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AI創薬ベンチャーのTres AlchemixがシリーズAで6.5億円調達 “ヒトin silicoモデル”で新薬開発を革新

AI創薬ベンチャーのTres AlchemixがシリーズAで6.5億円調達 “ヒトin silicoモデル”で新薬開発を革新

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AI創薬ベンチャーのTres Alchemix株式会社は、シリーズAラウンドにおいて総額約6.5億円の資金調達を実施した。リード投資家はDNX Ventures、既存投資家の早稲田大学ベンチャーズも引き続き参加した。本調達を通じて、同社が開発する新薬の薬効・副作用を直接予測するAI創薬技術の開発を一層加速させる。

薬剤の薬効と副作用を直接予測する

Tres Alchemixは、オックスフォード大学で博士課程を修了した日本人研究者3名によって2023年4月に設立された。彼らが共同開発する「ヒトin silicoモデル」は、人体内の反応をAI上で精密に再現し、薬剤の薬効や副作用を直接予測する世界初の技術だ。

マルチモーダルおよびマルチオミクスの膨大なデータを独自の量子化学計算と統合し、新薬候補化合物が人体に与える影響を高精度に再現する。これにより、従来数年を要していたヒット化合物探索の工程を短縮し、臨床試験段階での失敗リスクを大幅に低減できると期待されている。

代表取締役の橋本氏は、「薬効と副作用を直接予測できるだけでなく、疾患特性に適した新規化合物をAIが提案できる。創薬の流れそのものを変える“ゲームチェンジャー”となり得る」と語る。

英国・オックスフォードへ進出 がん領域の研究を加速

本社を福岡に構えながらも、Tres Alchemixは2024年に英国オックスフォードのThe Oxford Science Parkに子会社を設立。世界的な科学技術研究拠点の一角に新研究所を開設し、グローバルな研究開発体制を整備した。

現在は特にがん領域に注力しており、オックスフォード研究所ではAIによる薬剤シミュレーションを活用したヒット化合物の創出を進めている。今回の資金調達も、同研究所の設備強化およびAIプラットフォーム開発の加速を目的としている。

AI×量子化学で切り拓く次世代創薬の未来

Tres Alchemixは、AIと量子化学を融合した「バーチャル臨床モデル」を構築することで、研究開発の初期段階から人体反応をシミュレーションできる体制を整える。従来の創薬が抱えていた「膨大な時間とコスト」「臨床段階での高い失敗率」といった課題に対し、AIによる合理化を進める姿勢は、今後の製薬業界におけるDXの象徴となりそうだ。

福岡から世界へ。AIによって薬を“設計”する時代を切り拓くTres Alchemixの挑戦は、創薬の常識を根底から変える可能性を秘めている。

関連リンク:プレスリリース 

(TOMORUBA編集部) 

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  • 後藤悟志

    後藤悟志

    • 株式会社太平エンジニアリング
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