金属業界の脱炭素化を推進するSUN METALON、シリーズA 1stクローズで総額31億円を調達
金属業界の脱炭素化を推進するSUN METALON Inc.は、日米の投資家および金融機関より、総額31億円の資金調達を実施した。シリーズA 1stクローズにて、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、HITE Hedge Asset Management、住友商事グローバルメタルズに加え、既存投資家である東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)、グロービス・キャピタル・パートナーズ、D4V、i-nest capital、Scrum Ventures、Berkeley SkyDeckを引受先とする約26億円※1(1,768万ドル)の第三者割当増資を実施するとともに、三井住友銀行から5億円を上限とする融資枠の設定を行った。今回の資金調達により、創業からの投融資による累計調達額(融資枠を含む)は約45億円となる。
※1 1米ドル=145円で換算
SUN METALONの概要
SUN METALONは、金属業界の脱炭素化を推進するディープテックスタートアップ。低コスト、低CO2、省スペースを特徴とする独自の金属加熱技術によって、金属の製造・リサイクルにおけるCO2排出量を大幅に削減し、より効率的な循環型サプライチェーンを実現する。2021年の創業以来、アメリカと日本を拠点に事業を展開している。
SUN METALONの事業展開
SUN METALONは、製造工程におけるCO2排出量を大幅に削減した金属の製造・リサイクルを実現する技術とソリューションを提供してきた。同社は、独自の金属加熱技術を応用し、金属廃棄物から不純物を除去することで高純度素材としての再利用を可能にする金属リサイクルのプロセスにおいて、従来よりも安価で環境負荷の少ない手法を確立している。これらの技術を自動車、建機、重工、製鉄メーカー等、幅広い業界に提供し、産業の脱炭素化の推進に貢献している。
2024年春には米国にあるSUN METALONの自社プラントを拡張。米国パートナーとの協業および金属の製造・リサイクル拠点として本格稼働を開始した。さらに、独自開発の金属加熱技術に関する特許を国内外で取得・出願している。
資金調達の背景
金属業界は有史以来、人類の発展を根本から支える基盤産業であるが、現在、脱炭素化の実現と循環型サプライチェーンへの転換という2つの大きな課題に直面している。金属産業由来のCO2が世界の排出量の約10%を占める中、その削減が急務となっているほか、近年の地政学的リスクの高まりを受け、従来のグローバルサプライチェーンからの転換が求められている。これらの課題を同時に解決する有力な策として注目を集める金属リサイクルの市場は、環境意識の高まりと需要拡大に後押しされ、今後52兆円規模への成長が見込まれる(※2)。
SUN METALON独自の金属加熱技術は、微小な切削屑やスクラップを、既存技術比でエネルギー消費量85%減を実現する超高効率な手法で加熱し、不純物等を分離・除去することが可能。当社では本技術を活用した金属リサイクルプロセスを確立しており、金属加工の過程で生じた廃金属を再利用可能な金属資源として蘇らせることで、循環型サプライチェーンの実現を後押しする。
SUN METALONの金属加熱技術の活用における特長は以下の通り。
(1)低コスト……加工の過程でスクラップとなった金属の資源価値を蘇らせ、再利用を可能にすることで、サプライチェーン全体のコスト効率を改善。従来技術と比べてエネルギー消費量、初期導入コストともに低減可能
(2)低CO2……加熱源に化石燃料を使用しないため、クリーンエネルギーを採用すれば、加熱処理に伴うCO2排出はゼロ
(3)省スペース……従来手法で使用する設備のおよそ半分のスペースで同等の処理能力を実現。既存の製造ラインにも組み込みやすいモジュール型装置として開発しており、必要な処理能力に応じて導入規模を段階的に調整可能
今回調達した資金は、主に加熱プロセスの顧客企業への導入と、自社工場における地域の金属資源を用いた金属製造の2つの取り組みに活用する。これらの事業展開における人的リソースの拡充および製造能力の増強を通じて、脱炭素化・循環型社会の実現をより一層加速させていく。
※2 INDUSTRY RESEARCHによる2028年の推計
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