司法書士法人4社合同で登記書類の自動作成の研究運用を開始
イノベーターやテクノロジーにフォーカスしたニュースメディア「TECHWAVE」とeiiconによるコラボレーション企画がスタート。国内外のオープンイノベーションにまつわるトピックを紹介していきます。
司法書士事務所の仕事に欠かせないさまざまな書類。
登記や申請などの重要な手続きの書類は、短い時間で完成させなくてはならない上に、ミスが許されず、司法書士の労力を大きく削いでいる状況。本来行うべきではない書類作成の業務負担を解消すべく、司法書士法人トリニティグループと筆頭とする若手司法書士法人がタッグを組んで自動作成の実運用の取り組みが始まった。
登記書類の作成をAIで代替できる可能性は78%
司法書士法人トリニティグループ声明によると「司法書士業務のAIによる代替可能性は78%」(野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同調査から)とのことで、実際欧米ではリーガルテックを標榜したスタートアップが多数登場している。
ただ、多くのリーガルテックスタートアップはAIなどの技術者が中心に開発しており、司法書士自らが手がけることは非常に少ない状態。また、司法書士事務所用の業務推進ソフトがある程度浸透するものの、あくまで作業を効率化するものに過ぎない。
RPAを用いた登記書類の自動作成
そこでお今回、発起人である司法書士法人ライズアクロスを初め司法書士法人トリニティグループ・司法書士法人みつ葉グループ・明成法務司法書士法人の4司法書士法人がスタートしたのは、司法書士目線の「司法書士」による「司法書士」のためのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)である。
この分野での導入実績が豊富な「会計事務所RPA研究会」にシステム開発を依頼し、司法書士4社と共同研究及び具体的なRPAプロダクトの開発を行っていく。
RPAは既存のツールなどの自動化を行うソフトウェブで作られたロボットで、マイクロソフトエクセルやクラウドのツールなどなど何にでも対応可能。今回の取り組みでは、既に不動産登記の根幹をなす登記原因証明情報の作成や、会社設立登記の申請書作成について実運用を開始している。
今後、この領域に携わるチームの経験とノウハウを投入して定型業務の効率化を極限まで進め、本来やるべきである法的思考や判断、顧客とのコミュニケーション等に時間を割けるようにする考えだ。
【関連URL】
・司法書士法人トリニティグループ
僕はこう思ったッス by 増田(maskin)真樹@TechWave
一見地味な話題のように見えるが、今、あらゆる業界業種で業界内のチームによるIT導入が注目されている。「IT参謀」的な立ち位置で、業界の中に入り、業界の目線でITをむしろ道具として適切な効果を発揮すべく研鑽していく流れが生まれているのだ。つまり、これまでIT受託企業への発注か海外製品の購入しか選択肢がなかった状態が打破できる可能性がでてきているという話になる。
1990年代初頭から記者としてまた起業家として30年以上にわたりIT業界のハードウェアからソフトウェアの事業創出に関わる。シリコンバレーやEU等でのスタートアップを経験。日本ではネットエイジに所属、大手企業の新規事業創出に協力。ブログやSNS、LINEなどの誕生から普及成長までを最前線で見てきた生き字引として注目される。通信キャリアのニュースポータルの創業デスクとして数億PV事業に。世界最大IT系メディア(スペイン)の元日本編集長を経て現在に至る。