
老朽インフラに警鐘──八潮市の陥没事故が契機に。Solvvy×ハイクリ、公共水道インフラにおけるAI診断の実証実験を開始
住宅の価値を高めることを目的として、住宅設備機器の保証サービスを提供するSolvvy株式会社は、同社の研究機関「Solvvy LAB.」とともに、AIシステム開発を手がける株式会社ハイクリと連携し、2025年5月23日より「公共水道インフラのAI老朽化診断」に関する実証実験を開始した。
背景には、2025年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の老朽化が原因とみられる大規模陥没事故がある。国はこの事態を重く見て、専門家委員会を設置し、全国の下水道管の一斉調査を決定。調査とその後の対応は、地方自治体に大きな負担を与えることが懸念されている。
ハイクリ×Solvvyが描く、次世代のメンテナンスモデル
この社会課題に対し、ハイクリの「AI故障予測モデル」とSolvvyの「アフターメンテナンススキーム構築」の強みを組み合わせたのが、今回のAI老朽化診断である。地方自治体が保有する水道管データをAIが分析し、故障リスクを予測。劣化の進行状況を可視化することで、適切な維持管理計画の立案を支援する。
診断からレポーティングまでを一気通貫で提供し、作業の効率化とコスト削減を実現。高精度かつ実用的なAI活用が期待されている。
高精度を実現する深層学習モデルの力
ハイクリが開発したAIモデルは、水道管ネットワークに特化した深層学習アルゴリズムを搭載。過去の故障履歴、管路接続、地理的・環境的要因をもとに、限られたデータでも高精度な予測を実現する。
また、ビッグデータ解析を通じて予測精度は常にアップデートされ、Solvvyや自治体が保有するデータを組み合わせることで、現場の人材不足という構造的課題にも応える仕組みが構築されている。
住宅インフラへの展開も視野に
Solvvyは今後、住宅(戸建て・マンション)の水道設備にAI故障予知を応用することも視野に入れている。同社の保証や点検メンテナンスとの相乗効果により、住宅インフラの長寿命化や計画的な設備更新を促進する構えだ。
さらにAI・DeepTechの技術力を活かし、ストック型ビジネスの進化とともに社会課題の解決に寄与していくとし、クライアント企業の支援に取り組む姿勢を明確に打ち出している。
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(TOMORUBA編集部)