテーマを設定しています。

そして、サムライインキュベートさんには、この企画段階から伴走いただき、当社が新規事業で目指すべきビジョンやテーマの設定まで深く入り込んでいただき、成瀬さんとは多くの議論を重ねてきました。

サムライ・成瀬氏 : 橋本さんと共に京急さんの各事業部をまわりながら、それぞれが抱える課題感をお聞きし、テーマ設定について膝を付き合わせながらコミュニケーションを取ってきましたね。

今回、各事業部にヒアリングしていて思ったのは、「課題を抱えているのに日々のオペレーションでなかなか手が回らない」ということです。本プログラムでは、そういった課題を吸い上げて、将来のビジョンとのギャップを埋めていく取り組みを進めます。テーマ設定にあたっては事業部門との連携を意識しています。とても熱い想いを持っている社員の方々も多く、そうした社内のみなさんも巻き込みながら、第2期プログラムは第1期以上にドライブをかけていきます。

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インタビュー前編では、京急電鉄のオープンイノベーションの世界観やビジョン、第2期プログラムの重点テーマを伺いました。明日掲載するインタビュー後編では、第2期プログラムの詳細について、第1期の振り返りも交えて、お話を伺いました。

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