介護事業所向けリハビリSaaS「リハプラン」を運営するRehab、7億円の資金調達を実施
デイサービス向けクラウド機能訓練ソフト「リハプラン」を運営する株式会社Rehab for JAPANは総額7億円の第三者割当増資を実施した。なお、今回の資金調達を経て累計調達総額は約11億円となった。
日本全体で65歳以上の人口が3,500万人以上となり、そのうち人の手助けが必要な要介護者は既に約680万人、2040年には988万人まで増加すると言われている。一方で、介護サービスを提供する人材が大幅に不足しており、介護事業所は業務効率化と共にサービスの質を高めるためのICTの導入が不可欠な状況。
そんな中、新型コロナウイルス感染症の影響や今年4月に施行された介護報酬改定(LIFE加算)などにより、介護業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)への要請が高まっている。
デイサービス向けリハビリ業務支援SaaS「リハプラン」は、2018年2月にリリースして以来、順次導入事業所を拡大しており、累計の導入事業所数は900事業所、既に6.6万人の高齢者データを有する。専門職の脳内で行われていたリハビリ訓練計画の立案工程を自動化しており、要介護者の身体状況や自宅での生活課題、本人の意志などに関する項目をチェックするだけで、最適なリハビリメニューが自動提案される。
これにより、リハビリ指導経験のないスタッフでも、簡単に効果的な介護リハビリを提供できるようになった。
一方、介護事業所内には要介護者の身体状況や生活、家庭環境、本人の興味・関心などに関する深いデータがある。ただ現時点においては、そのデータは複数の手書きの紙資料に点在して記録されており、分析可能な状態になっていない。そこで、業界知見とAIや動画解析などの先端技術を活用して、スタッフの業務を効率化しながら、より質の高いデジタルデータに変えていこうとしている。そして、個別性の高いリハビリテーションの有効性をさらに証明していきたいという。
今回、事業会社を中心とした数多くの新規引受先が参画し、各社が長年培ってきた知見や高度な技術との連携に向けて、既存事業の拡大はもちろんのこと、新規事業へのスピードを更に加速していくという。
同社は介護におけるリハビリとは、身体能力回復だけではなく、高齢者一人ひとりの生活、性格、家庭環境などに合わせて、その人のライフスタイルをデザインすることだと考えているという。高齢であっても、病を抱えていても、けがを負っていても、自分のしたいこと、目標を実現できる人生を生きる。そんな社会、環境を作るべく、更なる成長に向けて突き進むという。
資金の使途
今回の調達資金は、既存プロダクト強化および新規事業の創出、事業拡大に伴う組織拡充・採用強化に向けて投資する予定だという。
同第三者割当増資における引受先一覧(順不同)
・CYBERDYNE株式会社
・CEJキャピタル株式会社(サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合)
・株式会社MTG Ventures(MTGV投資事業有限責任組合)
・SMBCベンチャーキャピタル株式会社(SMBCベンチャーキャピタル6号投資事業有限責任組合)
・豊島株式会社が運営するCVCファンド
・三菱UFJキャピタル株式会社(三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合)
・小野薬品工業株式会社
・KIRIN HEALTH INNOVATION FUND(KIRIN・GB投資事業有限責任組合 )
・株式会社キャピタルメディカベンチャーズ(ヘルスケア・ニューフロンティア投資事業有限責任組合)
各社コメント
■CYBERDYNE株式会社 代表取締役社長/CEO 山海 嘉之氏
Rehab for JAPAN社が目指す「エビデンスに基づいた科学的介護の実現」は、超少子高齢社会において、高齢者自身のQoLや自立度の向上と、介助者や社会全体の負担軽減のために必要不可欠です。介護業界におけるデジタル化の進展によって、サイバーダインが推進する『人』+『サイバー・フィジカル空間』の融合が加速し、テクノピア・サポートの未来社会「Society5.0/5.1」を共に実現できることを楽しみにしています。
■株式会社MTG Ventures 代表取締役 藤田豪氏
Rehab社は今後益々高齢者人口が増加するなかで、リハビリSaaSを事業の皮切りに、データドリブンでシニア層の健康的な生活に寄与するソリューションを提供していく企業です。MTGグループは、世界中の人々の健康で美しく生き生きとした人生を実現する「VITAL LIFE」を事業ビジョンに掲げており、シニア市場におけるVITAL LIFEの実現に向けて、当社と幅広く連携して参ります。
■SMBCベンチャーキャピタル株式会社 次長 中野哲治氏
科学された介護を実現するにあたってはリハビリのエビデンスとなるデータの蓄積が必要不可欠ですが、アナログが根強く定着した介護現場における業務効率化とセットであることが求められます。介護領域における深い原体験・知見を有する大久保CEOと、IT領域において圧倒的な実績・知見を有する池上COOを中心とした素晴らしいチームがこれを成し遂げ、高齢者の方々が活き活きと生活する世界を創り上げることを確信しております。
■豊島株式会社 執行役員 兼 営業企画室室長 溝口量久氏
Rehab for JAPAN様への出資を通して日本の介護業界の課題解決にお役に立てる機会を頂いたことを有り難く感じております。豊島ではSDGsに関わる5つの使命の一つとして「人に優しい地域づくり」を掲げ、ベンチャー企業の皆様との協業による新たな事業創出を進めております。革新的なサービスを提供するRehab forJAPAN様との取組が、より多くの高齢者の皆様と施設で働く皆様の健康に繋がることを期待しております。
■三菱UFJキャピタル株式会社 投資第三部 部長 茂木 友貴氏
介護保険制度の設立から20年以上が経過する中で、介護サービスのあり方も変革が求められています。生活支援はもとより、高齢者の方々がより自立した活動を行えるような支援というものが必要になってきています。当社サービスは、介護におけるリハビリはもとより、介護従事者の方々の業務支援に繋がるものでもあり、今後ますます普及していくことが期待されます。弊社でも、MUFGの一員としての強みを生かし、当社の飛躍に向けたお手伝いが出来ればと考えております。
■小野薬品工業株式会社 取締役 常務執行役員/経営戦略本部長 辻中 聡浩氏
高齢化が進む日本社会において、介護に関わるすべての方々にとって、Rehab社が提供するリハプランの果たす役割は大きいと考えます。また、新たな顧客接点を持つキープレイヤーとの関係構築を通じ、今後当社がヘルスケア領域においてユニークな提供価値を模索する側面においても今回の出資は有意義であると考えております。今後、Rehab社が開発・提供するサービスの浸透を通じ、人々の健康維持・増進に貢献する事を期待しております。
■キリンホールディングス株式会社 執行役員 経営企画部健康事業推進室長 石倉徹氏
同社の提供するサービスはデイサービス事業所の課題に真摯に寄り添い、テクノロジーの活用によって事業所の負担を軽減しながら高齢者の健康増進を図る、画期的で持続的なビジネスだと認識しています。同社が持つ高い提案力と介護領域に関する深い知見に弊社が持つヘルスサイエンス領域の素材・技術やノウハウをかけあわせることで、同社の更なる事業成長とその先の多くの高齢者の方々のより健やかな生活の実現を期待しています。
■株式会社キャピタルメディカベンチャーズ 代表取締役 青木 武士氏
『エビデンスに基づいた科学的介護の実現』 は、当社が創業来抱いていた世界観です。介護業界のモメンタムとして、ADL評価データの蓄積とその活用が、社会実装デマンドとして顕在化されてきました。今回の資金調達によって、そのフロントランナーである当社には、この社会デマンドをより野心的に満たすべく体制を強化して頂きたいと共に、『介護に関わるすべての人に夢と感動を。』の実現に向けて邁進することを期待しています。
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