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小型ロケット「ZERO」を開発するインターステラテクノロジズ、ドイツATMOS社と協業開始 アジア太平洋での宇宙物流サービス構築へ 

小型ロケット「ZERO」を開発するインターステラテクノロジズ、ドイツATMOS社と協業開始 アジア太平洋での宇宙物流サービス構築へ 

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小型ロケット「ZERO」を開発するインターステラテクノロジズ株式会社は、宇宙から地球への帰還カプセルを手がけるドイツのATMOS Space Cargo(本社:リヒテンアウ、以下ATMOS社)と、アジア太平洋地域における宇宙物流サービスの確立を目指し、戦略的パートナーシップ契約(SPA)を締結した。ISTが得意とする小型衛星の打上げと、ATMOS社が強みとする再突入カプセル技術を融合させることで、宇宙空間から地上までの一気通貫の輸送インフラを構築する計画だ。

アジア太平洋地域に根ざした“往還型宇宙物流”の実装へ

両社の協業により提供されるサービスは、希望の軌道への投入と、宇宙環境での実証後のペイロード(荷物)の地球帰還という、双方向の宇宙輸送を可能にするもの。ATMOS社は、2025年4月に初飛行を成功させた再突入カプセル「PHOENIX 1」を運用しており、宇宙実験・製造用途などにおける地球への回収需要に応えてきた。一方、ISTのロケットZEROは、小型衛星専用に設計され、顧客の求める軌道への精密な投入が可能。両社は今後、ZEROによる優先打上げに合意しており、打上げから地球帰還までの一連のワークフローを共同開発していく。

カプセルに搭載されるペイロードの調整・試験はISTの国内施設で行われる予定で、日本およびアジアの顧客にとってリードタイムの短縮とコスト効率の向上が見込まれる。また、地球への再突入における回収システムを含めたトータルサービスの実現は、宇宙研究・産業利用のハードルを一段と下げる可能性がある。

民間宇宙輸送の「双方向化」が生む新市場

地球低軌道(LEO)を中心に、宇宙での製造・実験を経て成果物を地球に持ち帰るニーズは年々高まっており、「宇宙からの回収」は新たな市場として注目されている。ATMOS社のCTOであるジェフリー・ヘンドリクセ氏は「日本およびアジア太平洋地域からの将来のミッションに向けた新たな枠組みを築くうえで、本提携は重要な第一歩」とコメント。ISTの取締役COO・熱田圭史氏も「ATMOS社との協業により、持続可能で利用しやすい宇宙のインフラ構築を加速する」と述べ、民間宇宙輸送を担う両社のビジョンを強調した。

それぞれの強みを活かした役割分担

ATMOS社は、100kg以下の小型ペイロードから数トン級のロケットステージまで対応可能な「PHOENIX」シリーズの再突入カプセルを開発した。革新的な膨張式耐熱シールドにより、低コストかつ安全な地球帰還を実現する。同社は2026年に次世代カプセル「PHOENIX 2」の打上げを計画しており、今後さらなる拡張が見込まれる。

一方、ISTは日本の民間企業として初めて宇宙空間への到達を達成した観測ロケット「MOMO」に続き、小型衛星専用ロケット「ZERO」の開発を進行中。打上げ能力の安定化と衛星運用の経験を活かし、通信衛星事業などとの垂直統合による宇宙インフラ企業への進化を目指している。

今回の提携は、単なる輸送手段の連携ではなく、宇宙環境の活用と地球への還元をセットで提供する「双方向型」の宇宙物流サービスの確立に向けた重要な一歩となる。信頼性とスピード、そして地理的な近さを武器に、アジア太平洋地域での新市場開拓を狙う両社の動向は、今後の宇宙ビジネスの潮流を占う指標となりそうだ。

関連リンク:プレスリリース 

(TOMORUBA編集部) 

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