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【イベントレポート】第19回NEDOピッチ~「VR/AR」分野の有望ベンチャー5社が登壇!

【イベントレポート】第19回NEDOピッチ~「VR/AR」分野の有望ベンチャー5社が登壇!

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民間事業者の「オープンイノベーション」の取組を推進し、国内産業のイノベーションの創出と競争力強化への寄与を目指し設立されたJOIC(オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会)。

8月29日(火)、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)とJOICの共催で、イノベーション及び具体的な事業提携事例の創出を目指すイベント「第19回NEDOピッチ」が実施された。今回のテーマは、昨年に続き2回目の『VR/AR』である。

今回の「NEDOピッチ」では、VR/AR分野における有望技術を有するベンチャー企業5社が、自社の研究開発の成果と事業提携ニーズについて、大企業やベンチャーキャピタル等の事業担当者に対し、創造性の高いプレゼンテーションを行った。

TELEXISTENCE株式会社

https://tx-inc.com

▲Co-Founder, CEO & CFO富岡仁氏

TELEXISTENCE(テレイグジスタンス)は、“人が遠隔に存在する”方法を工学技術により提供している大学発ベンチャーである。同社は、「身体」の移動ではなく、「身体機能」の移動を実現し、あたかもロボットが人間の擬態かのように遠隔から操作し、人間の能力を拡張するという革新的な技術を持つ。単に遠隔にロボットを操作するのではなく、人間のインプットに基づき、ロボットがリアルタイムで動作し現実世界のインターフェイスになることで、視覚・聴覚・触覚の情報を人間に遅延なく伝達するシステムを開発している。

同社の強みはハードウェアとしてロボットを開発し、ロボットと人間を繋ぐネットワークを構築することに加え、ソフトウェアのアプリケーションも開発するという要素技術を全て保持している点にある。これらの技術を組み合わせることで、模倣困難な価値が提供可能だ。

今後は、誰もがどこからでも労働力を提供し、産業の生産性を向上させることを目指している。代表の富岡氏は「人が移動し、その場に実在して活動を行うコストを低減することで新たな事業を創出できる。今後、建設会社やメーカーと連携し、遠隔から新たな就労プラットフォームの提供をしたい」とアピールした。

株式会社人機一体

http://www.jinki.jp

▲代表取締役 金岡博士

「あまねく世界からフィジカルな苦役を無用とする」——この思想のもと誕生したのが、株式会社人機一体が開発した「人が思い通りに操作する人型重機」である。金岡博士による力学ベースのロボット制御工学技術と思想を武器に、バーチャルの世界ではなく、現実の物理世界で強大な力を人が操れる技術を開発した。これにより、人が日常的に行う、壊れやすいものをつかむといった繊細な力を再現する一方、人の 10 倍、100 倍の力を発揮して重量物を運ぶことが可能となる。

ロボットとして人の動きを増幅させる、且つ安定化させる、ハードとソフトの両立を実現できる点が同社の強みだ。現在も複数の事業会社との共同研究開発を行っており、8/31・9/1に行われたJST(科学技術振興機構)とNEDO主催のイノベーション・ジャパン(https://www.ij2017.com/index.html)では2mを超える下半身試作機を展示。大きな話題となった。金岡博士は、「人と機械が一体となり、思い通りに力を操れるロボットプラットフォームを確立したい。この思いに共感してもらえる企業と是非出会いたい」と熱く語った。

株式会社リトルソフトウェア

http://www.littlesoftware.jp

▲代表取締役 川原 伊織里氏

株式会社リトルソフトウェアは、「感性を豊かにし、脳(人)を輝かせること」をコンセプトに、脳波やバイタルデータから出てくる信号を人間の感情に変換するヒト型ブレインプラットフォームと感情認識人工知能(リトルAI)の開発を行っている。

現在、ハードメーカーとの提携によりハードウェアの共同開発も行なっており、「感性モジュールロガー」アプリを活用することで、感情をリアルタイムに見える化するだけでなく、感情の予知または状態の予兆まで検知することが可能である。さらにVRと同社製品と組み合わせることで、脳波から自分の状態を知ることに加え、VRを使うことで脳を錯覚させ、状態をコントロールすることもできる。

同社の強みは、脳波データ保有数。ハードウェアをあえて自社開発しないことでハードに依存せず、プラットフォーム利用企業から1日多いときには500〜1000もの脳波計データが上がってくるという。代表・川原氏は「今後、ブレインプラットフォームとリトルAIを活用できるニーズある企業と提携し、食品、メディア、オフィス、ヘルスケアなどの分野で商品開発や共同研究に取り組んで行きたい」と話した。

カディンチェ株式会社

http://www.kadinche.com

▲専務取締役 内田和隆氏

2008年に誕生したカディンチェ株式会社は、企業がサービスの一部にVRを使う機会が増えてきた中で、高品質・高画質でエンドユーザーに届ける仕組みを作り、VR用プラットフォームやVR視聴アプリ、配信関連技術などの開発力を強みとしている研究開発型ITベンチャー企業である。 

Webプラットフォーム「PanoPlaza Movie」(https://movie.panoplaza.com/)では、VRコンテンツの投稿や画像管理・配信のための機能に加え、企業がVR配信事業を立ち上げる上で必要なプラットフォームの導入・運用をスムーズに行える。また、「PanoPlaza LIVE」ではVR動画をライブ配信できる。例えばイベント会場の様子をライブで配信、閲覧できるユーザーの管理や画質の調整も瞬時に調節することが可能だ。

内田氏は「VR市場はさらに拡大が見込まれる中で、同社の優位性は撮影から配信までトータルにサポートできる点である。今後、このVRプラットフォームを使い、不動産では物件の360度内覧、ゼネコン・製造業では現場・工場の360度監視など、その他幅広い領域での事業提携が想定できる」とアピールした。

株式会社synamon

http://synamon.jp

▲Co-Founder, CEO 武樋恒氏

株式会社Synamonは、VR/AR/MR領域を主軸に、最新のテクノロジーが普及した世界への進化の加速を目指すスタートアップだ。VR活用を目指す企業に対して、コストと時間を抑えてプロトタイプから検討可能なワンストップ提供型のVR空間構築ソリューションの「NEUTRANS」を開発・提供している。

特徴としては、直感的な操作により複数人で体験可能なVR空間を提供できることがあげられる。VR内でのセミナー開催がその一例だ。会場に行かずともヘッドマウントを被ればその空間へ行き、セミナーに参加することができ、時間・場所のコストを抑えられる。

同社の強みは、VRの開発プラットフォーム「NEUTRANS」(http://neutrans.space/)により、操作性・機能性の高いVRサービスの開発ができるうえ、開発コストを大きく削減できる点である。武樋氏は、「まず、我々の技術を知ってもらい、実際にVRの世界観を体験してほしい。さらに、2D・3Dの壁をなくした新しい世界を創りたい」と話した。

取材後記

VR/AR元年と言われる2016年以降、飛躍的に成長を続け、今後も躍進が予想されるVR/AR市場。今回のピッチに登場した5社は、それぞれが異なる観点からVRの活用法を模索し、事業化を進めていた。今回のNEDOピッチでも感じたように、活用方法によっては、新たな分野での活用や、さらなる市場規模の拡大も期待できる。リアルとデジタルの壁を越え新しい世界観・価値観が生まれる時代の到来を感じさせるピッチとなった。

(構成:眞田幸剛、取材・文:保美和子)

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