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「量子アニーリング」で世界を最適化するJij、2億円の資金調達を実施

「量子アニーリング」で世界を最適化するJij、2億円の資金調達を実施

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株式会社Jijは、ANRIおよびDEEPCOREをリードインベスターとして、みらい創造機構を引き受け先とする第三者割当増資を行い、総額約2億円の資金調達を実施した。

Jijはイジングマシンや量子アニーリングを始めとした最先端のハードウェア・研究手法を活用し、従来の計算手法では計算困難な産業課題の解決を図る技術開発を行っている。今回の調達により、企業向け最適化クラウド「Jij-Cloud」の開発を一層加速させ、スマートシティの実現に求められる最適オペレーション計算の新たなプラットフォームを構築していく。

加速度的に必要となる「最適化問題」市場の課題

JijはSTART(科学技術振興機構)の大学発新産業創出プログラムを通じ、世界トップクラスの量子アニーリング研究者らによって設立された、研究開発スタートアップ(※1)(※2)。昨今のインタ-ネットやAIの技術発展は人の行動パターンの予測を可能にし、そこから生まれるであろう移動ニーズやエネルギー需給変動に対する新たなサービスが生まれつつある。翻って、質、量ともに膨大となった予想データや制約条件の中でにベストな判断を下す計算を行うことは、従来手法では簡単ではないという。Jijは、そのような「計算困難な問題」の解決に向け、量子技術をベースにしたイジングマシン・アルゴリズムを活用した組合せ最適化の実用化研究を行っている。

 ※1)量子アニーリング = 1990年代、西森氏・門脇氏らによって考案された、量子力学を使用した組合せ最適化向けのアルゴリズム

※2)主要メンバーが量子アニーリングを提唱した西森研究室卒

▲Jijは、従来手法では計算が難しかった領域の最適化問題を解決する

Jijが展開するサービス

Jijが開発する「Jij-Cloud」は、既存手法では解決できないオペレーションの最適化問題に直面する事業会社が、イジングマシンや量子アルゴリズムの専門知識を必要とせずに、簡単に最先端の量子最適化技術を扱えることを可能にするミドルウェア。2019年より一部アルゴリズムのライブラリをOSS公開しており(Open Jij)、「Jij-Cloud」のβ版についても、一部企業へ提供を開始している。また、近年開発が盛んに行われている様々なイジングマシンに対応するべく、NEC、日立、D-Wave、Microsoftらと提携を進めている。2020年5月、JijはMicrosoft開発のAzure QIOの利用を日本で唯一許諾された(当時)。

 

▲Jij-Cloudはアルゴリズムとハードウェア選定をオートメーション化する

並行して、各事業領域ごとに調整が必要となる量子最適化技術の実用化を目指し、各事業会社に対し、コンサルティング・共同研究も進めている。創業以来、ネットワーク安定化、電気ガスの供給安定化、生命保険のポートフォリオ最適化などの領域で、同社技術の応用可能性に挑戦しているという。直近では、豊田通商と「交通信号制御の最適化」をテーマとした共同研究を発表、信号機の点滅スケジュール制御によって自動車の待ち時間を既存方式から20%削減する試算を発表した。

今後の展開について

今回調達した資金は、最適化ミドルウェア「Jij-Cloud」の開発加速、およびパートナーシップ企業との共同研究に使用する予定。また、ミドルウェア/クラウドサービス開発に向けたバックエンドエンジニア人材の採用、および量子計算あるいは最適化の理論研究を行う研究者の採用も強化していく。最先端の研究結果を実装しながら産業実用に繋げることを求められる、非常にチャレンジングな、しかしエキサイティングな市場の開拓を担うべく、引き続き研究開発に邁進していくという。

出資担当者からのコメント

■ANRI Partner 鮫島 昌弘 氏

「世界を最適化させる」そんな途方もないチャレンジに挑もうとするJijメンバーの眼はいつだって真剣だ。量子アニーリングの基本原理は日本で提唱された。にも関わらずハードウェアは海外で先攻してしまった。これからJijが反撃の狼煙を上げる。今年の夏はキンキンに冷えた量子コンピュータのチップが溶けてしまう程、アツい夏になりそうだ。

■DEEPCORE Director, Incubation & Investment 渡邊 拓 氏

量子アニーリングを提唱した西森研究室出身の若き研究者2名によって生まれたJijチームの圧倒的な技術力と山城CEOのリーダーシップを高く評価しています。インフラ・物流・通信等におけるあらゆる社会課題を、Jijが数理最適化する未来を楽しみにしています。

■みらい創造機構 執行役員 高山 朝邦 氏

市場および会社はまだまだ未成熟ですが、本物志向で黎明期の先頭グループを走っていると評価しており、交通・物流・通信などの最適化問題を解くキー・ソリューションの提供によって効率的な社会の実現に寄与することを期待しています。東工大関連のベンチャーキャピタルであるみらい創造機構としては、東工大ならびに大企業との連携強化をサポートし、情熱をもって同社の成長を支援していきます。


※関連リンク:プレスリリース

TOMORUBA編集部

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