AIで地域と人をつなぐ新たな移住支援モデル 箱根町とすむまちが実証実験を開始
神奈川県の観光地として知られる箱根町と、AI地域マッチングサービス「スムマチ」を開発するすむまち株式会社は、地方移住の促進を目的とした実証実験を2026年3月より開始する。同実証は、同社が開発中のAI地域マッチングサービス「スムマチ」の本格提供に向けた取り組みの一環として実施されるもの。地域と移住希望者の間に存在する情報ミスマッチの解消を目指し、AIを活用した新たな移住支援の仕組みを検証する。
地方移住の壁となる情報ミスマッチ
近年、東京圏への人口集中が続く一方で、地方移住への関心は高まっている。特に東京圏在住の20代では、半数近くが地方移住に興味を持っているとされる。しかし、「自分に合った地域をどう探せばよいか分からない」という課題から、実際の行動につながらないケースが多い。
一方、自治体側も移住支援制度や独自の住民サービスを整備し、積極的に情報発信を行っているものの、それらの情報が本来ターゲットとすべき層へ十分に届いていないのが現状だ。
こうした構造的課題に対し、すむまち株式会社は、AIを活用して地域と移住希望者をマッチングする新しいサービスの開発を進めている。
AI地域マッチングサービス「スムマチ」とは
開発中の「スムマチ」は、地域と消費者をつなぐAIマッチングサービスで、主に2つの価値提供を想定している。
まず消費者向けには、ライフスタイルや希望条件に合った地域をAIが提示し、比較・検討できる体験を無償で提供する。働き方や暮らし方の志向、自然環境やコミュニティなどの条件を踏まえ、自分に適した地域との出会いを支援する仕組みだ。
一方、自治体向けには、移住施策の運用を支援するSaaS機能を提供する予定である。具体的には、移住者向け特設サイトを作成できるCMS機能や、移住相談者とのコミュニケーションを一元管理できるCRM機能を備える。これにより自治体職員の業務負荷を軽減しながら、効率的な移住促進施策の運営を可能にする。
箱根町で移住相談数の増加を検証
今回の実証実験では、観光地として全国的に知られる箱根町を舞台に、移住促進施策の効果を検証する。
箱根町は、首都圏からのアクセスの良さや自然環境の豊かさなどから、移住や二地域居住の候補地として高いポテンシャルを持つ地域である。こうした地域特性を踏まえ、スムマチのサイト内に箱根町の移住情報を集約した特設ページを新設する。
同ページへ移住検討層を誘導し、ページ経由での移住相談数や問い合わせの反響を測定。AIを活用した情報提供が、移住意向の具体化や行動促進につながるかを検証する。
AIで「理想の暮らし」と地域を結ぶプラットフォームへ
すむまち株式会社は、2025年11月設立のスタートアップで、AI地域マッチングサービス「スムマチ」の開発・運営を進めている。現在、神奈川県の起業家支援プログラム「HATSU」(2025年採択)の支援を受けながら事業を推進している。
同社は今回の実証実験で得られるデータを活用し、AIマッチングシステムの精度向上や自治体向け業務支援機能の開発を加速させる方針だ。
今後は連携自治体を拡大し、移住希望者には「理想のライフスタイルの実現」を、自治体には「関係人口や定住人口の創出」を支援するプラットフォームとして成長させていくことを目指す。
人口減少が進む地方にとって、移住促進は重要な政策課題の一つだ。AIを活用した地域マッチングという新たなアプローチが、地方と都市を結ぶ次世代の移住支援モデルとなるか注目される。
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(TOMORUBA編集部)