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東北大学×東京農業大学×イーチ・アザーが共同研究を開始 石巻のホップ農園で「草生栽培」実証、人と自然が共生する地域モデル構築へ

東北大学×東京農業大学×イーチ・アザーが共同研究を開始 石巻のホップ農園で「草生栽培」実証、人と自然が共生する地域モデル構築へ

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宮城県石巻市でホップ栽培やクラフトビール事業を展開する株式会社イーチ・アザーは、東北大学および東京農業大学と共同研究契約を締結し、2026年5月より石巻市北上町のホップ圃場において環境保全型農業「草生栽培」の実証実験を開始した。生物多様性の保全と地域経済の活性化、さらに就労困難者の社会参加支援を同時に実現する新たな地域モデルの構築を目指す取り組みだ。

ソーシャルファームを舞台に産学連携プロジェクトが始動

今回の研究は、一般社団法人イシノマキ・ファームが運営するホップ農地を実証フィールドとして活用する。同農地は、障害者やひきこもり経験者、社会的養護出身者など、多様な背景を持つ人々が働く「ソーシャルファーム」として機能しており、ホップ栽培や関連商品の製造・販売を通じて地域に雇用機会を創出してきた。

研究題目は「石巻ホップ園における草生栽培による生物多様性保全型農業」。研究期間は2026年5月から2028年3月までで、東北大学高度教養教育・学生支援機構の河田雅圭教授が研究総括を務めるほか、東京農業大学地域環境科学部の楠本良延教授が生物多様性調査を担当する。

ネイチャーポジティブ時代に求められる地域農業の新たな挑戦

近年、世界では「ネイチャーポジティブ(自然再興)」が重要なテーマとなっている。2021年のCOP15では、2030年までに生物多様性の損失を反転させる目標が国際的に合意された。日本でも農林水産省が「みどりの食料システム戦略」を推進し、環境負荷を抑えた農業への転換が求められている。

一方で、農薬や化学肥料の削減、有機農業の推進といった取り組みは、地域の営農環境や経済条件に応じた現実的なアプローチが不可欠だ。今回の研究では、科学的なデータに基づき、地域に適した環境保全型農業のあり方を探る。

実証地となる石巻市北上町白浜は、東日本大震災で被災した耕作放棄地を活用してホップ栽培が始まった地域であり、復興の象徴的なフィールドでもある。石巻市が進める「オーガニックビレッジ」構想とも連動し、持続可能な地域づくりのモデルケースとして期待されている。

草生栽培で土壌改良と生物多様性向上を目指す

草生栽培とは、農地を裸地化せず、草本植物や被覆作物を維持しながら栽培を行う農法である。

今回の実証では、畝間に自生草本や大麦を維持することで土壌侵食を防ぎ、有機物や炭素の蓄積を促進する。また、ソルゴーを植栽し、天敵昆虫の生息環境を整備することで、IPM(総合的病害虫管理)と組み合わせた害虫抑制効果を検証する。

さらに、農地周辺では地域固有の植物種の回復にも取り組む。種多様性の高い半自然草地の枯草を活用する「Hay transfer」の手法を用い、在来植物群落の再生を試みる計画だ。

実証実験では、草生栽培区と従来管理区を設定し、温湿度や土壌水分量、土壌成分、日照量などの環境データに加え、ハダニ密度や昆虫群集、植生の変化を比較調査する。農薬や化学肥料への依存を抑えながら、生産性を維持できるかが大きな検証テーマとなる。

ホップ産業の付加価値向上と地域経済への波及も視野

本プロジェクトは、生物多様性の保全だけでなく、地域経済への波及効果も重視している。

イーチ・アザーは石巻産ホップを活用したクラフトビール「巻風エール」やホップコスメブランドの開発・販売を行っており、今回の研究成果を商品の付加価値向上につなげる考えだ。

将来的には、環境価値を可視化する認証制度やインパクト評価制度との連携も見据える。ネイチャーポジティブな農業によって生み出された価値を、消費者や投資家に分かりやすく伝える仕組みづくりを進める方針だ。

また、「ホップ→クラフトビール→観光→地域消費→雇用創出」という地域内循環の中に環境価値を組み込み、新たな地域ブランドの形成を目指す。

「人の多様性」と「生きものの多様性」をつなぐモデルへ

イーチ・アザーの代表取締役 高橋由佳氏は、「私たちはこれまで、ホップ栽培とビール醸造を通じて、多様な人があたりまえに働ける場を作ってきた。今回の共同研究は、その同じ圃場で多様な生きものをも育み返していく挑戦だ」とコメントする。

さらに、「生物多様性とダイバーシティはひとつながりであるという信念を、東北大学・東京農業大学の先生方とともに科学の言葉で示し、ネイチャーポジティブ拠点としての石巻のあり方を世界へ発信したい」と意気込みを語った。

人口減少や担い手不足、環境問題といった複合課題が深刻化するなか、本プロジェクトは農業を起点に「人」「地域経済」「自然」を結びつける挑戦と言える。被災地から始まるこの取り組みが、全国へ展開可能な新たな地域モデルとなるか、今後の成果が注目される。

関連リンク:プレスリリース

(TOMORUBA編集部) 

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コメント1件

  • 川村祥人

    川村祥人

    • LushAura株式会社
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