ABEJAがＳＯＭＰＯグループの介護特化型生成AI「教えて！排泄ケア」の機能構築で支援 排泄ケア業務のDXを通じ、介護現場の負担軽減とケア品質向上を目指す
株式会社ABEJAは、ＳＯＭＰＯホールディングスが新たに提供を開始する介護特化型生成AIソリューション「教えて！排泄ケア」の機能構築を支援したと発表した。本サービスは、介護現場における排泄ケア業務のDXを目的に開発されたもので、ＳＯＭＰＯグループが展開する生成AIソリューション、「教えて！KAiGO」シリーズの第一弾に位置付けられる。2025年12月17日よりトライアル版の無償提供を開始し、介護事業者とともに実用性や価値の検証を進める。
介護人材不足が深刻化する中、生成AIによる業務支援が急務に
日本では少子高齢化の進行により介護人材の不足が深刻化しており、限られた人員で多様かつ専門性の高いケアを担うことが求められている。介護事業所の経営安定化には、業務効率化と利用者のQOL（生活の質）およびケア品質向上の両立が不可欠だ。
こうした課題を背景に、ＳＯＭＰＯケアが長年蓄積してきた介護現場の知見を生成AIに反映させた「教えて！KAiGO」が開発された。その中でも「教えて！排泄ケア」は、特に現場負荷が大きい排泄ケア領域に特化し、日々の判断や対応を高度に支援するサービスとして位置付けられている。
ベテラン職員の思考を再現 排泄ケア判断を多角的に支援
「教えて！排泄ケア」は、ＳＯＭＰＯケアが保有する介護マニュアルや事例、文献に加え、現場調査やインタビューを通じて得られた暗黙知を反映している点が特長だ。体調変化やケア方法に関する悩みに対し、服薬情報や既往歴、日常生活動作（ADL）、排泄状況など断片的な情報を統合的に分析。複数の要因を整理した「影響分析＆アドバイス」として提示し、具体的な対策を複数提案する。
これにより、経験の浅い職員でもベテラン職員のように仮説を立てながら判断できるようになり、施設全体のケアレベル底上げにつながることが期待されている。
▲「教えて！排泄ケア」の相談画⾯
▲「教えて！排泄ケア」相談結果画⾯
▲「教えて！排泄ケア」のアクション提案画⾯
ABEJAの技術力で高信頼な生成AIを実装
本サービスの構築にあたり、ABEJAは自社のABEJA Platform上のLLMおよび関連技術のノウハウを活用。RAG（検索拡張生成）を用いることで、生成AIにおけるハルシネーションのリスクを徹底的に排除した。LLMはＳＯＭＰＯケアが保有する内部ナレッジのみを参照して回答を生成するため、介護現場で求められる高い信頼性を担保している。
さらに、お薬手帳やフェイスシートなど異なるフォーマットの資料から重要情報を抽出・テキスト化する仕組みも構築。最終判断を人が担う「Human in the Loop」を採用することで、記載ミスが許されない情報処理において高い精度と実用性を実現した。
ABEJAは今後もＳＯＭＰＯグループと連携し、介護業界におけるDXを推進するとともに、利用者と介護職員双方にとって価値の高いサービス提供を目指すとしている。人とAIが協調することで、現場負担の軽減とケア品質向上を同時に実現する取り組みとして、今後の展開が注目される。
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（TOMORUBA編集部）
