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【6/2 アイデアソン開催!】日立ハイテクノロジーズが、ヘルスケアの新しいカタチを創出するアイデアソンに取り組む理由とは。

【6/2 アイデアソン開催!】日立ハイテクノロジーズが、ヘルスケアの新しいカタチを創出するアイデアソンに取り組む理由とは。

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2001年、エレクトロニクス専門商社である日製産業と日立製作所計測器グループ、同半導体製造装置グループが統合し、誕生した日立ハイテクノロジーズ。同社は、「科学・医用システム」「電子デバイスシステム」「産業システム」「先端産業部材」という4つのセグメントで、グローバルに事業を展開している。半導体製造・評価装置で有名な同社だが、一方で、電子顕微鏡、分光光度計、X線分析装置、DNA解析装置などの各種計測・分析装置を軸としたソリューションも数多く保有している点が特徴の一つだ。

高齢化に伴う介護問題など、多くの社会課題を抱える日本。――そうした課題を健康・ヘルスケアの側面から解決していくためのアイデアをカタチにしていくために、日立ハイテクノロジーズは、「Nextヘルスケア アイデアソン」を6月2日(土)に開催する。このアイデアソンに掲げられた具体的なテーマは、“人々の健康情報の計測・活用”と“感染症ビッグデータ活用”の2つ。この場で練られたアイデアに対し、最先端の技術を探究する日立グループの技術アセットや医療機関とのネットワーク、グローバルの顧客ネットワークを駆使し、日立ハイテクノロジーズの新事業として事業化への道を模索していく。

そこで今回は、日立ハイテクノロジーズがなぜ今、アイデアソンの開催に踏み切ったのか。その背景や目的を、イノベーション推進部 禰寝(ねじめ)氏・堀越氏、経営戦略本部・飯泉氏の3名に話を伺った。

▲株式会社日立ハイテクノロジーズ イノベーション推進本部 本部長 博士(工学) 禰寝義人氏

日立中央研究所にて、半導体やITなどの研究開発に従事。その後、日立ハイテクノロジーズに移り、那珂工場にてバイオ関係の設計・開発などを担当。2012年に本社に移り、2014年から新規事業開発に従事。2016年から現職で、イノベーション創出を手がける。

▲株式会社日立ハイテクノロジーズ イノベーション推進本部 ビジネスデザインユニット・ジェネラルマネージャー 堀越伸也氏

学生時代に電子工学を学び、エンジニアとして社会人キャリアをスタートし、その後、金融業界に転身し、投資銀行や保険会社などに勤務し新規事業開発を一貫して担当。これまで身につけた知識・ノウハウを活かし、技術系企業のイノベーション創出を手がけようと考え、2017年に日立ハイテクノロジーズに転職。

▲株式会社日立ハイテクノロジーズ 経営戦略本部 専門部長 技術士(情報工学部門) 飯泉紀子氏

日立製作所システム開発研究所に在籍し、翻訳システムの開発などを手がけた後、那珂工場に異動。血液の自動分析装置のソフトウェア開発などに従事。同時にMBA取得し、2016年には経営戦略本部に配属。以後、現職。

「自前主義」の限界から、オープンイノベーションへ

――日立グループには、研究開発グループという国内でも最大級の研究開発機関があり、「自前主義」が浸透しているのでは、という先入観があります。そこで、最初に「なぜオープンイノベーションに取り組もう」という意思決定がなされたのかという話をお伺いしたいと思います。

禰寝氏 : まず、個人的な体験からお話しします。私は中央研究所の研究者としてキャリアをスタートさせ、“言葉の発声スピードをリアルタイムでゆっくりにする”という新しい小型デバイスを開発しました。

最初は、新しいタイプの補聴器として製品化・事業化することを検討しましたが、語学学習向けのほうがいいのではという意見があったりと、製品コンセプトが二転三転してしまいました。数ロットのテストセールスの結果、事業は中止に。発案から3~4年かけたプロジェクトはクローズしてしまいました。

――中央研究所時代に、新規事業を手がけられていたのですね。

禰寝氏 : はい、数名の小さなプロジェクトではありましたが、本気で新規事業を目指していました。しかし、結果は先ほどお話しした通りです。事業化できなければ3年という月日が無意味になってしまいます。この経験から、新製品や新事業のアイデアを事業にまで育てるには、自前の技術や能力だけでは限度があり、もっと広く声を取り込む必要性を肌で感じました。

飯泉氏 : 私も、ヘルスケア関連のソフトウェアの品質を研究するプロジェクトに携わっていたときに、自前主義の限界を感じました。ヨーロッパの企業との共同研究だったのですが、打ち合わせのたびに要求が変化するんです。自前の技術だけを持っていても、ビジネスができない。こうした挫折した経験は勉強になりました。

――なるほど。

禰寝氏 : 当社でも、2001年の創設以来新事業の創生には鋭意取り組んではいたのですが、あまりうまくいきませんでした。それはやはり、事業に必要な色々な発想が自前主義だったからです。

このような経験から、自分たちのアイデア・技術ありきで製品を生み出すという自前主義や技術オリエントな発想から脱却し、外部からアイデアを取り込むことに挑戦しよう、すなわちオープンイノベーションに取り組もうという流れを作る努力を続けています。

――その延長線上で、アイデアソン開催が進んでいったのですね。今回は、なぜ「ヘルスケア」をテーマに掲げたのでしょうか?

禰寝氏 : 当社では医療分野向けの事業として、病院向けの大型装置開発を行っています。一方、高齢化社会を迎えている今、この分野では医療費の削減や未病対策は大きな社会課題となっています。こうした時代のトレンドに対応するため「ヘルスケア」をテーマに掲げました。

今後、この領域では日常生活で計測されたデータを収集し、健康な生活を維持するためにそのデータを適切に活用する「デジタルヘルス」ソリューションが広まってくることが考えられます。そのようなデータをより効果的に収集し活用する具体的なアイデアを生み出すには、B2B事業を中心としている弊社の社内だけでは限界があります。今回はアイデアソンを通じ、我々にはない視点を取り入れたいと考えています。

技術×商社のカルチャーで、グローバルにアプローチできる

――電子顕微鏡などの各種計測装置・システムや、感染症情報などのビッグデータ、日立製作所 研究開発グループなどの技術基盤など、提供できるリソース・技術は非常に豊富だと思います。これ以外に活用できるリソースはありますか?

禰寝氏 : 当社は、エレクトロニクス専門商社の日製産業が母体となって誕生したという歴史があります。日製産業が持っていた商社のカルチャーが現在も根付いているので、フットワーク軽くグローバルの顧客にアプローチすることが可能です。この点は、アイデアソンに参加されるみなさんにとって大きなメリットになると思います。実際に、ここ最近では海外の大きな工業団地にもアプローチしていたりと、商社独特のスピード感が既存事業の随所に発揮されています。

堀越氏 : 日製産業が培ってきた海外を含めた豊富な顧客基盤も大きなメリットになるでしょう。また、それに加えて、“日立”という確固たるブランド力、そして安定したファイナンスというメリットもあります。

――実際に、これまで日立ハイテクノロジーズの技術を活かしたオープンイノベーション事例はあるのでしょうか?

飯泉氏 : 東北大の認知脳科学の知見と、日立が開発した脳血流量変化が計測できる技術を軸に、脳科学の産業応用事業を行う「株式会社NeU(ニュー)」という新会社を立ち上げた事例があります。当社にとって初めての事例だったのですが、まさに産学が連携したオープンイノベーションとなりました。

禰寝氏 : 「NeU」は、当社と“脳トレ”で有名な東北大学加齢医学研究所 川島教授が連携し、東北大学ベンチャーパートナーズなどの出資を得て、2017年8月に誕生しました。私たちイノベーション推進本部と、飯泉が所属している経営戦略本部が手を組みながら、経営陣の賛同を得ることで、具現化しました。現在、脳科学への注目度も高く、同社の事業も伸びつつあります。

堀越氏 : 今回のアイデアソンから誕生する事業も洗練させていけば、「NeU」と同じように、独立・分社化するという可能性も考えられますね。

ユーザードリブンで思考できるスタートアップにきてほしい

――最後に「アイデアソン」を通じて、どんなスタートアップ・ベンチャー企業と共創していきたいか、一言ずつお聞かせください。

禰寝氏 : ユーザーの気持ちをとらまえて事業を興したいという、“目的ドリブン”や“ユーザードリブン”のスタートアップに来ていただきたいと思っています。

飯泉氏 : 禰寝の話した内容とも近いですが、育児や介護など、ヘルスケア領域で実際に困りごとを抱えている実体験のある方や身近な課題を抱えている方に、ぜひ来ていただきたいと考えていますね。

堀越氏 : 「世の中に貢献する」という観点をお持ちのスタートアップと、どのように社会に価値を提供できるかという有意義な話をしたいですね。日立グループというと、少々かたいイメージを持たれるかもしれません。しかし、いい人が多く、日本企業らしい落ち着きのある社風です。アイデアソンの場では、敷居の高さを感じることなく、コミュニケーションを取ることができるはず。多くのアイデアを募りたいと思っていますので、興味ある方はぜひご応募ください。

※6/2開催のアイデアソンに関する詳細・ご応募は次のURLをご覧ください。 https://eiicon.net/about/hitachihightech-ideathon/

(構成・取材・文:眞田幸剛、撮影:古林洋平)

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