住まいのサブスクリプションサービス「ADDress」を展開するアドレス、ガイアックス・ANA未来創造ファンド・AgVentureLabと資本提携
住まいのサブスクリプションサービス「ADDress」を展開する株式会社アドレスは、株式会社ガイアックス、ANA未来創造ファンド、一般社団法人AgVentureLabの3者と資本提携を締結した。多拠点生活を軸に「住まい・移動・農業」を掛け合わせ、地域との新たな関係性を生み出すモデルの構築を加速させる。
今回の提携は、単なる出資にとどまらず、各社のアセットを組み合わせた事業共創の色合いが強い。国としても「二地域居住」や「関係人口」の創出を掲げる中、民間主導でその実装を進めてきたADDressの取り組みが、新たなフェーズへと進む格好だ。
創業から支援するガイアックスがリード 事業成長を後押し
リード投資家を務めるガイアックスは、ADDressの社内スタートアップとしての立ち上げ期から関与してきた背景を持つ。コロナ禍など環境変化の中でも継続的に支援を行ってきた同社が、改めて資本面でもコミットすることで、事業のスケールを後押しする。
ガイアックス代表の上田祐司氏は、「二地域居住やふるさと住民登録制度など、複数地域との関係を前提とした社会設計が進んでいる」と指摘。その中でADDressは、単なる移住ではない“ゆるやかな関係人口”の創出を先行してきた存在だと評価する。
今回の資本提携により、「住まい・移動・仕事」が一体となったモデルが現実味を帯びてきたとし、同社としても株主としてその成長を支援していく方針だ。
ANAとの連携 「移動」との融合で新しいライフスタイルを提案
ANA未来創造ファンドとの提携では、航空ネットワークと多拠点生活の融合が進む。ADDressが提供する“住まい”に対し、ANAが持つ“移動”を組み合わせることで、旅行でも移住でもない新しい滞在体験の創出を目指す。
ANAホールディングスの津田佳明氏は、これまでの実証実験や共同構想を踏まえ、「関係人口拡大による地域活性化と国内線ネットワークの維持を両立する」とコメント。ADDress会員が全国各地を行き来する新たな人流の創出に期待を寄せる。
航空インフラとサブスクリプション型住居サービスの接続は、地域間移動のハードルを下げると同時に、継続的な関与を前提とした新しい生活様式を後押しする可能性を持つ。
AgVentureLabと農業領域で連携 第一次産業への人流創出へ
AgVentureLabとの資本提携では、JAグループとのネットワークを活用し、第一次産業領域との接続を強化する。ADDressはすでに同団体のアクセラレータープログラムに採択されており、今回の出資により連携を一段と深める。
同団体の荻野浩輝氏は、ADDressの特徴について「住まいのシェアにとどまらず、地域の情報や人的ネットワークも共有できる点」に言及。地方活性化と同時に、農業現場へ新たな人の流れを生み出す取り組みとして期待を示した。
人口減少や担い手不足が深刻化する中、都市部人材の関与を促す仕組みとしても注目される。
国交省採択事業と連動 静岡で二地域居住モデルを実証
ADDressは、静岡市・静岡県・静岡銀行と連携したコンソーシアムとして、国土交通省の「二地域居住先導的プロジェクト実装事業」に採択された。本取り組みでは、首都圏企業の社員が越境学習を通じて地域と関わり、交流から仕事、そして居住へとつながるモデルを検証する。
政令指定都市を対象とした同事業での採択は日本初となり、制度と民間サービスが連動した実証として注目される。単発的な関係ではなく、継続的な関与を前提とした人流創出の仕組みづくりが進む。
企業横断型「地域越境サロン」始動、越境人材の創出へ
本事業と連動する形で、ADDressは企業横断型コミュニティ「ADDress地域越境サロン」を開始する。国内外約300拠点のネットワークを活用し、企業人材の地域越境機会を創出する。
参加企業にはANA、NTT東日本、静岡銀行などが名を連ね、航空・通信・金融といった異業種連携が進む。単なる研修や視察ではなく、地域との継続的な関係構築や共創を重視する点が特徴だ。
越境経験を通じて、新規事業創出力や組織の変革力を高めるとともに、社員エンゲージメントの向上にも寄与するとしている。
「住まい×移動×農業」で描く、関係人口時代のインフラへ
代表の佐別当隆志氏は、「住まい・移動・農業・地域が一体となった多拠点生活モデルを推進する」とコメント。個人に比べて遅れている企業の二地域居住を、越境サロンを通じて実装していく考えを示した。
今回の資本提携と各種プロジェクトの始動により、ADDressは単なる住居サービスを超え、「関係人口」を前提とした新しい社会インフラの構築へと踏み出す。
制度設計と民間サービス、そして異業種の連携が交差する中で、多拠点生活は一部のライフスタイルにとどまらず、企業活動や地域経済を巻き込む次のフェーズへと進みつつある。
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(TOMORUBA編集部)