日建設計×ジオクリエイツ | バーチャル避難訓練対応のVRツールを共同開発、リモート下での避難訓練・検証を簡単に
株式会社日建設計と建築VRを展開する株式会社ジオクリエイツは、リモート下での避難訓練を中心に、様々な案内や誘導・検証で役立つことができるVRツールを共同開発し、実際のオフィスで実証実験を開始しているという。リモート化により働く場所が多様化するなか、VRを利用して安心安全な場所づくりや働き方の実現を目指し、展開を進めていく考えだ。
開発背景・特徴
共同で開発されたバーチャル避難訓練ツールは、コロナ禍において、建物の避難訓練をリモートで実施するために構想されたものだ。避難訓練は多人数同時参加で行うことが効果的だとされる。そのため、VRゴーグルなどを使用せず、PCやスマホなどを用いて手軽に参加できることを条件に開発したそうだ。
ユーザー参加による避難訓練を実施・記録できるVRツールであることから、建物の避難動線をクライアントと設計者、ユーザーで共有することも可能にしている。デジタルツインやメタバースにより空間概念が拡張される時代において、新しい価値を生みだすサービスだという。
ユーザーはVR 内で、現実のように、多人数が参加する臨場感や時間、速度を反映させた避難訓練を体験することができる。また避難の際の人流や視線等の探索行動を解析することも可能だ。避難訓練をより実施しやすく、簡単なものにするだけではなく、分かりやすく安心できる建物の普及や既存建物の防災対策への応用も目指しているという。
※既に2020 年、2021 年に日建設計東京本社ビルにて、50 ~ 100 人規模の避難訓練で実運用済み。
バーチャル避難訓練ツールの主な機能
1.どこからでも多人数がアバターでリモート参加できる
参加する各ユーザーのアバターがそれぞれの席に表示されて、そこから避難を開始することで、臨場感ある避難訓練を実施することが可能。
2.様々なシチュエーションに対応可能
現実環境で即時実施が難しい、昼・夜などの異なる時間帯や、地震・火事などの異なる災害の訓練を短時間で複数体験することが可能。
3.混雑を避難速度や時間に反映
周辺の人密度を考慮して、各ユーザーの避難移動速度や時間に反映することで、より現実に近い、避難訓練をシミュレーションすることができる。
4.視線・人流の分析
各ユーザーがどのような経路で何を見て避難したか、記録を残すことが可能で、建物のサインや避難動線の計画に活用することができる。
5.サイン・機材などの要素の合成・ABテスト
視線・人流分析技術を応用して、避難経路のサインや誘導灯などの配置検討、通学路や工場などの注意喚起や研修の改善、商業施設のサイン広告や誘導オペレーションや装置の検討など、様々なシーンで活用できる。
連携できるツールについて
■設計用入力地震動「NS Wave(エヌエスウェーブ)」:株式会社日建設計
超高層建物や免震建物の設計時に、地震時の建物の揺れを検証するための地震動を「設計用入力地震動」と呼ぶ。NS Waveは、将来経験するかもしれない様々な地震を、固有の敷地ごとに考慮することができ、国内外300件以上の超高層建物の安全性を確認してきた地震動だ。このNS Waveによる地震動をもとに設計や維持管理用のBIMデータを用いて容易にVRを作成することが可能だ。
■仮想地震心理評価システム「SYNCVR(シンクブイアール)」:株式会社日建設計・株式会社ジオクリエイツ
VRを利用して地震時の建物の揺れをリアルに疑似体験することで、建物の耐震性能について、実感を持ったコミュニケーションができるようにするシステム。このシステムでは、計画地の地盤条件や建物の高さ、平面計画、構造、階数などに応じたVR映像を容易に生成することができる。このSYNCVRの地震体験をリモートで連携させて、バーチャル避難訓練を実施することが可能だ。
■VR用SaaS「ToPolog(トポログ)」:株式会社ジオクリエイツ
VRやARのソフトやデバイスを限定せず、VRやARのデジタルツインに関連付けて、空間体験データをクラウドに保存することができるSaaS型ツール。CAP・360・WEBの3種のモードを備えており、設計検討や現地調査、現地運用のVRから、視線や脳波を、実測やAI推定することで、空間体験価値を定量化し、デザインの効率や品質を向上させることができる。このToPologの分析機能をリモートで連携させて、バーチャル避難訓練による避難訓練を解析することが可能だ。
今後の展開
本ツールは、東京ビッグサイト西展示棟にて開催される第4回施設リノベーションEXPOにて初めて展示される予定だという。(※本件映像展示は12/7より開始)
・会期:2021年12月6日(月)~2021年12月8日(水)10:00-18:00(最終日のみ17:00終了)
・場所:東京ビッグサイト西展示棟
また、今後、建物の避難訓練や各種検証作業の用途で不動産ビルオーナーや設計事務所向け、バーチャル展示会をはじめとしたデジタルツインやメタバースも関連付けた各種イベントの主催者向けに、ジオクリエイツによる販売展開を予定しているそうだ。
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