小型閉鎖循環式陸上養殖の「ARK」×JR東日本スタートアップ｜資本業務提携、JR常磐線浪江駅で陸上養殖の実証実験をスタート
東日本旅客鉄道株式会社 水戸支社、東日本旅客鉄道株式会社のグループ会社でベンチャーへの出資や協業を推進するCVCのJR東日本スタートアップ株式会社と、小型閉鎖循環式陸上養殖システムの設計・開発・製造及び付帯サービスの開発と提供を行う株式会社ARKは、閉鎖循環式陸上養殖システム「ARK」を用いた再生可能エネルギーの使用による陸上養殖の実証実験を2022年2月22日より「JR常磐線浪江駅」にて開始すると発表した。
浪江駅での実証実験
陸上養殖システムの設置後、2022年3月中旬（予定）よりバナメイエビの稚魚を入れて、養殖をスタートする。今回の実験として、まずは鉄道敷地内での陸上養殖の生育状況、飼育したバナメイエビの出荷方法やシステム稼働の安定性を実証するという。
2020年3月に全線運転再開したJR常磐線の浪江駅を第1弾の実証実験場所として、福島県浜通り地区の新たな地場産業の創出を目指す。小型閉鎖循環式の陸上養殖システムにより、駅などあまり大きなスペースを有していない場所でも養殖が可能となり、無人駅などを新たな産業拠点とすることができる。
震災復興を進める福島県浜通り地区の漁港や、沿線自治体とも実証実験の情報提供などで連携を深めながら、各種イベントの開催などを今後検討していく予定。また列車荷物輸送などを活用し、生育したバナメイエビのエキナカ店舗での販売なども今後検討していくという。
JR東日本スタートアップとARKで資本業務提携
株式会社ARKは、JR東日本スタートアッププログラム2021で審査員特別賞を受賞した。JR東日本グループが持つ遊休地などを活用し、小型閉鎖循環式陸上養殖による安心安全な究極の地産地消モデルの構築を行うことで、新しい地域産業の創造を目指す。同時に、再生可能エネルギーを使用した閉鎖循環式によるゼロエミッションの陸上養殖に挑戦することで、持続可能な水産資源の未来を目指してSDGsへの貢献も推進できることから、JR東日本スタートアップと株式会社ARKで資本業務提携することとなった。
【JR東日本スタートアッププログラム】とは
ベンチャー企業や様々なアイデアを有する人たちから、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、ブラッシュアップを経て実現していくプログラムだ。2017年度に初めて開催し、これまでに計94件の提案を採択。鉄道事業やIT事業など幅広い分野の実証実験を行い、一部の取組みは実用化にいたった。なお、内閣府主催の2018年度第1回日本オープンイノベーション大賞において、経済産業大臣賞を受賞、2020年度第3回同賞において、環境大臣賞を受賞している。
【株式会社ARK】とは
ARK（アーク）は「養殖の民主化」をミッションとして「どこでも誰でも水産養殖ができる仕組み」を提供するため、CRAS（Closed Recirculating Aquaculture System）と呼ばれる閉鎖循環式陸上養殖システム「ARK」の開発・販売をおこなっている。車一台分の駐車スペースがあれば設置・稼働することができ、大きな初期投資と運用費を必要とする大規模養殖システムとは異なり、小規模な投資と運用で分散型の水産養殖を始めることができる。
また再生可能エネルギーの使用によるゼロエミッション化を実現し、オフグリッドでの稼働が可能であると同時に、大幅にエネルギーコストを削減することができる。これらのハードウェアに加えて、養殖事業に必要となるリモート管理アプリケーション、資材や種苗の提供サービスも行っている。
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