KDDIとNHK、テレビ番組に連動する雑談対話型AIを搭載したロボットを開発
株式会社KDDI総合研究所は、NHK放送技術研究所と、テレビ番組に関連したロボットの発話を起点として、視聴者の世代や顔ぶれに応じて幅広く話題を展開できる雑談対話型AIを搭載したロボットを共同開発した。同技術により、家族間のコミュニケーションを活性化するとともに、ロボットと一緒に楽しくテレビを視聴する新しいテレビ視聴体験を実現するという。
背景
人々の生活様式や娯楽手段の多様化が急速に進展する中、映像視聴の方法も大きく変わってきた。IT技術の進歩とともに、スマートフォンによる「どこでも視聴」をする人を多く見かける一方で、4K/8Kのテレビ番組サービスの開始を受けて、大迫力・高精細なテレビ番組を楽しむ人も増えている。
特に2020年に向けて各種のスポーツ番組など、家族や友人と、またネットワークでつながった知り合いと感動を共有しながら視聴する「ワイワイ視聴」が、あらためて注目されている。
今回の成果
KDDI総合研究所は、NHK技研と、ワクワクする新たなテレビ視聴体験の実現を目指し、テレビ番組に連動した雑談対話ロボットを開発した。NHK技研が研究を進めているテレビ視聴ロボット(注1)に、KDDI総合研究所の雑談対話型AI(注2)を搭載することにより、テレビ番組をロボットとともに楽しめる新たな世界観を実現していくという。
テレビ番組の内容を起点とした雑談対話ロボットの全体イメージ
技術的特徴
今回開発したテレビ番組連動雑談対話ロボットを実現するため、2つの技術を新たに開発したという。
(1)視聴者の世代や顔ぶれに合わせた「対話パーソナライズ技術」
対話パーソナライズ技術とは、ロボットに搭載された人間の顔属性のAI識別モデルにより視聴者の世代や、2人以上の場合にはどんな世代の組合せなのかを推定し、ロボットからの質問への返事に応じて、番組関連の数多い雑談話題候補の中から視聴者の世代や顔ぶれに合った話題を選択する技術。
この技術によって、例えば、夫婦で番組を視聴する場合と、子供や孫と一緒に視聴する場合など、異なる場面に応じてそれぞれ適切な対話ができる楽しい雑談を可能にした。
(2)番組内容に連動しながら幅広い話題を楽しめる「話題連動型発展対話制御技術」
話題連動型発展対話制御技術とは、NHK技研が開発した視聴中の番組のEPG情報や字幕情報などからキーワードを抽出し、対話のきっかけとなる番組内容に関連した発話を生成する技術と、KDDI総合研究所が開発した雑談対話型AIで動作する時事話題対話エンジンを組合せた技術。
進行中の番組の話題と共通性を持ちながら、別の視点を持った話題を紹介したり他の雑談に発展させたりすることが可能。
この技術により、視聴している番組の内容に直接関連した対話のみならず、番組に関連するニュースも含めた幅広い内容の雑談対話をロボットと楽しむことができるという。
共同で開発した研究成果は、2019年5月30日(木)から6月2日(日)まで開催されるNHK技研公開2019「テレビ視聴ロボット」のブース(注3)で展示される。
NHK技研の特設会場でテレビ番組を視聴しながら、ロボットとの雑談対話を体験できる。
今後
多様な家族構成に合わせた対話バリエーションやロボット動作の拡大などとともに、実家庭の環境における効果検証などを行い、ロボットとともにテレビを楽しむワクワク視聴ができる世界の実現を目指すという。
(注2)ニュースから広がる対話を特徴とする「雑談対話型AI」を開発(2018年4月27日報道発表)
(注3)技研公開2019「テレビ視聴ロボット ロボットとの対話による新しいテレビの楽しみ方」
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(eiicon編集部)