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Green Carbon×東邦ガスが共同実証を開始 フィリピン・ボホール州で水田由来カーボンクレジット創出へ

Green Carbon×東邦ガスが共同実証を開始 フィリピン・ボホール州で水田由来カーボンクレジット創出へ

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ネイチャーベースのカーボンクレジット創出・販売事業を展開するGreen Carbon株式会社は、東邦ガス株式会社と連携し、フィリピン・ボホール州において水田由来のカーボンクレジット創出を目指す共同実証プロジェクトを開始した。

この取り組みは、二国間クレジット制度(JCM:Joint Crediting Mechanism)(*1)の方法論を活用し、農業分野からの温室効果ガス排出削減を定量化するもの。中部地方の企業として、JCMを活用した水田由来のカーボンクレジット創出に取り組むのは初めてとなる。

水田のメタン排出削減を通じた新たな挑戦

本プロジェクトでは、水田での間断灌漑(AWD:Alternate Wetting and Drying)(*2)手法を導入することで、稲作に伴うメタンガス排出の削減を目指す。

対象となるフィリピン・中部ビサヤ地域のボホール州は、ネグロス・オリエンタル州に次ぐ農業生産地で、島の約45%が農業用地、人口の約80%が農業に従事している。2025年の雨季よりパイロット事業を開始し、今後10年間で10,000ヘクタール以上へ拡大、約43万トンのCO₂削減を目標に掲げる。主要稲作地帯であるウバイ、ピラール、ダゴホイ、サンミゲル、カルメンなどで展開される予定だ。

▲現地の様子

▲ボホール島の位置(赤丸)

Visayas State Universityと連携 地域農業の未来を拓く

実証には、フィリピン有数の国立大学であるVisayas State University(VSU)が参画している。1924年に農業学校として創立された同大学は、持続可能な農業と農村開発に強みを持ち、Green Carbonとともにデータ分析や実証施設の活用を担う。

特に、パイロット地として選定されたウバイ市は、ボホール州最大の農地(約8,000ha)を有し、BOATech(ボホール有機農業技術センター)が先進的な実験や栽培研究を進める地域。現地農家の協力と州政府の支援を得て、持続可能な農業のモデルケースを構築する。

今回の実証実験における双方の役割

Green Carbonは、プロジェクト全体の運営・管理を担い、自社開発のデータ管理システム「Agreen」を導入して、排出量データの可視化や管理をDX化。一方、東邦ガスはプロジェクト支援および創出したクレジットの調達・活用を担当する。

今回の共同実証は、企業のGX(グリーントランスフォーメーション)推進に直結する取り組みとして注目されている。

Green Carbonはこれまでも、東南アジアを中心に森林保全やマングローブ植林、牛のメタン排出削減、バイオ炭利用など、自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んできた。

JCMの方法論が2025年2月に承認され、日本国内ではGX-ETS(成長志向型カーボンプライシング制度)(*3)でJCMクレジットが企業の排出量報告超過分に活用できるようになったことから、クレジット需要の拡大が見込まれる。

今後の展望――脱炭素化と地域共生の両立へ

Green Carbonの代表取締役 大北氏は、「農業の生産性と環境価値を同時に高める仕組みを構築し、日本の脱炭素化と現地農家の収益向上の双方に寄与していきたい」とコメント。

本プロジェクトは、単なるカーボンクレジット創出にとどまらず、アジアの農村部における新たな経済循環モデルの創出を視野に入れている。今後もGreen Carbonと東邦ガスは、JCMを軸にした国際的なカーボンプロジェクトを推進し、気候変動緩和と地域社会の発展を両立する新たな枠組みの実現を目指していく。

(*1)二国間クレジット(JCM):「Joint Crediting Mechanism」の略。日本とパートナー国が協力して温室効果ガスの削減・吸収に取り組み、定量化した削減・吸収量を両国で分け合う制度のこと。日本では定量化した削減・吸収量をカーボンクレジットとして活用することができ、日本政府は2030年度までの累計で1億t-CO2程度、2040年度までの累計で2億t-CO2程度のカーボンクレジットを確保することを目標に掲げている。
(*2)間断灌漑(AWD):間断灌漑(AWD)は水田の水位を目安に、数日おきに入水と自然乾燥を繰り返すという手法。間断灌漑(AWD)の場合、連続的な入水に比べ、水使用量を削減することができ、水資源の保全にも寄与。
(*3)GX-ETS:排出量取引制度。日本政府が進める成長志向型カーボンプライシング構想に基づき、企業が政府の定める排出上限のもとで排出削減や排出枠の取引を行う仕組み

関連リンク:プレスリリース 

(TOMORUBA編集部) 

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