【イベントレポート<前編>/OPEN INNOVATION SPEED MATCH! VOL.1】 eiicon×サムライインキュベートの初の共催イベント。大企業4社とスタートアップ23社のカジュアルな出会いの場を提供!
『価値ある出会いが未来を創る』をコンセプトに掲げるオープンイノベーションプラットフォーム eiiconと、事業創造と成長のためのインキュベーションプラットフォーム事業を展開する株式会社サムライインキュベートの初の共催イベント「OPEN INNOVATION SPEED MATCH! VOL.1」が8月28日に開催された。
同イベントは大手企業とスタートアップのミートアップを目的とし、その場の出会いから「共創」につながることを目指している。当日は、双方によるピッチとネットワーキングが実施され、交流を通じてイノベーションの萌芽が感じられるものとなった。
冒頭、サムライインキュベートの富樫氏(下写真)が挨拶。「お互いの求めているところをカジュアルに聞ける場にしたい」と会場に呼びかけた。引き続き、オープニングトークが行われ、eiicon founderの中村亜由子氏が、国内におけるオープンイノベーションの現状を紹介。「新規事業が生まれにくい状況が続いている一方で、日本独自のオープンイノベーションの土壌が育っている」と話した。富樫氏はオープンイノベーションを上手く進めるポイントを提示。「現状の事業のアセットを整理した後、事業テーマと目標、スキームを決め、アセットの利用法を具体化していくという流れが需要」と強調した。
続いて、スタートアップ23社による3分間のピッチが開かれた。イベントレポート<前編>では、このピッチの模様をお届けする。
スタートアップ23社による3分ピッチ
1、株式会社 STANDING OVATION
登壇者/代表取締役CEO 荻田芳宏氏
同社はオンラインクローゼットアプリ「XZ」(クローゼット)を展開。持っている服をXZに登録すれば、コーディネートを提案してくれる。今後の展開として、足りないアイテム(服)をレコメンドする機能の追加や、蓄積されたデータの活用を視野に入れている。
2、株式会社レアリスタ
登壇者/和田ダイスケ氏
同社は旅行の情報を動画で紹介する配信サービス「dive japan」を展開。動画を通じ、アクティビティ、宿泊施設、飲食、文化・マナーなどリアルな情報を伝えている。1カ月で40コンテンツを配信し、120万人にリーチ、3万件のエンゲージメントがつくと紹介した。
3、株式会社Pathee
登壇者/代表取締役 寺田真介氏
同社は、メディアとSaaSの複合サービスを手がけ、ユーザーと店舗、双方の利便の向上を図っている。どこで何が売られているかわかりづらいという現状を解消しながら、ユーザーのニーズをデータ化。店舗側はマーケティングとして活用できるという。
4、株式会社Moly
登壇者/CEO 河合成樹氏
同社は、犯罪や事件を未然に防ぐ、遭わないようにすることを目的に、お守り防犯アプリ「Moly」を展開。同アプリでは事件の情報を全国から集め、発信している。現在はMaaSなど取り入れながら、駅から家まで安全に帰れることなどの実現に取り組んでいる。
5、ecbo株式会社
登壇者/Executive Officer 井坂陽氏
同社は、店舗の空きスペースを利用し、荷物の預け場所の創出に取り組んでいる。同社の展開するアプリ「ecboclock」を通じ、ユーザーはカフェや美容室、書店などに荷物を預けられる。店舗側は利用料を得るほか、集客の効果も期待できる。
6、ナーブ株式会社
登壇者/事業統括本部長 田井明日香氏
同社は国内最大級のVRプラットフォーマー。VRトラベルとVR体験を主力としている。サービスは旅行代理店など約5000店舗に展開。これまで2万人以上がVRを体験、そのうち30%がホテルや旅行企画のアップグレードを決めたことが紹介された。
7、ユカイ工学株式会社
登壇者/鈴木裕一郎氏
同社はコミュニケーションロボットやIoTサービスを展開。強みは、技術力はもちろんのこと、企画力、デザイン力があることだと強調。今秋発売されるロボットは既に5000台の予約があるという。今後は高齢者見守りなどへの活用を視野に入れている。
8、株式会社フリックフィット
登壇者/天野良香氏
同社は靴・足の3Dプロットフォームを展開。足を3Dで計測し、足にあった靴を提案するデバイスを開発した。導入した販売店は、販売を効率化し、購入者はアンマッチを防ぐことができる。今後は、靴のEC販売の活性化、蓄積されたデータの活用を目指す。
9、株式会社フレクト
登壇者/代表取締役 黒川幸治氏
同社はリアルタイム車両管理アプリ「Cariot」を展開している。同アプリでは、営業・物流・建設車両などを管理し、APIが公開されているため、他のクラウドサービスなどとの提携が可能となっている。今後は走行データの二次利用やMaaSでの活用を視野に入れている。
10、株式会社センシンロボティクス
登壇者/取締役 船津宏樹氏
同社はドローンに関するサービスを展開。ドローンのリアルタイムの映像を遠隔地に配信するなどしている。これに加え、自動化・汎用化を可能にする画像解析サービスや自動走行のアプリを手がけている。また、完全自動運用を実現したドローン基地などを開発した。
11、ノバルス株式会社
登壇者/取締役CMO兼CSO 山中享氏
同社は乾電池型IoT製品「MaBeee」を開発。同製品を用いれば、あらゆる「物」がクラウド、スマホを通じIoT化されるという。家庭用品もIoT化でき、見守り製品に変えることができる。今後は通信モデルを内蔵し、データを蓄積、ビッグデータ化を目指す。
12、株式会社Life is Style
登壇者/代表取締役社長 大貫誠氏
同社は3Dサイネージ「Phantom」などを展開。Phantomは扇風機型の装置で、羽を回転させることで、目の前に3D映像を浮かび上がらせることができる。映像はクラウドで管理され、どこでも映し出すことができる。これまでに新車の発表などに使われた実績を持つ。
13、株式会社Drone Future Aviation
代表取締役社長 波多野昌昭氏 ※動画によるピッチ
同社は「世界中の運べないをなくす」をテーマにドローンのオペレーションを展開。EC物流が増加している背景を受け、ドローンの自動配送システムを手がけている。多様な形態のドローンを用い、陸海空の輸送を可能にしている。今後、購買データの活用などを目指す。
14、株式会社アイ・ロボティクス
登壇者/代表取締役 安藤嘉康氏
同社はドローンの活用のソリューション、DaaSを提供している。これまでに、ドローンを活用したプラントの調査、外壁の塗装や洗浄などを実現させてきた。現在、さらなる自動化を図り、高齢化、労働人口の減少などの問題解決に向け、企業と共同研究開発をしている。
15、FASTDATA.io
登壇者/ジャパンカントリーマネージャー 西田貴氏
同社はアメリカの会社で、データ処理を高速化することで、さまざまなことが実現できると考えている。データを収集してすぐに処理し格納、という流れの実現を目指す。100~1000倍のスピード処理、ビッグデータのさらなる有効活用を視野に入れている。
16、株式会社Nextremer
登壇者/代表取締役CEO 向井永浩氏
同社はAIを活用した対話システムを開発している。現在はチャットボットをビジネス展開し、カスタマーサポートなどに広く採用されているという。今後は、対話システムのまったく異なる活用を目指す。
17、株式会社WACUL
登壇者/吉田英司氏
同社は人工知能でWebマーケティングを自動化するサービスを展開。Webサイトの分析、改善提案、改善後に期待できる結果を自動で示す。これによりIT人材の不足の解消を目指している。今後、さらに広い領域での活用を視野に入れている。
18、メタデータ株式会社
登壇者/代表取締役 野村直之氏
同社はAI for AIということを掲げている。正解データがあってこその機械学習だが、業務における正解の定義は困難である。同社では正解データ作りにAIを活用する。深層学習やAPI化に強みを持ち、現在はテキスト解析の分野で積極的なビジネス展開を試みている。
19、LeapMind株式会社
登壇者/三室佑貴氏
同社はディープラーニングを専業としている。小さなデバイスでディープラーニングを動かすことをテーマとしており、ソフトとハード、両面のアプローチを行っている。安価でディープラーニングのモデルが作成可能で、自動運転や産業用ロボットで実績がある。
20、ZEROBILLBANK JAPAN株式会社
登壇者/代表取締役CEO 堀口純一氏
同社はブロックチェーン×オープンイノベーションを展開。分散型の基盤を提供し、新しいビジネスの創出を支援している。これまでに、大手複数社と協業し、認知症の予防や新しい保険のスキームなどを作り上げている。
21、株式会社ストロボ
登壇者/代表取締役社長 下山哲平氏
同社は、大企業向けデジタル系の新規事業の立ち上げ支援と、MaaS領域に特化したビジネスアクセラレーションを展開。自動運転に特化したメディアも手がけ、自動運転ビジネスを実用化するためのさまざまな支援を行うなどしている。
22、Aniwo株式会社
登壇者/松山英嗣氏
同社は2014年に、日本人が初めてイスラエルで創業させた企業である。イスラエルは国を挙げてスタートアップ支援し、技術を重視するのが特徴という。同社はイスラエルの企業との協業の支援に乗り出している。
23、株式会社シマント
登壇者/代表取締役 和田怜氏
同社はマルチバリューデータベースを用いて、データベース資料の再定義を試みている。マルチバリューは一つのレコードに複数のデータを組み込むことなどができる。これにより、新規事業と既存のシステムをつなげることなどが可能となる。
本イベントではスタートアップ23社によるピッチに引き続き、大手企業4社によるピッチが行われた。その模様は9/12に掲載するイベントレポート<後編>で紹介していきたい。
(構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:加藤武俊)