6/4-5開催「JOIF2019」カウントダウン特別企画 | トークセッションアーカイブ公開③/フリークアウト・佐藤氏×ソウゾウ・松本氏
eiiconは、日本流オープンイノベーションの祭典「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2019」(JOIF2019)を6/4〜5の二日間開催する。本イベントの核となるコンテンツの一つが、日々のオープンイノベーション活動のヒントとなるようなトークセッションだ。JOIF 2019では、「●●×オープンイノベーションで加速する世界」をテーマに各界の著名人を招聘、合計10のトークセッションを実施する。
そこで今回、JOIF 2019開催までのカウントダウン特別企画として、過去のJOIFにおけるトークセッションのアーカイブを紹介していく。――3回目は、JOIF2017の【起業、そして拡大・シアトルアントレプレナーが語るグロース秘話】というトークセッションに登壇した、フリークアウト・ホールディングスの代表・佐藤氏と、メルカリ100%子会社・ソウゾウの代表・松本氏が語った内容を再掲する。
(本記事で語られている内容や登壇者の役職・所属等は2017年10月当時のものです)
▲登壇者/株式会社フリーアクト・ホールディングス 代表取締役社長 佐藤祐介氏
▲登壇者/株式会社ソウゾウ 代表取締役 松本龍祐氏
▲モデレーター/eiicon founder 中村亜由子
これまでの成功体験を引きずらない。
中村 : 今回ご登壇いただくお二人は、上場や売却に深く関わりを持っています。佐藤さんはフリーアクト・ホールディングスを上場に導き、松本さんはかつて自身が経営されていた会社をヤフーに売却されています。このことを念頭に置きながらお話をお伺いしたいと思うのですが、まずは今を振り返って、会社を大きくさせた最大の意思決定について、お話いただければと思います。
佐藤 : 当社は設立して3年半ほど経ったころに上場を果たしているのですが、実はそのタイミングでこれまでの「強み」を捨てました。自社のバリューを否定して、その結果、大きな飛躍につながったと考えています。
中村 : なぜ、「強み」を捨てたのでしょうか?
佐藤 : 自社の強み、というのは自分が一番口にしているんですね。そしてそれを一番聞いているのも自分であると。このため、事業環境が変化していく中で自社の提供価値についてもアップデートが必要となる状況にあっても、自己暗示にかかり必要以上に過去の強みを評価してしまっていることに上場後気づきました。変わりつつある事業環境に向き合い、こだわってきた強みを捨てることで、私たちは新たな事業展開を考えたのです。
中村 : 同じ質問を松本さん、いかがですか。
松本 : 世の中のルールが大きく変わるタイミングで、事業転換を図れたことが大きいと感じていますね。具体的には、スマホが生活の「当たり前」になるタイミングでスマホアプリを手がけるようになりました。
迅速な意思決定はスタートアップ最大の強みの一つ。
中村 : お話を伺っていると、意思決定のスピードも速いと感じます。
佐藤 : やはり、スピードはスタートアップの最大のメリットの一つですね。やると決めたら、その日から実行できます。
松本 : 当社では、現場の担当者が新規事業を始めることもできます。
中村 : 一般的には、一担当者では予算も持てないのですが、御社ではどのくらい裁量があるのでしょうか。
松本 : 事業は、やりたい人がやれるようになっています。担当者が直接、経営陣に提案やプレゼンをすることもできるのです。
中村 : スタートアップならではのメリットを最大限に活かしていますね。大企業とは文化がまったく違うとは思いますが、「ここは手強い」と思った大企業はありますか?
佐藤 : リクルート、楽天、LINE という国内大手ネット企業でしょうか。強烈なトップダウンとスピードに、大企業ならではのブランドや資産が組み合わさっていますね。
松本 : 加えて、ヤフーにも怖さを感じました。
中村 : 松本さんは過去、ヤフーに自社を売却された経験をお持ちです。なぜ売却という選択をしたのでしょうか?
松本 : 当初は資金調達をしようと考えていたんです。そのタイミングでヤフーと話をする機会がありました。社員の働き方までしっかりと考えてくれていたので、培ったノウハウを伝え、社員を守るためにはヤフーの傘下になるのが一番いい。そのように意思決定したんです。
中村 : 反対に、「この企業とは一緒にできない」と思ったところはありましたか?
松本 : ありました。自社のルールを押し付けてくるところは、一緒に仕事はできないと思いましたね(笑)。
中村 : 佐藤さんが「上場」という道を選んだのは、どういった思いからでしょうか。
佐藤 : 買収されると、通常は上司に当たる方の存在が生まれ、レポートラインが構築されます。何をやるにしても事前の説明責任が求められるんですね。変化の早い市場の中で、定量的、論理的に説明可能な施策や事業は、すでに誰かがやっています。データが集まり切る段階、論理で明確に成功を確信できる段階では、遅すぎるのです。
私はもっと不確実な段階からリスクを取り、物事をスピーディーに進めていきたいと考えています。上場という選択肢を選んでも株主、株式市場に対して説明責任が求められますが、多くは事後ですし、自分の意思決定が間違っていれば経営者として信任されないだけです。まずは自分で決めてトライできる。私個人としてはそういった環境の方が良い仕事ができると判断したんです。
中村 : それでは最後に。M&Aや出資の話もあったと思いますが、「こういう交渉をされて困った」という経験はありますか?
佐藤 : M&Aや投資の交渉は、お互いの得を目指さなければいけないはずですが、中にはそれ自体がゲームか何かだと思っている人もいたように感じます。あらゆる面で自分に有利な条件で交渉を進めようとするのですが、それでいいパートナーシップを築けるかは疑問です。ビジネスはむしろ、M&Aや投資が行われた後から始まるはずです。
(本記事で語られている内容や登壇者の役職・所属等は2017年10月当時のものです)
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◆「JAPAN OPEN INNOVATION FES 2019」は、6/4(火)〜5(水)の2日間開催(会場:東京ミッドタウン日比谷「BASE Q」)。詳細内容やチケット購入については特設ページをご覧ください。