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【特集インタビュー】リコー×オムロン×SMBCベンチャーキャピタルが新ファンド設立。テックベンチャーを支援し、描く未来とは?(前編)

【特集インタビュー】リコー×オムロン×SMBCベンチャーキャピタルが新ファンド設立。テックベンチャーを支援し、描く未来とは?(前編)

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シード・アーリーステージにある日本のテックベンチャーの支援を目的に、事業会社の垣根を越えて設立されたオープンイノベーション型ベンチャーファンド、「テックアクセルファンド」。2016年3月に設立された同ファンドはリコー、オムロン、SMBCベンチャーキャピタルが運営母体となっており、産業革新機構と三井住友銀行からの出資を受けている。規模は50億円。今後、追加募集を行いながら、質・ 規模を拡大。リコー、オムロンだけではなく、多様な事業会社がジョインし、最終的には70億円規模に増資する予定だ。 すでにCVCに着手しているリコーそしてオムロンという事業会社と、SMBCVCが手を組むこと自体が「オープンイノベーション」を体現しており、そこから生み出される化学反応に大きな注目が寄せられている。なぜ、企業単体ではなく、複数の事業会社が集い、ベンチャーファンドを生み出したのか。そして、目指しているビジョンは何なのか――。 こうした疑問を解明すべく、同ファンドの運営を行う合同会社テックアクセルベンチャーズの執行役員であり投資パートナーである小澤・有田両氏にインタビューを敢行。設立の背景から未来像、投資先の選定基準、さらにオープンイノベーションの成功要因に至るまで、前編・後編2回にわたり、話を伺った。


【写真左】 合同会社テックアクセルベンチャーズ 職務執行役員 投資パートナー 博士 小澤 尚志 Noashi Ozawa メーカー、大学でセラミックスの研究に携わった後、2003年にオムロン株式会社入社。材料エンジニアとして職務に従事。その後、経営企画に異動となる。M&A、新規事業開発などを担当。2014年、オムロンベンチャーズ代表取締役に就任し現在に至る。 【写真右】 合同会社テックアクセルベンチャーズ 職務執行役員 投資パートナー 有田 寿範 Toshihiro Arita 外資系投資銀行でM&Aに従事した後、自らベンチャーを起こす。その後、米シリコンバレーで日本の大手自動車メーカーのCVCを創設。約10年にわたり投資に携わる。2011年リコー入社。新規事業を担当し、現在に至る。


■複数の事業会社が集うからこそ、できることがある

――まず、複数の事業会社が集い「テックアクセルファンド」を共同運営する狙いを教えてください。

有田:これまでオムロンもリコーも、それぞれにベンチャー支援を行っていました。しかし、自社で行うと、どうしても自社事業に取り組むことが目的になってしまいます。結果として、対象となる企業が非常に限られてしまいました。オムロンとリコーは、より高い視点を持ち広く投資を行う必要があるという共通の問題意識を持ったのです。

 ――1社だけでは、ベンチャーとの出会いが制限されてしまうということですね。

有田:そうです。加えて、支援を受ける側からすれば、企業に対し従属的にならざるを得ないという弊害が生じます。しかし、我々が支援をしたい優れた技術を持つベンチャーは、優れていればいるほど、従属的にはなりたくないという思いも持つでしょう。そこにアンマッチがあったのです。 

小澤:資金の面からも、1社だけでは限界があります。景気が後退したら、さっと手を引いてしまう。これでは信頼を得ることはできません。

――とはいえ、投資の意思決定の際、各事業会社の思惑が入り混じることはありませんか。

小澤:今回のVCに関して、私たちは決してそれぞれの会社の看板を背負っているのではありません。あくまで国内のテックベンチャーの育成を目的にしています。私たちとしては、可能な限り広い事業領域でベンチャーを発掘したいという思いがあるのです。その意味で、さまざまな事業会社と共に投資を手がけていきたいと考えています。

――どういった会社と力を合わせたいとお考えですか。

小澤:やはり共通の問題意識を持っている会社がいいですね。“日本のテックベンチャーを育てたい”という強い意志が大事になってくると思います。

 有田:実は当初VCの設立には、もっと多くの企業が関わる予定でした。しかし、海外企業にも目を向けたい、投資先の選定はキャピタリストに一任したいなど、さまざまな意見の相違や温度差が生じました。構想そのものは3年前からあり、オムロンとリコーが出会ったのは2年前です。もうそろそろ形にしようということで、問題意識も経験値も共有できた私たちでスタートを切ったのです。 

――支援を行うに当たり、注目している技術はありますか。

小澤:具体的にこれ、というものはないですね。技術領域に制限はありません。 

有田:日本が世界のリーディングになれるという意味では、IoTや燃料電池などが挙げられるでしょう。支援していきたい技術ではあります。ただ、単独でこの技術というようには、あまり考えていません。 

――では、支援の対象となるのは、どういったベンチャーでしょうか。

小澤:私たちが注目しているのは、その技術を使ってどんな社会課題が解決できるかです。課題×技術の観点から、ベンチャーを探しています。第一次産業や第三次産業が抱える問題、バイオやロボットの発展と産業化を実現できるような技術が出てきてほしいと思っています。 

有田:課題について言えば、国内にとどまることなく世界に目を向けたいと思っています。私たちが育てたいのは、グローバルに活躍できるベンチャーです。確かに日本の中の課題を解決することも大切ですが、例えば環境問題など、グローバルな課題と向き合いたいという思いが強くあるのです。

■ロールモデルを作り、シードをニーズに変えることが、大きな目的の一つ

――投資対象の選定について、進捗具合を教えてください。

有田:具体的な話は進んでいないというのが実情です。毎週のように研究機関、大学、企業にまで足を運んでいますが、投資には至っていません。

 小澤:特になかなかシードが出てきません。現状の日本の社会ではベンチャーが育ちにくいのです。 

――それはなぜですか。

有田:人材の流動化が進んでいないのが大きな要因と言えます。いい人材がベンチャーを起こそうとしません。IT系はベンチャーで活躍する人材が目立ってきていますが、技術系はお金も時間も専門性も必要になり、起業はせずに会社にいたほうが有利という場合が多いのです。 

小澤:ロールモデルがないんです。例えば大手企業に勤めている人がベンチャーを起こし、元いた会社に買われてまたベンチャーを立ち上げて、という事例はないに等しいでしょう。

 有田:お金の問題もあります。ベンチャーが、好きなことをやっているから貧乏でもいいんだ、というコミュニティになってはいけない。シリコンバレーは極端な例かもしれませんが、日本でも、大手に勤めるよりベンチャーを起こしたほうが儲かる、ということがあっていいはずです。それだけ価値の高いことをやっているのだから。 

小澤:技術を持った人間と、アイデアを持つ人間の出会いも少ないと思います。技術者はついつい技術ばかりを見てしまい、マーケットの中でどのように生きてくるか気づいていない場合が少なくありません。そこで、私たちの存在が生きてくるのです。技術の持つ真価に気付き、あなたの持つ技術はこんな社会課題を解決できますよと伝え、共同でビジネスを創っていく。ロールモデルを作ること、シードをニーズに変えること、が、今回のVCの大きな目的の一つです。 

――テックベンチャーを育てる仕組みを作るんですね。

有田:すべてが解決するとは思っていません。その第一歩になればいいと思っています。   (後編へ続く ※後編は明日 28日(水)朝 配信!※)


今回の前編では、ファンド設立の背景やその目的を中心に話を伺った。そして明日公開を予定している後編では、ベンチャーへの具体的な支援策に加え、オープンイノベーションを成功させるために何が必要か。有田・小澤両氏に、さらにインタビューを行った。 (構成:眞田幸剛、取材・文:中谷藤士、撮影:佐藤淳一)


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