
廃棄寝具を地域資源に。寝具のリサイクルサービス「susteb」を運営するyuni、和歌山市と再生素材化の実証実験を開始
寝具のリサイクルサービス「susteb」を運営する株式会社yuniは、和歌山県和歌山市と連携し、寝具などの廃棄物を再生素材へと生まれ変わらせる実証実験を2025年4月より開始した。実験では、回収された寝具類を大阪府泉佐野市にある同社の再生工場で素材化し、地域内で再活用する「地産地消型」の資源循環モデルの確立を目指す。
寝具の98%が焼却処分…再生素材化で資源大国へ
日本国内では、年間に発生する寝具の約98%が焼却処分されており、再資源化が進んでいないのが現状だ。yuniは「日本を廃棄大国から資源大国へ変える」というビジョンを掲げ、廃棄予定の寝具を回収し、綿・ポリエステル・ウレタンなどを再生素材化するサービス「susteb(サステブ)」を展開している。再生された素材はアパレル、自動車、建築、生活資材といった幅広い分野で活用されており、焼却を前提としたリニア経済から循環型経済への転換を推進する。
関東から関西へ。泉佐野工場の稼働と和歌山連携で新展開
今回の実証実験により、和歌山市内で発生する寝具ゴミの焼却削減とともに、以下のような効果が見込まれている。
寝具ゴミの再資源化による焼却量の削減
再生素材の活用による新規素材の輸入削減
ライフサイクル全体でのCO2排出量の抑制
輸送距離の短縮による環境負荷の低減
また、同社は再生素材の地産地消を進める中で、地域での雇用創出や産業振興にも寄与していくとしている。
これまでyuniは、東京都葛飾区と連携協定を結び寝具の資源化に取り組んできた。2024年度には関西初の拠点となる大阪府泉佐野市に再生工場を開設し、近隣自治体との連携を強化。今回の和歌山市との実証実験は、その一環として新たにスタートしたものであり、関東圏で培ったノウハウを西日本にも波及させる狙いがある。
「susteb」が目指すのは、焼却処分場のいらない未来
yuniの展開する「susteb」は、2021年にリリースされた寝具等の回収・再生素材化サービスだ。家庭や法人、自治体から不要寝具を回収し、独自技術で再資源化。単なるリサイクルにとどまらず、複数の廃棄素材を組み合わせた新たな素材の研究開発にも取り組んでいる。今後は寝具以外の廃棄物にも対象を拡大し、全国各地に再生工場の展開を進めていく方針だ。
循環型社会の実現へ
yuniは、「世の中で不要とされているモノを面白がり、価値に変える」というバリューを掲げる。焼却予定だった素材に新たな命を吹き込み、持続可能な社会の実現を目指すその姿勢は、資源問題に直面する今の日本において、ひとつの解となりうる。和歌山市との取り組みは、地域から始まる社会変革の一歩として注目を集めそうだ。
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(TOMORUBA編集部)