
先進核融合スタートアップのLINEAイノベーション、シリーズAで17.5億円の資金調達を実施
株式会社LINEAイノベーションは、シリーズAラウンドにおいて総額17.5億円の資金調達を完了した。本ラウンドは、リード投資家であるANRIをはじめ、ベンチャーキャピタル7社、事業会社2社、個人投資家1名が参加した。
調達した資金は、当社が開発を進める中性子を出さない先進燃料核融合(p-11B核融合)において、FRCミラーハイブリッド方式による早期の反応実証に向けた研究開発の推進および体制強化に充当する。
LINEAイノベーションが目指す核融合
LINEAイノベーションは、「Fusion Energy to the Future Generation」をミッションに掲げ、「中性子を出さず安全でシンプルな革新的核融合炉の実現」を目指している。
燃料には、軽水素とホウ素11(p-11B)を用い、これにより中性子を出さない先進燃料核融合(p-11B核融合)の研究開発に取組んでいる。これにより、従来型D-T核融合炉に伴う三重水素の取り扱いや、中性子による放射化・廃棄物の発生と言った問題を根本的に回避し、高い安全性と持続可能性を兼ね備えた次世代エネルギーを実現できる。

▲p-11B反応
技術的には、独自開発するFRC(Field-Reversed Configuration:磁場反転配位)による高密度ターゲットプラズマを、ミラー磁場に捕捉された高エネルギービームイオンと反応させる非熱的なアプローチにより、効率的な先進燃料核融合を目指している。日本大学、筑波大学等との共同研究を通じ、革新的な先進燃料核融合技術の実用化に取組んでいる。
資金調達の目的と今後の展望
今回の資金調達により、LINEAイノベーションは、FRCミラーハイブリッド方式による数年以内のp-11B核融合反応実証に向けた研究開発を加速させる。具体的には、研究開発チームの拡充を図り、重要要素技術の開発を推進するとともに、開発予定の反応実験装置を利用した反応実証実験に取組む
さらに中期的には、2030年代初頭までに発電実証を完了し、商業化への移行を目指す。将来的には、p-11B核融合炉の供給を通じて、安全・クリーンで持続可能な新しいエネルギー社会の実現に貢献する。
事業会社からの出資について
今回のラウンドでは、建設業界をリードする株式会社大林組、および総合電機メーカーである三菱電機株式会社が、LINEAイノベーションの技術と将来性を高く評価。戦略的パートナーとして出資した。
・株式会社大林組によるコメント
当社が進める核融合炉開発において、実験施設の整備から将来的な核融合炉の建設に至るまで、同社の持つ高度な建設技術やエンジニアリングに関する知見に基づく包括的な協働を2024年から開始しております。今回の出資は、この協力関係をより強固なものとし、核融合関連施設の設計・施工に関する技術協力、さらには将来のプラント建設における連携を具体的に進めるためのものです。
・三菱電機株式会社によるコメント
核融合炉関連事業において、双方の技術と経営資源を活用した協力関係を推進します。同社は、当社の先進的な核融合技術と、同社の有する強い事業基盤との間に高いシナジーを見出しており、新しいイノベーションを目指しています。今回の出資は、この協業関係を一層強化し、将来の社会実装に向けた連携を加速させることを目的としています。
LINEAイノベーションは、両社との連携を通じ、核融合技術の実用化と社会実装をさらに加速させていく。
本ラウンドにおける投資家
(カッコ内は運営主体を示します。)
・ANRI-GREEN1号投資事業有限責任組合(ANRI株式会社)(リード投資家)
・KII3号インパクト投資事業有限責任組合 (株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ)
・ゆうちょSpiral Regional Innovation 1号投資事業有限責任組合(Spiral Innovation Partners株式会社)
・ニッセイ・キャピタル14号投資事業有限責任組合(ニッセイ・キャピタル株式会社)
・ニッセイ・キャピタルサステナビリティ課題解決ファンド1号投資事業有限責任組合(同上)
・みずほ成長支援第5号投資事業有限責任組合(みずほキャピタル株式会社)
・株式会社大林組
・三菱電機株式会社
・ON & BOARD投資事業有限責任組合(ON & BOARD株式会社)
・SMBCベンチャーキャピタル8号投資事業有限責任組合(SMBCベンチャーキャピタル株式会社)
・つくばエクシード2号投資事業有限責任組合(株式会社常陽キャピタルパートナーズ)
・個人投資家1名
関連リンク:プレスリリース
(TOMORUBA編集部)