AI検品で食品流通の「検品レス」へ――AUDERがシリーズAで4.5億円を調達、物流DXを加速
AI検品プラットフォームを提供するAUDER株式会社は、シリーズAラウンドのファーストクローズとして、総額4.5億円の資金調達を実施した。引受先は、ALL STAR SAAS FUNDと農林中金キャピタル。今回の調達により、プロダクト開発や導入先の拡大、採用を強化し、食品流通のサプライチェーン全体におけるデータ連携と検品DXを加速させる。
スマートフォン1台で入出荷検品をデジタル化
AUDERは2021年設立のスタートアップで、食品流通の物流現場を対象としたAI検品プラットフォームを提供している。
同社のサービスは、既存のWMS(倉庫管理システム)などを置き換えることなく、「後付け(アドオン)」する形で導入できる点が特徴だ。スマートフォンの画像認識技術を活用して入出荷時の検品をデジタル化するとともに、出荷側で取得した検品データを納品先へリアルタイムで連携する。
食品流通では、メーカー、卸売業者、小売業者など複数の事業者をまたいで商品の入出荷が行われる。一方、数量の差異や賞味期限、ロットといった物流現場で必要な情報が十分に共有されず、入荷側で再度検品するケースも少なくない。目視による照合や賞味期限の手入力、ラベルの二重貼付などが発生し、現場の作業負荷やコスト増につながっているという。
AUDERはこうした課題に対し、①スマートフォンの画像認識技術を活用した検品サービス、②ラベル発行やピッキングなど検品の前後工程をカバーするスマートフォン型ハンディシステム、③検品データを納品先へリアルタイムに連携するデータ連携基盤――を組み合わせて提供。現場の業務効率化だけでなく、サプライチェーン全体でのデータ連携を通じた「検品レス」「納品書レス」の実現を目指している。
AI-OCRを正式リリース、生鮮領域のDXにも注力
同社は2026年8月、AI-OCR機能を正式にリリースした。アナログの発注書や送り状を電子化し、そのデータを入出荷予定として活用できる仕組みで、帳票の電子化から物流現場の業務デジタル化までを一気通貫で支援する。
福岡県魚市場やエス・ケー・ラインなど複数社での導入を予定しており、今後はJANコードを持たない商材にも対応できるよう、OCRを用いた画像検品や音声検品など、新たな検品手法も順次提供していく計画だ。
特に生鮮品の流通領域では、EDI(電子データ交換)の活用やJANコードなどによるデジタル化が十分に進んでいないケースもある。今回、新たな投資家として農林中金キャピタルが参画したことで、こうした生鮮領域のデジタル化にも取り組んでいく。
調達資金でプロダクト開発・導入拡大・採用を強化
今回のシリーズAファーストクローズでは、ALL STAR SAAS FUNDをリード投資家として、農林中金キャピタルが出資。第三者割当増資により4.5億円を調達した。デットを含む累計調達額は5.7億円となる。
調達資金は、プロダクト開発、導入先の拡大、採用強化などに充てる。
今後は画像認識を活用した検品効率化をさらに進化させるほか、AGV(無人搬送車)などと連動した入出荷検品の自動化に向けた技術開発も推進。自動倉庫やバース管理などとの連携を通じ、物流拠点全体のオペレーション最適化を目指す。
物流業界では、人手不足や輸送能力の不足が大きな課題となるなか、荷待ち・荷役時間の削減や業務効率化がこれまで以上に求められている。AUDERは、出荷側と入荷側を横断したデータ連携によって重複する検品作業を減らし、食品流通における「検品レス」「伝票レス」の普及を進めていく考えだ。
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(TOMORUBA編集部)