1. Tomorubaトップ
  2. ニュース
  3. TAKEO×弘前大学 | トノサマバッタの食用利用に関する共同研究を開始
TAKEO×弘前大学 | トノサマバッタの食用利用に関する共同研究を開始

TAKEO×弘前大学 | トノサマバッタの食用利用に関する共同研究を開始

  • 1562
1人がチェック!

合同会社TAKEOと、国⽴⼤学法⼈弘前⼤学農学⽣命科学部 環境昆⾍学研究室 助教 管原亮平氏は、2020年8⽉17⽇、トノサマバッタの⾷料利⽤に関する共同研究を開始した。

共同研究の目的

TAKEOと弘前大学は、トノサマバッタの⾷料利⽤に関する研究開発に共同で取り組む。弘前大学農学生命科学部の管原助教はトノサマバッタの⽣産技術開発、TAKEOはその実証試験およびトノサマバッタ⾷品の需要開発を担当する。

生産技術開発ではトノサマバッタ飼育に関する基礎データ収集、飼育条件の最適化、専用ドライフィード(乾燥飼料)の開発、食用品種の選抜育種などに取り組む。実証試験ではTAKEOの昆虫農業「むし畑」の屋外施設を用いて、商業生産技術の確立に取り組む。併せて加工食品開発や広報活動などを通じてトノサマバッタ食品の需要開発、市場の拡大にも取り組む。

なぜトノサマバッタなのか?

現在、世界の昆虫食市場における主流はコオロギである。コオロギは雑食性で飼料の調達がしやすく、かつ生育も早いために養殖がしやすいこと、食用昆虫としての市場が既にある程度形成されていることから、養殖昆虫として特に人気がある。裏を返すと、養殖のしやすさや市場規模の課題が克服できれば養殖昆虫の選択肢はコオロギ以外にも拡大する余地は十分にあると言えるという。

そこで両者はトノサマバッタに注目している。

今回の研究開発により、トノサマバッタの養殖のしやすさはコオロギと同程度に、養殖にかかる環境負荷はコオロギより低くできる可能性があると考えている。一般的なコオロギ養殖では、穀物や魚粉などを含む栄養価の高い濃厚飼料を与えており、それによって効率の良い生産体制を実現している。したがって、一般的なコオロギ養殖はその雑食性を活かした、栄養価の高い食料資源から栄養価の高い食料資源を生産する仕組みと言えるという。

一方のトノサマバッタ養殖では、栄養価が低いイネ科植物の葉だけで生産が可能。当該のイネ科植物には栽培した牧草や、自然界に大量に存在する多様な種を利用することができる。また、トノサマバッタはコオロギと同程度のタンパク質を含む栄養価の高い食用昆虫。さらにはコオロギと同様に、ウシやブタよりも温室効果ガスを出しにくいことが既に報告されている。

したがって、トノサマバッタ養殖はその植食性を活かした、栄養価の低い"非"食料資源から栄養の高い食料資源を生産する仕組みであり、より環境にやさしい食料生産の一つであると言えるという。

トノサマバッタの飼料に関して現状は生葉の使用が基本だが、今後の研究開発によって乾燥飼料が使用できる可能性がある。それにより養殖にかかる労力が大幅に削減することが期待される。

トノサマバッタは牧草の爽やかな香りと強いうまみが特徴の、非常に食味にも優れた昆虫。例えば素揚げにすると川エビに似たサクサクとした食感となり、おつまみ感覚で楽しむことができる。あるいは牧草の爽やかな香りを活かして、キャラメルやクッキーなどのスイーツにも応用することができる。

コオロギが優れた食用昆虫である点に疑いの余地はないという。しかし食用昆虫養殖の歴史は浅く、コオロギだけが最善の食材であるとは限らないという。トノサマバッタという別の選択肢を提示することで、昆虫食の可能性はさらに拡大していくと両者は考えている。


 

 

共同研究の経緯

トノサマバッタの商業的大量生産は課題が多いテーマ。世界各地で大量生産への取り組みが始まっているが、実験室レベルを超えた成功事例は多く見られない。TAKEOでは2019年より昆虫農業「むし畑」として日本で初めてのトノサマバッタの商業生産にチャレンジしている。

現状はテスト飼育を終え、技術的課題が明確化されつつある段階だという。専門家の知見を活用することで商業生産に向けた技術開発を加速し、2021年のトノサマバッタ食品の流通を目指している。

TAKEOの技術顧問で昆虫食専門家として活動する佐伯真二郎氏の仲介により、弘前大学の管原助教がバッタの専門家として参画することになった。管原助教はバッタ研究のトップランナーの一人であり、トノサマバッタを研究対象とした多くの研究実績がある。管原助教はトノサマバッタの生理や生態に詳しいだけでなく、実験室にて長年に渡ってトノサマバッタを飼育しており、養殖に関するノウハウを豊富に有している。またトノサマバッタの様々な系統を維持している。


 

<国立大学法人弘前大学 環境昆虫学研究室(管原亮平 助教)について>

弘前大学農学生命科学部食料資源学科に所属する環境昆虫学研究室は2018年8月に始動した。

トノサマバッタを主な研究対象とし、バッタの環境応答やその生理的な変化および分子機構について解析している。

食料資源学科は基礎から応用まで幅広く研究することを特徴とする組織である。

従って、環境昆虫学研究室も基礎昆虫学から応用昆虫学まで横断的に取り組むことで、基礎研究を社会に還元することを目標の一つにしている。

<佐伯真二郎氏について>

昆虫食を通じ、昆虫と人間の関係をより良くする「蟲ソムリエ」の活動を昆虫学からアートまで幅広く手掛ける。

2018年からラオスに滞在し、国際協力NGOと協力し農村部の栄養と所得を改善するため、昆虫養殖普及の技術開発を担う。

これまで日本とラオスで419種の昆虫を味見して記録している。味の昆虫図鑑を作ることが次の目標。

神戸大学農学研究科博士後期課程単位取得退学、NPO法人食用昆虫科学研究会理事長、TAKEO技術顧問。

<合同会社TAKEOについて>

法人名:合同会社TAKEO

昆虫食の専門企業。

野菜、魚、肉などと同じように昆虫が台所を彩る、より豊かな食卓の実現を目指す。

昆虫農業「むし畑」による昆虫養殖から、国産昆虫シリーズやタガメサイダーをはじめとするオリジナル商品の開発・製造、オンラインショップ、昆虫食専門の飲食店兼直販ショップまで昆虫食に関わる幅広い事業を展開している。

※関連リンク:プレスリリース

TOMORUBA編集部

新規事業創出・オープンイノベーションを実践するならAUBA(アウバ)

AUBA

eiicon companyの保有する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」では、オープンイノベーション支援のプロフェッショナルが最適なプランをご提案します。

チェックする場合はログインしてください

コメント1件

  • 岩田昇資

    岩田昇資

    • 株式会社アルガリ
    0いいね
    チェックしました