秘密計算技術に強みを持つ「EAGLYS」、約8億円を調達し秘匿データ連携・解析強化へ
EAGLYS(イーグリス)株式会社は、第三者割当増資により総額約8億円の資金調達を実施したと発表した。引受先となったのは、Emellience Partners株式会社、株式会社椿本チエイン、テックアクセル1号投資事業有限責任組合(合同会社テックアクセルベンチャーズ)、セグエグループ株式会社の4社だ。
資金調達の背景
日本企業のDXへの関心・取組はコロナ禍を契機に加速度的に高まっている。2021年4月からはグループ企業間・他社間でのデータ連携に活用するソフトウェアへの投資に対する税制改革も予定されているなど、より一層DX推進ニーズは高まるものと予想されている。
こうした背景のもとEAGLYSは、2020年1月にデータを秘密計算技術により秘匿化したまま共有・検索・分析がおこなえるプロキシ型ソフトウェア「DataArmor® Gate DB」をローンチ。データベースのセキュリティ高度化や企業間のセキュアなデータ利活用・分析環境の構築を推進してきた。
同社は今回の資金調達を通じ、安全にデータ利活用がおこなえる社会の実現に向けたサービス機能の強化、セキュアなデータ利活用環境の構築を推進していく考えだという。
調達資金の用途
■サービスの社会実装の加速に向けた株主体制構築による販売促進・事業成長
■DataArmor®シリーズの追加機能開発、データ利活用領域での販売力強化
■クラウド上でのデータ連携・分析サービス、リモートAI解析サービスの垂直立上げ
投資家のコメント
■永井和夫 氏(Emellience Partners株式会社 代表取締役CEO)
『情報の信頼性はサステナビリティに必要不可欠な要素であり、あらゆるデータがセキュアな状態かつセキュアな環境で利活用されることが求められます。「あらゆるデータを安全に活用できる社会の実現」を掲げ挑戦するEAGLYS社に、信頼性をベースとしたデジタルコモンズ(※1)の実現を掲げる日本ユニシスグループは共感し、このたび出資に至れたことを大変喜ばしく思います。私たちは、EAGLYS社の「AIアルゴリズム設計・解析技術」、「秘密計算を中心としたセキュアコンピューティング技術」が、あらゆる産業・企業の情報の信頼性を向上することができるものと確信しており、日本ユニシスグループとしてそれらの実装を支援することでEAGLYS社の成長に寄与できることを願っております。』
※1: デジタルコモンズ :社会に既に存在する私有財(企業・団体・個人のもつ財)や余剰財(稼働率の低い財)を、デジタルの力で追加コストの少ない共有財として広く利活用可能とすることによって、社会課題解決における社会的価値と経済的価値の両立を可能とするコミュニティ
■岡本 雅文 氏(株式会社椿本チエイン 執行役員 マテハン事業部長)
『主要ターゲットである物流業界ではeコマースによる市場拡大に加え、人手不足解消や労働時間短縮をねらい省人化・無人化設備の導入を推進しています。これに対応する為、優れたAIアルゴリズム設計・解析技術を持つEAGLYS社と協業し、対象商品の形状・色・模様等を高速・高精度で画像認識する「AI画像認識技術」を開発しました。これらの活動の中で今林社長をはじめとした経営陣、スタッフの方々の提案力・行動力は驚嘆に値するものであり今回の投資を決意しました。もうひとつのコア技術である秘密計算・通信技術についても汎用性が高く、マテハン部門以外のビジネス・ユニット適用も見込めると期待しています。』
■大場 正利 氏(合同会社 テックアクセルベンチャーズ 投資パートナー)
『弊社テックアクセルベンチャーズ主催のテック系スタートアップを対象とした、ビジネスプランコンテスト「Tech Sirius 2019」で最優秀賞を受賞されて以来のお付き合いの中、今回、出資をさせて頂きました。EAGLYS社が意欲的に取組んでいる「秘密計算を中心としたセキュアコンピューティング技術」、および「AIアルゴリズム設計・解析技術」はDX分野の重要な位置付けとなるだけでなく、データ秘匿化が重視される異業種、異分野でのデータ流通・活用においても重要なポジションになることと確信しております。ご支援させて頂くことで、EAGLYS社の更なる事業発展と産業界への貢献を楽しみにしております。』
■愛須 康之氏(セグエグループ株式会社 代表取締役社長)
『クラウド、IoT等を利用した機密・パーソナルデータの情報分析はDXに欠かせない技術となっていますが、データの分析と活用は安全性が強く求められています。秘密計算はそれを解決する画期的な技術と考えております。この度EAGLYS社と出資・業務提携できることを大変嬉しく思っております。共にセキュアなデジタル社会の実現に貢献したいと考えております。』
なお同社は2020年より、株式会社東芝およびJR東日本グループと協業の検討を開始している。
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