
ソリマチとソフトバンク、中小企業向けDX支援で協業——生成AIで業務効率化を促進
中小企業の経営環境は、人手不足や物価高騰などの影響で急速に変化している。こうした状況を受け、ソリマチ株式会社とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、全国の商工会およびそれに加入する中小企業・小規模事業者のDX推進に向けて協業することを発表した。
業務負担の軽減と生産性向上を目指す取り組み
この協業の中心となるのは、ソリマチが提供するクラウド会計ソフト「商工会クラウド」に生成AI機能を搭載することだ。これにより、全国1,643の商工会とその会員である79万の中小企業・小規模事業者が、より効率的に会計業務を進められるようになる。加えて、ソフトバンクは、生成AIを活用した各種DXソリューションを提供し、スマートフォンやタブレットなどのデバイス販売を通じて、事業者の業務効率化を後押しする。
商工会は、地域の中小企業に対して経営相談や会計支援を行う重要な役割を担っているが、近年の経済環境の変化に伴い、業務負担が増大している。ソリマチとソフトバンクの協業は、こうした負担を軽減し、商工会と事業者の双方にとってより生産的な環境を提供することを目的としている。
協業の具体的な内容
今回の協業では、以下の3つの取り組みが進められる。
「商工会クラウド」への生成AI機能の搭載
ソフトバンクが提供する「Azure OpenAI Service」や「TASUKI Annotation RAGデータ作成ツール」を活用し、「商工会クラウド」に生成AI機能を追加する。これにより、以下のような機能が実装される。
経営支援レポートの自動作成(2025年4月開始予定)
事業者向けの月次報告書に、生成AIが作成する「AI診断レポート」を追加。会計データを基に業績分析や改善提案を行い、商工会職員の業務負担を大幅に軽減する。
記帳業務のリマインド機能や問い合わせ対応(2025年9月開始予定)
事業者が領収書や振込明細の提出期限を忘れないよう、生成AIが自動でリマインド。また、問い合わせ対応の負担軽減のため、AIチャットボットを導入する。
端末およびDXソリューションの提供
商工会職員や事業者向けに、「商工会クラウド」がプリインストールされたスマートフォンやタブレット、SIM搭載パソコンなどを販売する。さらに、ソフトバンクが提供するネットワーク、クラウド、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのDXソリューションを活用し、事業者の業務効率化を支援する。
コールセンター業務のAI活用による効率化
ソリマチのグループ会社であるキャリアサクセス株式会社が運営するコールセンターに、ソフトバンクの「Azure OpenAI Service」を導入。年間3万件以上の問い合わせ対応をAIで効率化し、オペレーターの業務負担を軽減する。
今後の展望
この協業により、全国の商工会と事業者は、煩雑な業務から解放され、経営戦略により集中できるようになる。特に、生成AIの活用によるレポート自動作成や問い合わせ対応の効率化は、時間とコストの削減に大きく貢献すると期待されている。
ソフトバンクは「Beyond Carrier」戦略のもと、通信事業にとどまらず、企業のDX推進に注力している。一方のソリマチも、全国の商工会との強いネットワークを活かし、事業者のデジタル化を支援してきた。両社の強みを組み合わせることで、全国の中小企業の競争力強化につながるだろう。
今回の協業は、その変化に対応し、より多くの企業が持続可能な成長を実現できるよう支援する重要な一歩となるだろう。
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(TOMORUBA編集部)