【イベントレポート】第16回NEDOピッチ ~モビリティ・物流領域のベンチャー5社が登壇~
こんにちは。オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が開催するNEDOピッチに行ってきました、eiiconの中島です。このイベントは、ベンチャー企業がピッチ形式で大企業に対して事業提携ニーズを伝えることで、オープンイノベーションのきっかけを作ることを目的としています。
今回、私が参加した第16回NEDOピッチのテーマは「モビリティ・物流」。モビリティや物流といった領域で躍進を続けるベンチャー企業5社が登壇しました。一方、100名を超える大手企業の新規事業担当者、オープンイノベーション担当者なども参加し、登壇ベンチャーと参加者の白熱した質疑応答がされていました!なお、今回のピッチイベントは、YouTubeの「NEDO Channel」でも視聴することも可能(プレゼン部分のみ。質疑応答は含まれません)です。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLZH3AKTCrVsVep4BhrUes_4D69gfjRfBm
【登壇企業】
●株式会社スマートドライブ
●ライフラボラトリ株式会社
●Global Mobility Service株式会社
●Trillium株式会社
●テラドローン株式会社
それでは、登壇された上記5社のピッチの模様を紹介していきます。
株式会社スマートドライブ
▲執行役員 元垣内氏
同社は、自社開発したデバイスをシガーソケットに差すことで、車の走行データを収集し、走行データの解析・活用までのサービスを一気通貫で提供。デバイスだけではなく、スマホアプリまで開発しており、走行データの提供でマネタイズをしています。そして、同社が手がけるサービスの強みとして、下記3点を挙げていました。
●簡単に装着可能(工事不要)
●価格も安い
●リアルタイムに状況が確認できる(他のシステムとのAPI連携)
走行データは自動車保険で活用されており、アクサ損害保険株式会社とアライアンスを実現しています。今後は、自動車ローンや車両管理等、走行データを活用したビジネスを営む企業との提携に積極的でした。
ライフラボラトリ株式会社
▲代表取締役 鈴木和浩氏
同社は、2015年に、富士通社内のベンチャー制度によりスピンアウトした企業です。ウェアラブルセンサーをポケットに入れ、設置したビーコンと連携。機械学習を活用し、各人の位置や移動距離をデータ化することができるサービスを提供しています。なお、ソフトとハードの両方を開発することで、1mのみの誤差しかでない精度を実現しているとのこと。工場や店舗などで生産性を上げるために、モノや人の動きを最適化したいという”動線分析のニーズ”が高まっている中で、電源工事なども不要で導入障壁を低いサービスとなっています。直近の提携ニーズとしては、下記3つを挙げていました。
●ICTベンダー:IoTとAI基盤での連携
●運送会社→倉庫内オペレーションの効率化
●航空会社→空港ロケーションサービスに関する情報
Global Mobility Service株式会社
http://www.global-mobility-service.com/
▲代表取締役 社長執行役員CEO 中島徳至氏
現在、非正規雇用の増加などの理由で、190万人がローンを組めず、車を買えないという現実があります。そのような国内情勢の中で、同社は「誰もが車を買える社会へ」というスローガンのもと、「IoT」と「FinTech」を組み合わせ、従来の方法では与信審査が通らない人でも車が買える世界を実現しています。
また同社は、どんな車両でも搭載可能なIoTデバイスを開発し、車両データを収集。そのデータを活用し、与信審査の新たな基準を構築しています。例えば、毎日自動車で勤務先に出勤しているという走行データは、金融機関がローンを組むための信頼に繋がっています。
今まで、住友三井オートサービスとの提携や、7億円の資本調達を実現するなど、多くの注目を集めている同社。提携ニーズは、高い技術は持っているもののビジネス化できないデバイスメーカーや、ファイナンス企業、データを活用したい企業とのことでした。
Trillium(トリリウム)株式会社
▲代表取締役 ディビッド マイケル ユーゼ氏
同社は、世界で唯一の多重層サイバーセキュリティのソフトウェアサービスを提供しています。代表であるディビッド M. ユーゼ氏によると、現行の車載には約30年前に規格制定されたネットワークシステムが搭載されているため、セキュリティにおいて脆弱性が生じています。現在、アメリカでは、すでにこのサイバーセキュリティ領域は非常に緊迫感のある分野となっておりますが、その反面日本国内にはそれほどではありません。日本でも今後のコネクテッドカーの更なる普及に伴いサイバーセキュリティに対する脅威が高まり、対策を強化する必要が出てきます。同社では、シートベルトやエアバックと同じように、サイバーセキュリティが車載に標準装備される日が来ることを見込んでいます。
また、同社の事業提携ニーズとしては、半導体メーカー、自動車メーカー、自動車ベンダー、SaaSモデルとして、自動車保険会社、携帯事業会社、PC・Homeなどのセキュリティシステム会社を念頭に入れています。
テラドローン株式会社
▲代表取締役 徳重徹氏
ドローンを使ったサービスを先進的に展開する同社。オーストラリアでも事業を展開予定ですが、日本においては「土木測量」にフォーカスして事業を展開しています。同社は既にコマツや日立に対し、早く・安く提供でき、さらに5cmの誤差で測量できるドローン測量サービスを提供しています。さらに同社は、ドローンの市場の移り変わりが非常に早いという危機感を持ち、下記例のような様々な商品やサービスを開発している。
●土木現場で進捗管理ができるソフト
●ドローンで撮影した写真を、AIを活用し、自動的に問題がありそうな部分を判断するソフト
●無人航空機の運行管理システム
また、ドローンのパイオニアでもあるベルギーのユニフライ社に、5億円を出資し、共同開発なども進めています。
以上、NEDOピッチの模様でした。近年、AIやIoTといった先端技術の進化により、大きな変化を見せる「モビリティ・物流」領域。人材不足や働き方改革といった社会課題も多いこの領域において、技術を駆使し、イノベーションを起こすことで、さらなる課題解決を進めてほしいと感じました。
■執筆者:中島大志(eiicon co-founder)
株式会社インテリジェンスにて、同社コア事業である人材紹介事業部にて小売・不動産・コンサルティング業界などのサービス業向けの法人営業を経験。特に、中小企業やスタートアップの採用支援に従事。eiiconの立ち上げメンバーとして主に法人集客とサービス企画に携わる。