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EAGLYS×TIS |「秘密計算」と「量子暗号通信」の技術連携に取り組み、高セキュリティ水準のデータ連携環境・暗号鍵管理の構築に成功

EAGLYS×TIS |「秘密計算」と「量子暗号通信」の技術連携に取り組み、高セキュリティ水準のデータ連携環境・暗号鍵管理の構築に成功

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EAGLYS(イーグリス)株式会社とTISインテックグループのTIS株式会社は、金融事業者の利用を念頭においた高セキュリティ水準のデータ連携環境の構築に向け、秘密計算と量子暗号通信の技術連携に取り組み、実用レベルの速度と世界最高水準の安全性を有するデータ連携環境、および暗号鍵管理の構築に成功したことを発表した。

実証実験の背景

近年、金融業界ではオープンAPI化やフィンテック企業による金融サービスの拡大等を受け、金融事業者と企業間のデータ連携の機会が急速にひろがっている。企業間でのデータ連携がひろがりをみせる一方、金融事業者には他業種と比べても非常に厳しいデータの管理体制やセキュリティレベルの構築が求められている。

データだけでなくデータを暗号化する際の暗号鍵の管理についても、鍵の管理体制や所在の明示が要求されており、外部企業とのデータ連携の機会がひろがればひろがるほど、データと暗号鍵管理の安全性を高水準で担保するデータ連携環境の必要性が高まる。

実証実験の概要

今後さらに拡大していく金融事業者と外部企業とのデータ連携に対応するため、秘匿状態でのデータ連携・計算・共有を可能にする秘密計算技術と、量子暗号通信の一つである量子鍵配送「QKD(Quantum Key Distribution)※1」を組み合わせることで、データと暗号鍵管理の安全性を高水準で担保しながら、データ連携環境を構築する実証実験を行った。

実証実験の結果、秘密計算と量子鍵配送の技術連携に成功し、連携時の分析速度は非連携時と比較してもほぼ同レベルの速度であることから、実用レベルに十分達していると結論づけることができたという。金融事業者に安心して活用してもらえる、世界最高水準の安全性を有するデータ連携・暗号鍵管理環境の構築を実現できたそうだ。

▼秘密計算と量子鍵配送を組み合わせたデータ連携環境の概要


【内容・実証実験結果】

1. 秘密計算ソリューション「DataArmor」と量子鍵配送「QKD」を連携する機能を開発

・ データ分析時に期待される正常な動作やデータ秘匿状態を達成。暗号鍵は鍵管理サーバーへ共有されることが確認された。

2. 金融事業者によるデータ連携を想定したデモを実施

・データ分析時の動作の正常性を検証。(インポートやクエリ分析等一連の作業)

・連携する場合と連携しない場合の分析速度を計測。速度差0.09%と概ね同じ速さで運用できることが確認された。

【秘密計算と量子鍵配送を連携させた際の分析性能の検証について】

単一サーバー環境(vCPUs: 2、RAM: 4GB)にOSSデータベースのPostgreSQLを活用し、以下の集計分析クエリを想定した。※2

1. 異なる鍵で暗号化した2つのテーブル(トランザクション(行数:100万、列数:29)と顧客情報(行数:1000、列数:15))を結合

2. 会員番号・性別・年齢でグルーピング

3. 集計

4. 特定の会員番号・属性・集計値を表示

(※1)東芝デジタルソリューションズ株式会社提供

(※2)平文比較の数倍規模(検証数値では6.2倍~8.6倍)だが集計テーブルの設計や暗号化列数の調整、サーバー環境強化等によりさらに性能向上が期待される。

今後の展開

今回の実証実験で得られた結果をもとに、高いセキュリティ水準が求められる金融事業者のデータ連携やデータ利活用の推進を支援し、より安全にデータを活用できる社会の実現に引き続き取り組んでいく考えだという。

各社コメント

◆東芝デジタルソリューションズ株式会社 シニアフェロー 村井信哉 氏

『TIS株式会社様とEAGLYS株式会社様により、量子暗号通信と秘密計算を組み合わせたシステムの実証実験が成功したことをうれしく思います。東芝は、東芝欧州研究所傘下にあるケンブリッジ研究所で、2003年に量子暗号についての研究を開始して以来、多くの世界初となる技術を実証し、量子暗号通信をリードしてきました。今回の実証実験により、金融領域などにおいて、量子暗号通信と秘密計算を用いた安全な企業間データ利活用が促進されることを期待しております。東芝は今後も量子暗号通信の普及に向け、パートナー様と連携したソリューション提供を進めてまいります。』

◆EAGLYS株式会社 代表取締役 今林広樹 氏

『EAGLYSは、あらゆるデータを安全に活用し価値に変えることをミッションに掲げ、データセキュリティ/データ利活用支援とAI設計・開発、解析支援に取り組んでいます。このたびのTIS様との取り組みにより、秘密計算技術と量子暗号通信の一つである量子鍵配送を組み合わせることで、セキュリティやデータ連携の側面で多くの課題を持つ金融業界に向け、世界最高水準の強固なデータ連携・データ分析環境を提供できることを大変嬉しく思います。この実証実験を機に、金融業界でのシステム開発やサービス提供に多くの知見を有するTIS様との連携をより一層深め、機密なデータを扱う企業の課題解決へ引き続き貢献すべく、尽力していく所存です。』

◆TIS株式会社 戦略技術センター センター長 倉本秀治 氏

『今回、EAGLYS様と最新技術を用いた実証実験を実現できたことを本当にうれしく思い、深く感謝しております。量子コンピュータの実用化は、10年20年先という話がありますが、巨大IT企業などをはじめとして、世界の名だたる企業の研究開発の急加速により、実際の実用化は急激に早まりつつあります。そのような中で、従来のセキュリティ技術は無効化されてしまう日もそう遠くないと感じております。TISでは、政府・自治体、金融などとの業務も多く、このセキュリティ分野については、必要不可欠な技術と考えております。今回、秘密計算および量子暗号通信という最新技術を用いた実証実験ができたことは、今後のソリューション開発においても重要な位置づけとなると考えております。』

秘密計算とは

秘密計算とは、データを暗号化したまま計算できる新しい概念の技術。秘密計算技術を用いることによってデータそのものも計算処理過程も暗号化されるため、個人情報や企業の機密なデータを活用するための匿名加工作業をおこなうことなく、複数企業間でも互いにデータ秘匿したまま連携・分析できるようになる。このように生データの精度とセキュリティを両立させてデータ分析がおこなえることから、データ利活用時代のトップトレンド技術として国内外で注目を集めている。

※関連リンク:プレスリリース 

TOMORUBA編集部) 

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