名古屋大学×シャープ×ポットスチル | モバイル型ロボットを活用した、運転行動改善効果を検証する実証実験を実施
国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学 未来社会創造機構、およびシャープ株式会社、株式会社ポットスチル(名古屋大学発ベンチャー)は、シャープのモバイル型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」を活用したドライバエージェントシステム(※1)による運転行動改善効果を検証する実証実験(※2)を、2021年8月30日より開始すると発表した。
※1 ドライバエージェントシステムとは、スマートフォン、ロボット、クラウドが連動し、日常運転のパートナーとして安全な運転への改善をサポートするシステムのこと。
※2 本実証実験は、名古屋大学COI(Center of Innovation Program)「人がつながる “移動”イノベーション拠点」の一部として実施される。名古屋大学COIとは、文部科学省と国立研究開発法人科学技術振興機構の「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の採択を受け、「高齢者が元気になるモビリティ社会」の実現に向けて、大学と企業、自治体、そして市民とともに、研究開発とその社会実装に取り組むプロジェクトのこと。
実証実験に取り組む背景
昨今、高齢ドライバによる交通事故が社会問題化し、安全運転を支援するシステム整備が喫緊の課題となっている。名古屋大学未来社会創造機構では、これまでにもドライバエージェントシステムによる運転支援の研究を進めてきた。本人の想定よりも心身機能が低下していることや危険な運転行動への自己認識を促すこと、運転行動を客観的に評価し結果をフィードバックすること、同乗者の存在により事故率が低下する同乗者効果を利用することなどの事故低減への効果を実証(※3)してきたという。
※3 田中貴紘ほか:運転支援エージェントの継続利用によるドライバの運転行動と自己認識の変容 -運転寿命延伸を目指したドライバ運転特性研究(27)-,自動車技術会2021春季学術講演大会, No.65, No.291(2021)
実証実験の内容
今回の実証実験は、これまでの実証で得られた知見をベースに、名古屋大学未来社会創造機構が実験計画を策定。シャープが、ロボホンをドライバエージェントシステムとして活用するためのアプリケーションを開発・配信し、ポットスチルが収集したデータを分析する。
公募により選出した50名のロボホンオーナーに普段の運転時に使用いただくことで、全国の公道で実証実験を行う。ロボホンを通じて、注意喚起や運転行動への示唆などの「運転中の支援」に加え、運転後の運転評価などの「振り返り支援」を行うことで、運転者に危険な運転への気付きを与え安全運転を促し、運転者の行動変容効果を検証する。
また、友人や配偶者よりも擬人化HMI(ヒューマンマシンインタフェース)からの指摘の方が受容されやすい(※4)ことから、ロボホンを介すことでドライバエージェントシステムによる運転評価やアドバイスの受容性が高まることを確認する。
さらに、ロボホンが同乗することで、音声ナビ機能などでは得られない同乗者効果のほか、ロボホンとオーナー間の関係性の強化なども期待される。
名古屋大学未来社会創造機構、シャープ、ポットスチルは、本実証実験で得られた知見を活かし、より安全な運転を促す「運転支援ソリューション」の開発と実用化に取り組み、社会課題の解決に貢献していく考えだ。
※4 T.Tanaka, et al.: Effect of Difference in Form of Driving Support Agent to Driver’s Acceptability -Driver Agent for Encouraging Safe Driving Behavior (2), Journal of Transportation Technologies Vol.8, No.3, pp.194-208(2018)
※「ロボホン」、「Robohon」、RoBoHoNロゴは、シャープ株式会社の商標または登録商標。
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